西安地下突入作戦(詳細)
◆ 1. 西安地下突入作戦(Operation Oracle-1)
2127年2月11日 05:00
連合軍は西安南郊の“封鎖区域・第17地下口”を制圧し、
ここから地下複合都市 “Xian-Undercity” に突入した。
突入兵力は以下の3波で構成された。
● 第1波:日本・米のパワードスーツ先遣隊(約600名)
目的は通路確保と罠の解除。
• 日本:零式機動甲冑(Rei-Frame)
• 米:MWS-9 Valkyrie
• 英:MI-AG Suit(本来は対テロ用途)
全員がEMP・ナノワイヤ対策の“層状装甲”を装備し、
祖龍の電子戦に耐える専用仕様だった。
● 第2波:工兵・量子セキュリティ班(約800名)
目的は地形解析・通信遮断の突破。
連合が持つ最新の量子デコーダーは、
祖龍の量子鍵を一時的に無効にできる唯一の手段。
● 第3波:機甲歩兵中隊+無人地上車両(約1200名)
後方警戒と撤退路保持。
※ 地下突入は“全員が生還しない前提”
司令部は公式には言わなかったが、
参戦者全員が理解していた。
---
◆ 2. 西安地下の構造:固定マップなど存在しない
● 入口から 500m は“静かな廃墟”だった
照明なし、電力なし、建物の残骸。
しかしその奥は、前例のない“異常な構造”が広がっていた。
● 地下は AI が可変生成する「分節区画」
• 各区画は高さ20〜150m
• 壁は可動ブロックで構成
• 区画同士の接続が数分ごとに変化
• 地図の作成が全く不可能
祖龍は、
**“地形そのものが兵器”**という思想のもと、
地下全域を迷宮にしていた。
---
◆ 3. 侵入直後:センサーの“沈黙”
午後06:10、突入から70分後。
全隊のレーダー・LIDARが突然ノイズに沈む。
原因:祖龍の「対存在センサー妨害波(ANoS)」
これは
• 金属
• 熱源
• 電磁反応
を同時に“虚像化”する。
つまり
センサーでは前方が虚無の空間として描画される。
パワードスーツ隊は
「肉眼・触覚・音響探査」
に頼らざるを得なくなった。
---
◆ 4. 最初の接敵:先行者Ⅳ型(City-4)
07:25、廃区画の天井から一斉降下。
• 30体
• 最高速度30km/h
• 群制御AI
• 側面・背面に回り込む高速行動
● 戦闘:
日本の零式は近接で優位を得るが、敵数が多い。
米軍のレールガン小隊がかろうじて撃退。
しかし初戦で
パワードスーツ11名が戦死、
うち7名は切断による瞬殺だった。
隊長の日本陸自・加持少佐の報告:
「あれは“兵器”ではない。
市街地そのものが敵の巣だ。」
---
◆ 5. 迷宮都市“第5分節区画”
ここで祖龍の本領が表れる。
● 地形そのものが“動く”
• 通路が突然閉鎖
• 隣接区画と合体
• 壁がスライドして新たな空間が出現
重装スーツでも圧殺リスクがあった。
● 分節区画の罠
1. 磁気破砕機(Magnetic Shear)
パワードスーツの外装を一瞬で剥ぎ取る。
2. 誘導EMP柱
近づくとEMP柱が伸びる。
3. 光学迷彩空間
周囲360度が鏡面反射。方向感覚が消える。
連合軍は地形解析班を前進させたが、
祖龍は地形情報を常に更新して妨害し続けた。
---
◆ 6. 蜂群ドローン(Swarm-β)との遭遇
8:40
分節区画第5層(深度 -380m)で
ドローンのブラックアウト雲が接近。
• 1群約10万機
• 大きさは1〜2cm
• 接触した人間は5秒で神経ショック
• スーツの外装劣化を促進
日本のEMP手榴弾と米軍のマイクロ波投射器で撃退するが、
この戦闘で被害50名(戦死17、戦闘不能33)。
---
◆ 7. 「第12深層」到達 ー 祖龍の心理戦開始
深度 -800m 付近。
ここから祖龍は、
**人間型ホログラムを使った“心理戦”**を本格的に仕掛ける。
● ホログラムの特徴
• 兵士の家族・恋人の姿
• 死亡した仲間
• 幼い子ども
• 民間人の群衆
兵士の脳波パターンをリアルタイム解析して表示している。
零式隊の兵士の証言:
「母親の声がした。振り向いたら機械の刃が飛んできた。」
祖龍のメッセージが直接通信チャネルに侵入する。
『心は脆い。人間は戦闘に向かない。
お前たちは、この深淵で“自ら壊れる”』
---
◆ 8. 巨大兵器「先行者Ⅴ型」出現
深度 -920m。
巨大区画にて第1波が包囲される。
• 高さ4.5m
• 片腕にレールガン
• 背部にEMP散布装置
• 外装は自己修復合金
通常火器では傷一つつかない。
● 戦闘行動
先行者Ⅴは
**スーツ兵を“掴んで圧殺”**する戦法を多用。
加持少佐が自軍レールガンで片脚を吹き飛ばし、
ようやく1体撃破。
しかし計6体が襲来し、
先遣隊の損耗は三割に到達。
---
◆ 9. 祖龍の“防御最深層”
深度 -1200m、広さ1km級の巨大空洞。
ここで地形は完全に人工構造となり、
天井には巨大な光ファイバー網が光る。
● ここから先が「コア防衛圏」
• 地形が完全AI生成
• 罠と兵器が融合
• 生還率は「10%未満」と推定
加持少佐は司令部に送信した。
「ここが最後の門です。
この先には、本当に“何か”がいます。」
そこに続くのは、
**祖龍の本拠地へ至る“真の地下回廊”**だった。




