★牧夫(マキちゃん、マッキー視点)
ひきつづきマキちゃん(牧夫視点)
「メンバーにさ、噂のあの子入れてほしい~!」
噂の?
「誰だよ、噂のって。シーザーなら当然アタックメンバーだろ?あと、前回の荷運び参加者からもアタックメンバーに昇格する者もいるだろうし」
「え、知らないの?クリーンを使った子がいるって。泥まるけだったのに、一瞬できれいになったって話だよ!」
うん?
「まさか。クリーン魔法は使えないって常識だろ?名だたるオタクたちがあらゆる創作物の魔法をしらみつぶしに試した結果、せいぜい風属性が埃を払うとか、水属性が洗い流すとかが限界ってことになっただろ」
クリーン……?
「そうだよ、だから34階層から36階層と続く泥沼ゾーンが地獄なんじゃん。足場だけ火属性で泥を焼いて進むか、水属性で水分抜いて進むかって手段はあるけど、魔力の消費を抑えるために、休憩するときにちょっと足場を固める程度しか使えないし。それに魔物との戦闘になれば泥の中駆け回って全身ドロドロ!」
「あれなー、ビニールの使い捨ての雨がっぱ持っていくとちょっとマシになるぞ、本当はダイビングとかに着るドライスーツとか着たいくらいだがかさばるしなぁ」
「防水スプレーでしみこみはある程度防げるからあとで水魔法で流してもらうってやつ実践してるけど、結局どっかから入ってくるんだよね、泥!」
「汗は我慢できるようになったけど、あの泥はなぁ……」
各々が、34階層から36階層の泥沼ゾーンの体験に顔をゆがめている。
「本当にクリーン魔法が使える人がいたら、36階層まで連れていきたい!それくらいなら、守りながらでも行けるし!荷運びさんたちはどちらにしても40階層で引き返しでしょ?そのメンバーに組み込んでほしいっ!」
有希ちゃんのSNSに使える魔法一覧が書いてあったけれど。
クリーンって。
でも、まさかよね?
ぽこっとかぽんぽんとか独自の呪文を考える有希ちゃんだし……。
クリーンだって、草が生えてる土の表面をきれいに平らにするみたいなそんな感じの魔法よね?ゴロゴロ石があると座り心地が悪いから、クリーンで平らにするとか……。
土属性なんだもの。
……ちょっと待って、泥って土よね?
え?あ、またマキちゃん口調になってるわ……。有希ちゃんのことを考えるといつもね、引きずられちゃう。
「泥……なら、土属性魔法で何とかなるんじゃないのか?」
僕のこの一言で、後輩たちが顔を見合わせた。
「セーフティーゾーンも、土魔法って言われてるよな!」
「そう、戦えないハズレ属性だって言われ続けてきたけど、土魔法って支援魔法だと考えればかなり役立つんじゃないか?」
「だよな、浅層で出番が限られるだけで、俺たちみたいに深層に行くにはめちゃくちゃ必要なんじゃねぇ?」
セーフティーゾーン?
安全地帯なんて存在しないはずだけれど……。
土魔法でセーフティーゾーン?
もしかして、穴を掘って地下に部屋でも作るとか?
地中移動型の魔物が出てこない地域では確かに有用だけれど……。
深く、人が過ごせる広さで穴を掘れるだけの土魔法が使える人はいるのかな?
有希ちゃんは2度目の前で魔力切れで倒れている。
あの程度の魔法でも倒れてしまうのだ。安全な穴倉を作るために何人の土属性の人間が必要となるのか。
……いや、拠点が作れるのであれば、何人でも連れていくのか?
アメリカでは100人規模でダンジョンアタックを繰り返している。
僕が考えていた、ゴーレムを倒すのに土魔法が有用ということだけではなく、土魔法が見直されているってことは……。
私の有希ちゃんが、他の誰かにかっさらわれちゃうわ!
大変!
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ブクマありがとうございます。
ところで……何も考えずに、牧夫って名前つけちゃったけど、なんだか、こう、イケメン想像しにくい名前だよねw
小説だとビジュアルは想像するしかないけど、名前で想像しにくいものってあるよねー。
世の中一番想像しやすい(むしろ別のイメージで想像しにくい)筆頭の名前は
セバスチャン……だと思う。
なんか、執事か犬のどっちかじゃない?
王太子のセバスチャンだ。って言われても……。
っていうか、有希ちゃんは、おまえんのじゃないべよ?牧夫くん、落ち着け




