★志崎視点(シーザー)
志崎視点
「さて、今日は休息日」
飛行機の座席でスマホを取り出す。
「ま、移動日ともいうが……。北海道、網走ダンジョンはまだそれほど人が多くはないという話だが……」
公式SNSで情報を見ていく。
情報掲示板もある。利用者が任意でダンジョンごとの情報を書き込んだり、交流したり、パーティーメンバーを募集したりといろいろだ。
「網走ダンジョン……なるほど。いつもの10倍は人がいる、だから10人いた!って書いてある。いつも一人いるかいないかのダンジョンなのか?」
これならたとえ100倍になっても大したことはないだろう。
なんせ、東京近郊のダンジョンはどこへ行ってもすごい人だからな。
有希は、いつも日暮里西ダンジョンに行っているんだろうか?あそこも人込みで大変だろうな……。
日暮里西ダンジョンの情報掲示板を開く。
「は?」
まず飛び込んできたのが「セーフティーゾーン発見」の言葉。
「セーフティーゾーン?魔物が出現しない場所だ。今までどのダンジョンでもどれだけ探しても見つかることがなかった場所だよな……?」
もし、魔物が出現しないセーフティーゾーン……安全地帯があるならば、大発見じゃないか。
すべての階層とは言わない。10階層に1か所でもあれば、どれだけダンジョン探索が進むことか。
食料の問題は、企業努力で栄養カプセルの開発が進んでいる。小さくて栄養満点、しかも腹の中で膨れて満腹感もあり、満腹中枢をだますためのガムも噛めばおにぎり1個分ほどの体積で2週間は過ごせるらしい。
もう一つの問題。睡眠。
見張りを立てて交互に寝るにしても、いつ魔物に襲われるかもしれないと警戒しながらの睡眠は日を追うごとに精神をすり減らし睡眠を削っていく。
魔物よけや結界魔法のような便利なものも発見されていない。
セーフティーゾーンがあれば、睡眠の問題が解決する。
「まじ、神がかった場所だったわ~魔物の警戒ゼロ」
「あれか?待ってるだけで魔石が手に入るって噂になってたところか?」
「あー、プールって呼ばれた穴のことだろ?魔物に襲われることなく魔石が手に入るって、場所の取り合いになってた」
「そうそう、ひどいもんだったよなぁ。あれ、もともとあの場所を作った人かわいそうだよなぁ」
「いや、そっちじゃないよ。壁に穴空いてたとこあって、周りにお堀みたいなの掘られててさ」
「お堀かに壁の穴か。プールも穴だったし、もしかして同じ人が作ったんだったりして?」
穴?
セーフティーゾーンが穴?
誰かが作っただと?
「写真撮ったよ」
プールと呼ばれていた場所の写真が表示された。
地面に掘られた巨大な穴。プールと呼ばれたわけが分かった。
10m四方はあるだろうか。深さは、人の身長よりもずっと高い。3m近くはあるだろう。
中央辺りに人が何人もより固まっている。
2枚目の写真には、落下する蹴り兎が移っている。
「なるほど、この高さから落下すると蹴り兎は死ぬのか。だから魔物に襲われない。残った魔石を回収するだけなら、安全に魔石が手に入る。そりゃ場所の取り合いにもなるだろうな……」
しかし、この穴に落ちて死んだ魔物の経験値はどうなるんだろうな?
穴に落ちたんだから事故死として探索者に経験値ははいらないか。
穴を掘った者の落下させて倒す意図が攻撃判定されて経験値がはいるのか。
穴も、手で掘った場合、複数人で掘った場合、魔法で掘った場合と違いがあるのか。
もしもだ。
穴を掘った人間に経験値が入るのだとすれば、穴をほっておくだけで、初期化するまでの12時間手放しで経験値が入ると言うことにならないか?
何かが起きる。確実に、動き出している……。それも良い方向に。
もう、お分かりですね?
レベルが……くふふ




