下調べ
コンビニで適当に食べるものを買ってアパートに戻る。
「物はあるのに生活感がない感じ」
引っ越したばかりだからだろうか。
「さて、調べますか」
コンビニで山本さんにもらった地図をコピーしてきた。メモ用。
スマホで検索。ダンジョンに関して。
「あー、なるほど。動画撮影はしてもいいけれど、生配信は禁止ね。……そりゃ残虐映像垂れ流しと言うわけにはいかないよねぇ」
で、ダンジョンで撮影した動画は一切金儲けに使えないね。金目的で無謀な行為に及ぶ人を排除するためか。なるほど。
「しかもデジタル機器はなぜか録画撮影困難で、フィルムじゃないとだめって……」
そりゃ動画はハードル高いね。写真はちょこちょこネットに上がってるけど。動画は少ないのはそのせいか。フィルムカメラ……か。使い捨てカメラならダンジョンに食われても被害は少ないのかな。
コンビニで買ってきたするめをかみしめる。
噛むと甘みのうまみが出てくるするめ。酒ではなくコーラで楽しむのが好きなんだよなぁ。あまり理解してもらえないけど。
しゅわわと炭酸が跳ねるコーラをごくりと飲む。
「えーっと、スライム攻略法」
地図のスライム狩りの場所にメモしていく。
スライムの核をつぶす。
飛び散るスライム汁はph2の強酸。強い刺激や炎症を引き起こす可能性があるため汁を浴びないようにする。
「強酸って、大丈夫なのかな……。え?ph2はクエン酸とか酢とか?酢って、料理に使うあの酢だよね?なら大丈夫?」
いや、ダンジョンの中だと水道がなくすぐに洗い流せないからなるべく 浴びないに越したことはない。
「……だから棒や箒とか長いもので距離をとって攻撃してたのか……」
私は何でスライムを倒そうかな。棒……。
家の中をきょろきょろと探す。
「これ、かな……」
箒と大差ない。フローリングワイパー。
「柄が伸縮するから、短くして持ち歩けるからこれにしよう」
値段的にもそれほど高いものじゃないから万が一ダンジョンに食われてもそれほど痛くはない。
それからどつぎ兎の倒し方。
「2m以上近づくと跳びかかってくる、そこを叩く……か」
バッティングセンターで訓練すると腕が上がるって書いてある。
「スライムならまだしも、魔物とはいえ動物っぽいものを殴るの?きついなぁ……」
山本さんのように魔法で遠距離から倒せるならまだしも……。
あ、そうだ。魔法!
土魔法についても調べようと思ったんだった。
『土魔法は攻撃向きではない』
「へ?」
『フィクションのようにストーンバレットとかメテオとか使えない』
ストーンバレット?メテオ?よくわからないけれど、攻撃向きではないのね。
『土魔法は防御向きではない』
「は?」
土壁を作っても、ただの土を固めた壁にすぎず、どつき兎すら壁を壊すことができる。レンガやコンクリートのような固さを期待してはいけない。
なるほど……。
「攻撃向きでも防御向きでもないのね……」
ああ、だから山本さんは土属性と聞いたときに微妙な顔をしていたのか。
なんかないのか検索を続ける。
「土魔法の活用法って、ちゃんとあるじゃん」
『穴を掘る、穴を埋めることができる』
フィクションなら畑を耕したり水路を作るなどに活用できるが。ダンジョンでは意味をなさない……って、初期化されるからでしょ?
他にないの?
『穴を掘ってスライムやどつき兎を追い込み、穴を埋めると倒すことができる』
おお!役に立つじゃん!
「ただし魔石は取り出せないって、だめじゃーんっ!」
いや、待てよ?レベルを上げる目的なら魔石が取り出せなくてもいいのかな?
「土魔法の活用法その2って、まだある。よかった」
魔物の足元に穴を掘り転ばせて魔物を倒す。
攻撃力がない場合は転ばせて逃げる。
……なるほど、攻撃力……がなければ役立たずですね。




