トイレ休憩
「……トイレ行きたくなってきちゃった……」
一回戻らなくちゃ。
……もっと深層まで行く人ってトイレとかどうしてるんだろう?男性と女性とでも事情は違うだろうけど……。
「大変そうだなぁ……」
拠点が作れるなら、5層ごとにトイレとかも設置できるんだろうね。
「トイレ行っとけよー」とかトイレ休憩はさみながら進めるだろうに。
2階層の奥から、1階層へと戻る。
途中、跳び兎に2度遭遇するも【ぼこっ】【ポンポン】で事なきを得る。
1mの穴を掘って埋めるだけ。かみつき蛇は30センチでも大丈夫だったんだけどね。
大通り……(草原の中で、1階層から2階層へ延びる最短コースが草は踏み固められ、人の行き来が激しく「大通り」と呼びたくなる状態になっている)
そこまで出れば、大通りを通る人が次々魔物をやっつけてくれているのでそこまで警戒しなくても進んでいける。
「あ……」
あの人、お尻が泥まみれになっている。
地面に直接座ったのかな?レジャーシートをダンジョンに食われたのかも。
……私みたいに……すんっ。
「そうだ!」
自分には使えたけ、他の人はどうなんだろう?
「【クリーン】」
あ、できた。綺麗になった。
クリーンをかけた人が振り返った。
しまった、何か感じ取ったのかな?……勝手に魔法かけちゃったけど、これって、ルール違反だったりする?
ごめんなさいっ。
1階層は相変わらずのすごい人だし「邪魔するな」「俺が先に見つけたんだ」「ここは私の狩場よ」「ちょっとこんなところで魔法を放つんじゃないわよ!」
「早いもん勝ちだろう!」「どけどけ、死にたくないならこっからこっちに来るんじゃねぇ」と、殺伐とした声が飛び交っている。
ダンジョンから出ても、同じようなものだった。
「おい、いつになったらダンジョンに入れるんだ!」
「こっちは仕事休んできてるんだぞ!」
「お前らは動員されたわけじゃないだろ邪魔なんだよ!」
……はー、荒れてるなぁ。
ダンジョン管理事務所の職員さんたちも疲れた顔をしている。
これが毎日続くのかと思うと、……疲れるよね。転職も考えちゃいそう。
ダンジョン管理事務所のトイレは、混んではいないのが救いだ……。
これは、本格的にレベルを上げてもう少し深層へ行くことを考えた方がいいかもしれない……。
2階層はまだ1階層ほどひどい状態ではないから、頑張って魔物を探して倒せばレベルが上がるだろうし。
蹴り兎だって、問題なく倒せたんだもの。
うーんと、1mの穴を掘って埋めたら倒せたでしょ?
1mの穴を掘るのに魔力10消費。埋めるのに10消費。1匹倒すのに20消費。
魔力は1000を超えたから、安全を考慮して800使うとしても、40匹は倒せる計算になる。
何匹倒したらレベルが上がるんだろう?
……ああ、よく考えたら、山本さんに案内してもらったり、シーザーさんに注意してもらったり、マキちゃんに教えてもらったりと、私は人に助けられてばかりだ。
自分で事前に調べたりしないと。人に甘えすぎだよね。
「……でも、突然婚約破棄されて、家を追い出され引っ越しして、仕事しながら引っ越しの片づけしたり……玲亜が家に来てまた引っ越ししなくちゃって考えたり……」
それでも、週に8時間のダンジョンで過ごす義務は待ってくれないし……。
正直、ちょっと……だいぶ疲れちゃって。
でも、弱音を吐く相手もいないし……。
今、甘えるな、自分でちゃんと調べろなんて言われたら、壊れそうだよ。
甘えているのは知っているけれど、今は無理だ。これ以上、気持ちが続かないよ……。
「……素直に教えてもらおう……もちろん、教えてもらうことを当たり前だなんて思わないから、私にできることで恩返ししよう」
例えば、泥汚れを【クリーン】できれいにしてあげるとか。
……泥って、洗濯で落ちにくいっていうし。
他にも、何か役立てないかな。うーん。
いやいや、その前にレベル上げ。




