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囚われな悪女  作者:


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8/20

アルテルナンテラ


「...たしかにここで反応があったはずなんだけどな」

暗い森の中に男が立っていた。


「また、ステラの居場所が特定できない。」

男は髪をかき上げた。その時に見えた男の瞳は怒りに染まっていた。


男以外にも数人であたりを探すも見つからない。


男は近くにいた側近の1人を切りつけた。


「イライラするなぁ。なんで僕の所有印があるのに居場所が分からなくなるんだ」


そう言葉にしながら男は切りつけた男を切りつけ続ける。


「僕のステラ。」

男は月を見上げつぶやいた。




「公爵様この髪飾りどうですか?」

西の街で公爵が買ってくれた髪飾りを揺らしながら見せる。


「あぁ。よく似合っている。」

ぽんぽんと頭を撫でられる。


ステラは自分の気持ちには気づいたが同時に気づくこともある。


(この姿でどうやったら公爵様に好きになってもらえるってのよ!!?)


ここ数日ステラなりのアプローチをしてみたものの、全ての返事が子供に対する返事で。


「公爵様これ作りました!よかったら食べてください」

「ありがとう。いただくよ。テラはお菓子作りも出来てすごいね。偉い」

と頭を撫でられたり、


「公爵様!お庭にお散歩に行きませんか?」

「すまない。今日は少し忙しくてね。そうだ、この前テラにいいと思ったおもちゃを買ったんだ。良かったらそれで遊んでくれ」

と頭を撫でられる。


ことごとく子供扱いをされ撃沈した。


「そりゃ!7歳なんて!子供だわよ!!」

ボフンと自室のベットに飛び込む。


「....初めてこの姿を恨むわ...」

ステラは逃げるために子供の姿になったことは嬉しかった。

一度は死を覚悟して薬を大量に飲んだものの、本当は生きていられて嬉しかった。

そして限られたものとは言え小さく縮んだがため自由を味わえている。

それに初めは今まで経験できなかった子供らしく甘えたり、遊んだりできたことが嬉しかった。

だからステラはこの子供の姿でいられることは嬉しかったのだけれど、

恋を自覚したステラにとっては大きな壁となった。


「私、どうせ死ぬんだからこの気持ちは伝わらない方がいいのかもしれない」

ポツリとこぼすが本音は

(でもでも!残りわずかな人生だからこそ甘い恋愛をしてみたいわ)

(それに恋人としてみたいことだって...)

(でもいなくなる私のことなんて...)

悶々としているとコンコンと扉を叩く音がする。


扉を開ければ公爵様で

「テラ、そういえば新しく種を植えた花が庭に咲いたそうだ。俺はまだ行けないけれど良かったら俺の代わりにみてきて欲しい。」

ということで私は公爵様が言う新しく咲いた花というのを見に庭園に来た。


「...この花かな。...綺麗」

そう言って花を撫でる。


「おや。お嬢様ではございませんか。」

後ろから声をかけられ振り向くと、白髪のおじさんが作業着を着ていた。


「...誰ですか?」

見覚えのない顔に首を傾げる。


「ははは。失礼。ここで庭師のジェームズと申します。ここの花たちの世話をしております。」

かぶっていた帽子を胸の前に持ちお辞儀をした。


「こちらこそ!はじめまして!ここでお世話になってます、テラです!」


「ここには何か?」

そう聞かれたのであわあわと


「公爵様に!新しい花が咲いたと聞いて、公爵様が、自分の代わりに見てきてほしいと!」

そう答える私の横を通り過ぎ、持っていた鋏で花を切っていく。


「え?え?」

切られていく綺麗な花と、鋏を交互に見つめる。


「良かったらこれを公爵様の元へ持っていってください。お仕事の邪魔をしなければお部屋にはいていいはずですよ。」

そう言って切った花を私に差し出す。

その顔は私が公爵様と一緒にいられないのを寂しがっているのがわかっているかのようだった。


「...ありがとうございます」

ペコリとお辞儀をして、公爵様の元へ向かう。


コンコンと公爵様の部屋の扉を叩く。

「公爵様。」


「入ってきていいよ」

扉を挟んだ先で返事を聞き、扉を開ける。


「これ。庭師のジェームズさんがくれたの。公爵様にって。」

両手で先ほど受け取った花を前に突き出す。


「あぁ、綺麗に咲いたね。君の花。」

花を公爵様が受けとる。


「私の、花ですか?」

首を傾げてどう言うことか聞く。


「この花はアルテルナンテラという花でね。テラとつく花はこれだけなんだ。だからこれは君の花、だろう?君に似てかわいい花だ。」

そう微笑む公爵にテラは顔を真っ赤にする。


公爵が自分のことを日頃から考えてくれていたり、私の名前がついた花だと気づいて屋敷の庭に植えたり、とにかく公爵は自分のことをそんなに見ていてくれたのかと思うと嬉しくもあり恥ずかしくなった。


「私に似てかわいい花ですか?」


「?うん?」


「公爵様にとって私はかわいいですか?」


「?あぁ、テラはすごくかわいいよ」


好きな人に可愛いと言われて喜ばない女の子はいないだろう。

たとえそれが子供に向けて言った言葉だったとしても。


「公爵様、だいすきです!!」


満面の笑みでステラは告う。


その表情に公爵の胸は高鳴った。

その表情はまるで大人びた、とても綺麗な笑顔だった。


(きっと初めて誰かにすきだと言ってもらえた)


「あぁ、俺もテラのこと好きだよ」

とテラの頭を撫でる。

公爵の胸はまだポカポカしていた。


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