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囚われな悪女  作者:


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14/20

公爵の昔話。


「....俺が忘れられない人の話をしたのは覚えてるか?」

落ち着いた頃、急に公爵に言われる。

イチョウの葉を2人で見に行った日、私は公爵に振られたあの日だ。


「...覚えてます。」


そういうと公爵は謝った。


「俺は前君に忘れられない人の事を言ったのに、名前を言っていなかったな。...俺はステラ嬢のことが好きなんだ。ステラ=ヴェラ嬢のことが。」

そう言った公爵を私はまっすぐ見つめる。


「え、...?私...?」

驚く私を公爵は気付かず項垂れる。


「似ているなとは思っていたけれど、年も違ければ、髪色も違くて、君だと気づくことができなかった。....すまない。」


「...君はもう、こんな俺のことを好きじゃないか...?」


その言葉にステラは胸がドキドキした。


イチョウの葉を2人で見に行ったあの日。


公爵に想いを伝えたあの日は心に傷を負いながら伝えた。公爵に言われた言葉に胸を痛め沢山泣いた。


今回は胸が期待に踊りながら音を鳴らす。


「好きです。私は公爵様を変わらず好きです。」


真っ赤な顔のまま伝える。


「あの日にきづいていたなら、君を傷つけずに済んだのに。...すまなかった。」


「...俺も、好きなんだ。君のことが。」


そう言って私たちはまた時間を忘れて抱きしめ合う。


そして落ち着いた頃、

「コホン!...話を戻そう...」

真っ赤な顔をして公爵が言うのでそれに対しステラも真っ赤な顔でコクコク頷く。


「10の時に刻印されたんだよね...?てことは10になる前に解約方法を探す必要があるってことだよね...?」


それに対してもコクコクと頷く。


「...あと2年か...。長いようで短いな...。間に合うだろうか...」

「私も、探してみせます!2人でいられる方法!」

そういうと公爵は微笑み、

「俺も諦めないで絶対に方法を見つけてみせるよ。」


それから私たちはいろんな文献をたくさん見たが、どこにも一方的な解約は見つけられなかった。


「伯爵様はあと2年も私を見つけたのに放っておくでしょうか...?」


「いや、なにがなんでも取り戻しにくるだろうな」

「でも安心してくれ。絶対に君は守って見せるから。」

公爵が手をぎゅっと握る。


「ふふっ、なんだか公爵様がロリコンに見えますわね。8歳の私にこんな夢中の姿だなんて。」


「な!俺は...17歳の君を見ている...!」

あわあわと公爵が慌てる。


「でも16の君を思い出すと必ず伯爵と一緒の時ばかりで、君の笑顔も伯爵に向けている笑顔しか見たことないな」

そう言うので、


「まあ!その時の私は私じゃないし、その笑顔も偽物ですわ!今はもう17歳のはずですから、元に戻ったらあなたに本物の私の笑顔を見せてあげますわ!」

と笑えば公爵は口に手を当てて、口元を隠してしまう。その手の下はにやけた口だった。


そして、何の手がかりも見つかることはなく2ヶ月が過ぎた。


そんなある日伯爵から招待状が届いた。

私たちを狩猟祭へのお誘いの手紙だった。

そしてご丁寧に私たちを来させるためにもしも、狩猟祭の一位をとったら刻印の解除に応じると記載されていた。


(やっぱり私をステラだと...もうごまかしなんて無理じゃないかしら...)


「...行かないでおきましょう...これで行ったら私がステラだと、言っているようなものです。」

そう私は言うが、公爵は難しい顔をする。

顔を顰め悩んでいる。

私も本当は分かっていた。一番確実で、一番手っ取り早い交渉方法だ。


でも、


「これは罠です。何かあるに違いないです。」

そう言って公爵の両手を握る。


「きっと私は殺されない。...危ないのは公爵様なんですよ!」

そう言って狩猟祭に参加しないでと言うが公爵の顔は悩みに顔を歪ませていた。


「...もう心のどこかで公爵様は行くことを決めているのですか...」

諦めに近い声で、公爵の手を離しながら聞く。


「...すまない。...せっかく君が俺を見てくれたんだ。縋れるものがあるのなら、俺は迷わず縋りたい。そこに君を助ける術があるのなら...俺は...自分の命を賭けてもいいとすら思うんだ...。」

そう言って公爵は狩猟祭出ることを決めた。


それを聞いてステラも心を決める。


「...私も、狩猟祭に出ます。」


まっすぐ公爵を見つめて言う。


「何を言っているんだ!君は客席で安全なところにいてくれ!」


「私にとって安全なところなんて、公爵様の隣しかありませんわ。客席で1人でいようと、いつ、何があるかなんて分かりませんもの。」


「公爵様はいいんですの?狩猟祭は殆ど丸一日私たちがお互い何をしているかわからないんです。もし離れた時間お互いに何かあっても気づくことすら叶わない。私はそんなこと嫌です。」


公爵の眉間に皺がよる。


「...私は、公爵様に何かあったなら隣にいて、いつでも貴方を守って見せる。...公爵様は、私に何かあったら隣で守ってはくださいませんか...?」


それを聞いた公爵は上を向いて目を瞑り、はぁーと深くため息を吐き私を見つめた。


「守るさ。この命に変えても。君の運命だけは変えて見せる。」


ステラは舞い上がっている場合ではないと分かっているし、公爵が今いかに真剣な話をしているかは分かっているつもりだ。


でも、それでもこの胸の高鳴りは止められなかった。

にやける口をどうすることもできない。

幸せすぎて、私は自分の人生にもう後悔なんてない。もしも、私は助からなくて、死を選んだとしても、私は幸せで後悔はひとつもないです。

なんて

「...こんなこと、言ったらおこられるんだろうな。」


それから狩猟祭までの2ヶ月間私は弓と剣を教わった。


「違う!剣を受けようとしない!君の力では負けるから流すことを意識するんだ!」


「違う!腕で首と顔を隙間なく埋めることが大切なんだ!君の体では鎧を着ることは難しいから致命傷を避けないといけない。」


なんとか最初の頃と比べて様にはなってきていた。

そしてステラは確かな達成感も感じていた。

そして、弓は狙ったところに6割の確率で当たるようになってきた。


「よし。あとは剣が慣れれば、」

剣は思ったよりも重く、ステラの腕力では両手で持ち、両手でしか振れない。

そして何よりも一度振ったら軸がブレ、そのまま床に剣がカンと当たる。

これでは敵に隙を与えることになる。このままでは剣を扱えない。


「公爵様、私短剣の小さい刃物で訓練したいです。」

剣が振れないのなら、触れるサイズを持てばいい。


剣と比べると遠距離には不利で環境に有利かもしれないがたかが2ヶ月で様になれるわけがない。そう考えると短剣は不利になる。


「大丈夫。私こう見えて魔法も使えますから!」


余り使い慣れてはいないが魔法も使える。

だからステラはその3点を中心に訓練した。


「もしも、何かあった時は自分の身を一番に考えてくれ。そして、何があっても君だけはなにがあっても逃げてくれ。」


公爵は何故だか胸騒ぎが止まらなく、ステラに教えてどんなにステラが身を守る術を知ってもその不安は拭うことはできなかった。



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