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アラフォーサレ女探索者~土魔法の第一人者になって大活躍するなんて想定外です~  作者: 富士とまと


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かみつき蛇討伐!

「あ、分かる?そうなのよ。2階層って、1階層に比べて空気が重たいでしょ?」

「はい。じめっとしているというか、湿度が高いっていうか……」

「だから1階層が好きだたのに……はー。……早くレベルをあげて先に進みましょう。3階層はここよりはましな空気よ?」

「え?」

 マキちゃんがにこっと笑っている。

「3階層はましな空気よ?」

 いや、だから、そういうことではなくて。

「ぶ、武器も……持ってきてないし……」

 マキちゃんがにこにこと笑ったまま私の手を引いた。

「武器なんていらないわよ。ちょっと見てて」

 見るって、さっきから足元をにょろにょろしている蛇ですかね。紫色の、30センチくらいの……。

 マキちゃんの手を振りほどいて逃げ出したいと思っているのに、マキちゃんはにょろにょろに近づき、踏みつけた。

 かみつき蛇は光となって消え、小さな魔石が残った。

 マキちゃんが魔石を拾ってにこりと笑う。

「ほら、簡単でしょ?スライムと違って踏んでも魔石は残るの」

 簡単?簡単っていうの?

「あ、ほら、あそこにいるわ」

 マキちゃんが腕を引く。

 紫の蛇の元へと。

「ぎゃーっ【ぽこっ】」

 無理無理、蛇はもう、視界にも入れたくないのに!

「【ポンポン】」

 ほっ。これで解決。

「え?ちょっと、せっかくのかみつき蛇を……」

 とマキちゃんが不満顔をするけれど、無理なものは無理。

「あら?倒せちゃったのね」

 ぼんやりと光が埋めたところから上がるのを見てマキちゃんが嬉しそうな声を上げる。

「魔石は無理だけど、経験値を貯めるだけなら十分じゃないの!よくやったわ!この調子よ!」

 マキちゃんがルンルンで私の手を引っ張る。

 腕をつかんでいたはずが、いつか手首になり、そして気が付けば手をつないでいた。

 いい大人が手をつないで歩くなんて……。女同士とはいえ……マキちゃん女でいいんだよね?

 いや待てよ、いい大人なら、男女のほうが問題がないのかもしれない。……いや、特別な関係じゃないと男女のほうが問題か。

「あ、いたわよー!」

 マキちゃんがかみつき蛇を見つけるたびに嬉しそうに私の手を引き、私が嫌そうに顔をゆがめかみつき蛇を視界から消す。

「ああ、楽しいわ。こんな風に魔物を見つけるのが楽しめるなんて、嘘みたい」

「……え?マキちゃんはいつもは楽しくないの?」

 2階層を歩きながら訪ねる。

「うん、初めはレベルを上げるために魔物を見つけて倒して楽しかったのよ。でもレベルをある程度上げた後は、どんどん階層を進んでいくことに目的がシフトしちゃうでしょ?10階層、20階層、30階層と。もちろん、レベル上げは階層を進むための手段になって目的じゃなくなっちゃうのよね」

 なるほど。ハンドメイドでアクセサリーを作っている友達が言っていた。

 アクセサリーを作るのが楽しかったのに、売ることを目的とした途端にアクセサリーを作るのが楽しくなくなってしまったと。それと似たようなものなのかな。

 でも、売れたら嬉しいって。感想をもらうと嬉しいって。別の楽しみがあるからやめられないって言ってたよ。

「階層を進むのが今は楽しいんですよね?」

 マキちゃんが悲しそうな顔をする。

「……ちょっと限界を感じちゃって……休んでいるとこ」

 限界?

「レベルが足りないってことですか?だったら、私のことはいいので、マキちゃんもレベル上げを」

 ギュッとマキちゃんの手に力がこもった。

「レベルを上げても、進めなくなったの。一人じゃ無理だからとパーティーを組むでしょう?実力者が集まっても進めなくなるの。食料が手に入らないから」

 あ……。

「荷物持ちに食料を運んでもらっても……食料を失うことがあれば帰れないという恐怖で進めなくなってしまう。実際に、帰れなくなってしまった者たちもいるんだ……。戦闘中に敵の攻撃を受け食料を入れていた袋が破れ食料が飛び散る。必死に手を伸ばしてかき集めているうちにさらに攻撃をうけ……食料の取り合いで崩壊したパーティーだっていくらだってある」

 そうか。手を離したものが1分でダンジョンに食われてしまうということは、レジャーシートが消えちゃった!と嘆くだけでは済まないってことだ。

 スマホだろうが高級時計だろうが、浅層なら嘆くだけで済むけれど……。

「そんな顔しないで。休んでいるって言ったでしょ?どんどん研究は進んでるんだから。例えばね、弾丸サイズの栄養補助食品とかね。今まではダイエットで食べすぎないようにと開発されてたおなかの中で膨らむっていうのあったでしょ?あれが今度はダンジョン用携帯食品になるのよ。栄養を取るだけでは空腹感がまぎれないから、栄養たっぷりでおなかの中で何倍も膨らむ携帯食品。もちろん水魔法使いがいること前提なんだけどね。この食品が商品化されればダンジョン攻略も進むわよ」

 そっか。弾丸サイズなら、いくつも持ち歩ける。パン1個分の体積で10も20も持っていけるってことだよね。

「ま、そういうことで、最近はダンジョンは身近なキャンプ地みたいな気持ちで来てただけなんだけどね。やっぱり魔物を見つけると興奮するわぁ。あ、ほら、有希ちゃん、あっちとそっち、2匹見っけ。魔物探すの宝さがしみたいで楽しいわ!」

 マキちゃんに手を引かれる。

「私は、ゴキブリ退治みたいで楽しくないですぅ……【ぽこっ】【ポンポン】【ぽこっ】【ポンポン】」

 マキちゃんがくすっと笑った。

「それにしても、気が抜ける呪文ねぇ」

「そうですか?そういえばマキちゃんは魔法は?」

 マキちゃんがちょっと恥ずかしそうに私を見た。

「笑わないでね、私も若かったのよ?【煌火弾】」

 出てきた紫色のかみつき蛇に向かってピストルのような形に指を伸ばして呪文を唱えた。

 マキちゃんの指先から光の弾丸が飛び出して、かみつき蛇の頭の横に着弾。

 あれ?

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