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アラフォーサレ女探索者~土魔法の第一人者になって大活躍するなんて想定外です~  作者: 富士とまと


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され女爆誕

 探索者専用フリマサイト「ダンカリ」

「ダンジョンで作りました。光る泥団子です……と。今日は売れるかな?所詮は泥団子だもんね……。出品ぽちっと」

 あ、通知だ。出品完了通知かな?『SOLD 光る泥団子が売れました』

「早っ、魔石と間違えてないよね?大丈夫だよね?ちゃんと泥団子って書いたよね?」

 首をかしげながら、取引連絡へと進んだ。

 こんな生活になるなんて1か月前には全く思っていなかった。



 結婚して幸せになると信じていた1か月前。

 用意してあった婚姻届けを目の前で真っ二つに破りながら淳史がニヤニヤと笑う。

「ごめん、やっぱり有希とは結婚できない」

 交際5年。

 明日で35歳になる私。誕生日に入籍しようと1年前から同棲……いや内縁の妻のような関係になっているのに。

「なぜ突然……?」

 淳史が視線を向けた先から高校時代からの友人の玲亜が出てきた。

「だってぇ、淳史がかわいそうでしょう?だから教えてあげたの。有希は淳史のこと好きじゃないけど、ダンジョンに行きたくないから仕方なく結婚するんだよって」

「何を言ってるの!私は淳史のこと好きだから結婚しようと……」

 好きじゃないなら5年も付き合ってない。

 一緒に暮らしたりしていない。

「じゃあ、入籍を35の誕生日にこだわっていたのはなぜだ?35歳で独身だったらダンジョンに行かなくちゃいけないからじゃないのか?」

 淳史の言葉にすぐに言葉を返せなかった。確かに、来年でもいいとは思ってなかったから。

 腕をとる玲亜の腰に淳史が腕を回した。

 婚約者の友達との関係を完全に超えた行動だ。

 やられた。

 完全にNTRだ。玲亜が淳史を寝取ったの?

 ダンジョンにどうしても行きたくないと言っていたのは玲亜の方だ。

 結婚したものの昨年離婚。あと1年で再婚しなければダンジョンに行かなくちゃいけない、どうしようと焦っていた。


 10年前、地球にダンジョンが現れた。国が管理し民間人の出入りはできなかった。

 8年前、18歳以上の希望者にダンジョンが解放された。ダンジョンに入る人々は”探索者”と呼ばれるようになった。

 5年前、ダンジョンでの若者の死亡率が問題となり、探索者の登録年齢が30歳へと引き上げられた。

 その結果、一気に探索者の数が減った。分別がある者は危険のある探索者になろうとはしなかったからだ。

 3年前、独身者動員法成立。35歳で独身の者は、週に8時間のダンジョン行きが義務となる。義務を怠れば罰金か禁固刑となる。


 ピンポーンとマンションの呼び鈴が鳴る。

「カバ印引っ越しセンターです」

「あ、もう来ちゃった~。有希、早く引っ越しの荷物をまとめてね~」

「引っ越し代金は俺が払ってやる。さっさと出ていけ」

「まさか、引っ越し先まで用意していたなんて……。一体いつから計画してたのよっ」


 引っ越し先は淳史と一緒に住む前に住んでいた場所だ。

 8年ほど住んでいたから不満があるわけじゃないけれど。

 いつ契約したのか。計画的にもほどがある。ずっと素知らぬ顔で、私とこの日のことを考えて一緒に暮らしていたのか。

 運び込まれた荷物。1人暮らしには大きな冷蔵庫にテレビ。

 慰謝料として二人で購入したものも根こそぎ運んでもらった。

「はー、もう、もう、もうっ!ぐだぐだ言っている場合じゃないのよ。この部屋どういう契約になってるのか確かめて、ガス水道電気、住所変更に、ああ、それから……独身者動員法……誕生日から2週間以内にダンジョンに行かないとだめなんだっけ?まずは市役所?」

 スマホで検索。

「8時間の義務とはいえお金が出るのか、最低賃金のバイト代。危険手当もないのか!義務時間外の活動は無償、ダンジョン産の品を持ち替えれば換金されて、一攫千金も夢じゃない……か」

 まだ布団を敷いていないマットレスだけのベッドに大の字で寝転がる。

「ビー玉くらいの大きさの魔石が5000円……か。魔石自動車も増えてきてるもんねぇ……需要も今後増えるばかり」

 ビー玉くらいの大きさの魔石1つで、ガソリン50リットルと同じくらい走行できるらしい。魔石を車にいくつか載せておけばガソリンスタンドに寄る手間もなく走り続けられるし、車のガソリンタンクも必要なくて、ガソリンの分軽くなる。普通車だって人1人分軽くなるから燃費も上がる。

「石油王ならぬ、魔石王に慣れるチャンスがあるわけだから夢があると言えば夢があるのかもしれないけれど……」

 ダンジョンでの死亡者数は老衰で亡くなる人と同じくらいだ。

 死にたくない……。


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― 新着の感想 ―
この野郎からは引っ越し代のみならず、3桁万円の慰謝料を請求して良いのではなかろうか。
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