魔力量
「ああもう、ほらぁ。あんな細くて小さな魔物には当たらないのよっ!当たれば強いのよ?本当よ?なんか、ファイアーボールとかありふれててかっこ悪いとか思ってぎゅっと凝縮して弾丸みたいに飛ばしたらかっこいいんじゃないかなんて思っちゃったのよ!でも凝縮してもしなくても最終的な威力は込めた魔力に依存するのよ!ってことはね、面積が広くて当たりやすいほうが使い勝手がいいの!」
と言いながらマキちゃんが近づいてきたかみつき蛇を踏みつけた。
「小さい魔物だけじゃなくて、動きが速い魔物もそうよ。当たらないのっ。だから、結局ファイヤーボールとかも使ってるわ……。敗北した気分よ……」
「ファイヤーボールをイメージした別の呪文にはできなかったんですか?」
マキちゃんが遠い目をした。
「……男の子にはね、簡単には変えられないイメージがあるの。かめばめ派って言いながら空気弾を打ち出してる人もいるわよ」
なるほど。空気弾なら、あとは空気砲のイメージとか?あれだと威力弱そうだなぁ。イメージがすでに固まってると確かに別の呪文と結びつきにくそう。
っていうか、マキちゃん男の子だったのか。いつからオネェさんになったんだろう。ま、人にはいろいろあるし。きかないけど。
「あ、また来たわ!ほら、あっちよ有希ちゃんっ!」
「【ぽこっ】【ポンポン】」
「それにしても便利ねぇ。私の煌火弾みたいにしっかり狙いを定めなくてもいいんだもの。なんなら進路方向に罠を張ることもできるのよね?あ、着地場所とか?あら?なら蹴り兎も行けちゃうんじゃない?飛び上がる体制をとった瞬間足元崩してやれば、逃げるに逃げられなさそう、タイミングさえ覚えれば……。ああでも、あの程度の土をかぶせたくらいでは逃げられちゃうのかしら?もっと大量の土をかぶせる?とすると大きな穴?あら?」
マキちゃんが私の顔を見た。
「魔力はまだ大丈夫なの?楽しすぎてつい、たくさん使わせちゃってるけど」
「えーっと、ステータスを確認します」
名前:佐藤有希
年齢:35
レベル:2
HP:40/40
MP:189/536
スキル:土魔法
称号/サレ女
くっ。見るたびに称号が心をえぐる。
「えーっと、あと30回は使えそうです」
掘るのに3、埋めるのに3、合計6。189残っているから、31回かな?
「すごいわね。もう結構使っているのに。消費魔力が小さいのかしら?私は全部で30回くらいしか魔法を使えないわよ?」
ん?そうなの?
「でも、前は大きな穴あけて魔力が切れたんだったわね……小さいとかなり少ないってことかしら?うん、そうよね。巨大な壁を出現させたりとかする人もいるんだし、小さい穴でも魔力消費が大きかったらあんな巨大な壁は出せないものねぇ」
ん?
「壁?土魔法では壁は役に立たないとネットに書いてあったんですけど……違うんですか?」
「ええ、役に立たないわよ。防御力は……砂山だもの。えーっと、浜辺とかで砂像とかあるでしょ?」
「えーっと、札幌雪祭りとかの雪像みたいなものを砂で作ってあるあれですよね?」
マキちゃんが頷いた。
「あれって、雪像みたいに固くなくて、ちょっと触ったらすぐ崩れるじゃない?あれよ。出した壁、ちょっとした衝撃で崩れるのよ。だから防御力なし。試しに小さなの出してみたら?」
あ、そっか。そうだよね。砂山は簡単に崩れるよね。
「じゃあ、やってみます」
イメージイメージ。大きな砂像。形は何にしようかな。
壁なんだから、ぬりかべ?いやいや、足元から崩れそうだから、普通に、そうだ、お城とか?
砂の城……って、なんか小説のタイトルみたいだなぁ。と、そうじゃなくて、えーっと、日本の城。姫路城……いや、形がよく分からない。城は難易度高かった。
兎とかにしよう。兎ならできる。二頭身の可愛い兎の砂像。イメージを固定する必要はないから、呪文は……。
「【おっきな砂像のうさぎ】」
でーんと砂像ができた。
周りの土がえぐれてお堀のようになっている。この辺りの土が集まって兎ができたんだ。
全長20m……って、魔力足りな……。しまった……!
ぷつんと意識が飛んだ。
「な……何なのこれっ!」
マキちゃんが何かつぶやいた気がするけれど。




