これから
「どうやってステラを取り戻そうか。」
伯爵は笑顔の中に怒りが出てきて、もうそれを押さえられそうになかった。
それもそうだ。ステラに素手で触る男。
汚い。汚い。汚い。汚い。
そう繰り返し呟く。
消えろ。消えろ。消えろ。
ステラに触れる公爵の姿が伯爵は忘れられなかった。
そして、その公爵に笑いかけるステラの姿も。
「...どうして、僕にはあんな表情を見せたことなんて、なかったのに...」
「...君を助けたのは僕なのに....。どうして。」
伯爵はステラの肖像画を見る。
「どうせ僕のところにしか君の居場所はないのに...。」
伯爵は自身のつけた刻印の入ったステラの肖像画に手を伸ばしキスを落とす。
「....はやく、僕の妖精を取り戻さないと....」
***
「公爵様、早く公爵邸に帰りたい....です」
結局狩猟祭は中止をしたため、一位も何もなく。
勿論そうなると約束自体が無かったことになると思うとなんだか危ない目にだけ合っただけのようで胸がムカムカする。
「...こなければよかったです」
「...すまない...俺が行くと言ったばかりに危ない目にだけ合わせて、結局刻印も消せないし...」
「....私、でも少しだけわかったことがあるんです...。」
「私、もしかしてなんですけど、妖精が私のお願いを叶えてくれる気がしているんです。」
「...勘違いかもしれないんですけど。」
なんて、急に言われても困るよね、と公爵の方を見ると、
「....俺もそれは感じていたんだ。」
もしかしたらステラは妖精を呼べるのかもしれない。と
「....もしかしたら妖精にお願いしたらこの刻印を消してもらえたりするんでしょうか....?」
そう言って、2人でもしかしたら、と思い、手をお願いポーズをして、妖精に声をかけてみる。
「わ、!私の!この刻印を消してくれませんか?妖精様ー!」
とぎゅっと目を閉じ願ってみる。
チクタクチクタク。いくら待っても何も起きない。
「........」
「........」
公爵とステラも沈黙が続き、お互いチラリと顔を見合わせる。
あはー。とステラは笑い、公爵は眉を下げる。
「勘違いですね!勘違い!....はずかしー」
と顔を赤くして、体が火照って体温が上がったため手で仰ぐ。
「うひゃーもう一生こんな自惚れしない〜...」
とパタパタと仰ぐと、光がともる。
「「....え」」
と2人で動きが止まる。
それからしばらくするとステラの周りにたくさんの光が集まる。
『ダメなのー』
『だめなの』
『この刻印は』
『だめ』
『取れない』
『剥がれない』
『ごめんね』
『ごめんね』
たくさんの声がする。
『この刻印は妖精の力でどうにかなる契約じゃない』
『妖精の力を弾く刻印があるの』
『力になれない』
『ごめんね』
『弾かれちゃう』
『手伝えない』
『でも』
『でも』
『教えることは』
『できるの』
『できるね』
たくさん重ねて声がする。
『調べたの』
『調べた』
『本があった』
『本』
『書いたあった』
『書いてあったよね』
『その刻印について』
『いろいろ載ってた』
『青い本』
『青だよ』
『そこに書いてあった』
『なんて書いてあったんだっけ?』
『なんだっけ?』
『忘れた』
『わすれたね』
『青だよ』
『青の本』
そう言って妖精たちは消えた。
「....あおい、本...。」
「....青い本....って、」
私と公爵様は叫ぶ。
「......どんだけあると思ってんのよーーーー!!」
私と公爵様は早速沢山の本を見て回る。
「....青い本って、どんだけあると思ってんのよ...」
「どこにある本なのかくらい教えてくれてもよかったのに....」
「どこにある本なのよ...」
連日続きに沢山のところで見て回る。
青い本は意外と多くあり、私と公爵様はへとへとになる。
「....もう、疲れた....。」
トサッ帰ってきてベッドにたおれる。
「そう言えば、本のこと言ってた妖精、前に聞いたことある声....あれは、!西の街の妖精だ!」
ガバッと起き上がり、公爵に早速伝えにいく。
「公爵様!もしかしたらなんですけど、本のことを教えてくれた妖精、西の街の妖精かもしれないです!一度聞いたことあった気がして、もしかしたらなんですけど、青い本は西の街の本かもしれない...!」
「....いこう。西の街へ」
クマのできた私たちはそのまま馬車に乗り込んだ。
そして西の街につくまで私は寝たが、公爵は寝ることはしなかった。
西の街につき、一番大きな図書館に入る。
片っ端から公爵と手分けをして探す。
それでも見つからず、外に出る。
空はもう夕方で、とりあえず以前泊まった家に向かった。
「....あかりがついている。」
公爵が呟く。
「....もしかして、....ラウル様?」
扉を開ける。案の定そこには久しぶりに見る、ラ.....ウル....さま?
「よぉ!久しぶりだな!.....こけたなお前ら」
片手を上げくつろいでいるラウル様がいた。
「なななななんですかその髪と肌!!」
「おーおー反応いーねー」
「これは、旅の途中に出会った男がコレを塗るとダンディーな男になるぜって勧めてくれた塗り薬で、なったら黒くなったぜ!確かにダンディーな男になったな!」
「髪の毛はなぁ!可愛いレディーにダンディーなお前さんにこれを塗るともっといい男になるって言われてなったらチリチリになってよお!でも気に入ってるんだぜ!」
そう言って高らかに笑う。
そんなテンションについていけないのか公爵はこめかみを抑え、
「すまない、ここに俺らも泊まる。」
そう言いベットに横になった。
するとすぐにすーすー寝息が聞こえてきた。
(....公爵様も疲れてるに決まってる...)
ステラは寝ている公爵に布団をかけた。
「どうしたんだ?お前らこんなにやつれて」
ラウルは首を傾げて聞く。
「青い本を探しているんです。....西の街にあるかも知らなくて....」
「.....青い本?.....あぁ!俺も持ってるぜ!この前訪れた国が不思議でよーお、砂漠の上にある国だったんだ。その国はな、神出鬼没で出会うことが幻の国なんだってよ!いろんな条件が揃わねーと見えない国なんだとかで、俺は50年ぶりくらいの来客だったらしくてそれはもー歓迎されてされて!まあ大変だったんだぜ!楽しかったけどなー!そん時に長老のじいさんがよ、くれた本が青い本だったんだぜ!」
「そしたらよーお?更に不思議なことにその本が突然光出してよー!もう俺旅人としては一生あるかないかの経験をしたな、うん。」
そうずっと話すラウルの言葉をさりげなく流し聞きしていたら引っかかる言葉が出てきて、「ん?」と耳を澄ませる。
「本が光りだした...?」「...おう?西の街に帰ってきて早々な!驚いたぜあん時はよ」「まって、まって、西の街で光った本...?」「あぁ!」「.....その本見せてください!!」
そう叫べばラウルは首を傾げながらその本を取り出して私に渡してくれた。




