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囚われな悪女  作者:


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13/20

お茶会2-1


「ほらね公爵。彼女はステラだ。僕のステラ。」

そう言って伯爵は笑う。


「....ステラ嬢は行方をくらましたのですか?」

公爵様が呟く。


「あぁ。前日に喧嘩をしてしまってね。次の日にいなくなってしまったんだ。」

やれやれと言うように嘘を並べる。


「それはいつの話のことですか」

公爵はこちらを見ることをせずまっすぐ伯爵のみを見つめる。


「あれは、あぁ、3の月の皇宮パーティーの次の日さ」

そういう伯爵の言葉に公爵の指がぴくりと反応する。

それは公爵がテラを拾った日と相違がないからだ。


「...すこしテラと話をさせてくださいませんか?テラの体調も悪そうですし、今日のところはお帰りいただけませんか?」

そう伯爵に伝える際、テラを抱きしめる力が無意識に強まった。

それを見た伯爵は少し怒気を含ませ答える。

「公爵。彼女は僕のものです。それは変わりません。彼女が体調が悪いと言うなら僕の屋敷に帰り休ませます。ですから彼女は連れて帰ります。」


「...もし、もしも本当にテラがステラ嬢だと言うのであれば何故8歳の姿なのでしょう?魔法の術の類ではないように見受けられます。ステラ嬢は18歳なはずです。」


そう言われて伯爵はグッと奥歯を噛み締める。

伯爵もそれに関しては分かっていなかった。

魔法だと思っていたが実際にあったステラは普通の8歳の姿だった。

原因も理由もわからない。

だが彼女はステラで間違いないのに。と伯爵は分かっているも、証明がこれ以上は難しかった。


「....わかりました。今日のところはここでお暇いたしましょう。....迎えにくるよ。またね、ステラ。」


グッと手を震えるほど握りしめ、そう言って伯爵は部屋を出ていった。


「....テラごめん。俺...」

ずっと黙って見守っていたシノンが弱々しく呟く。


「どういう...」

ソフィアとエルはどう言うことなのか分からず、今起きたことについて考えている様子だった。


あぁ。バレた。...私のこと。...公爵様を騙していたこと。顔が上げられない。公爵様の顔も見れない。見ないで。私を、見ないで。

ステラは自身の耳を塞ぎ、目を閉じてしゃがみ込む。

責められる言葉を聞きたくない。怒られる言葉を聞きたくない。


そのステラの様子を見た公爵はせっかく来てくれたソフィア達に謝り、別室で遊んでいってくれても構わないと言ったが、ソフィア達は今日はお暇すると言って来たばかりだったが帰っていった。


「ごめん、なさい。ごめんなさい。」

耳と目を塞ぎ言い続ける。その様子に公爵はステラを抱きしめ頭を撫でた。

ステラは驚き手が耳から離れた。


「テラ。」

そう言った公爵の響きは優しかった。


「俺は君がどこの誰でも君を助けるよ。だから教えて。そして...君を俺に助けさせてくれないか?」

公爵の言葉にステラは涙を流す。


ステラはわんわん泣いた。

それはまるで子供のように泣くことを慣れていない泣き方だった。


「ヒック...わた、し、は....ヒック...」

言葉にしようとしても涙が止まらず、嗚咽が止まらず言葉にならない。


「...ゆっくりでいい。ゆっくりで。絶対に聞き逃さないから。」

その言葉でステラはゆっくり伝える。


「わ、たし...ほんとうは....ステラって、いう、名前なんですっ!....だましてて....ごめんなさいっ...ヒック」


「ステラ=ヴェラ...ヒック....本当の、私の名前...です...ヒック...黙っててごめんさい」


「は、はと、ちち、が亡くなってから...ヒック...叔父が男爵家を継いで、叔母と義妹も家に来て...私は放置されました。ご飯が出されることがなかったので、だから家にあるものを漁って食べてきました。」


「まるで...私は存在しないかのように、空気だった。でも決して家の外には出られなかった。子供だったし、家を出たら生きて、いけない、から」


それでも苦しくなかった。その後と比べたら。


「変わったのは...私が...10になった年でした...」


「叔父が...母と父の残した財産を全て使ったんです。そして...私は売られたんです。」


公爵が握っていた私の手に力が入る。

顔も険しい。


「....私を、買ったのが...テル伯爵...で、それから私の背中に刻印を彫られました。...この契約は、私が彼の命令には背かないないこと。...そして私がどこにいても分かると言うものです。...そして彼は私に言いました。逃げることは許さない。と」


「私は彼とパーティーへ行く以外ある部屋に閉じ込められました。」


「その部屋は中からは開けられない鍵のかかった部屋で。決まった時間にご飯が届くんです。でも決して自分で食べてはいけないんです。伯爵が私に食べさせる以外で食事はできないんです。自分の意思で私が何かすると伯爵は怒ります。」


ぎゅっと握られた手が軋む。


「...公爵様...っいたいっです」

顔を顰めながら言うと、公爵は顔をハッとさせ、手の力を弱めてくれる。


「すまないっ...思っていたよりも酷くて...無意識に...あぁ、赤くなってしまった...すまない...」

そう言いながら私の手をさすってくれる。


「...だから私食事のマナーも、常識も礼儀もなってなかったですよね...17になるのに...はは」

眉を垂らして無理に笑っているのがわかるくらい下手くそな笑みだが、今のステラには精一杯の強がり方だった。


「...それで、ある日新しくきた執事の人が部屋の鍵をかけ忘れたんです。」


あの日、私の運命が変わった日。そして私のせいでたくさんの人が命を落とした日。


「...それで、私は...自害しようと、医薬品の部屋に行ったんです...。ちょうどかかりつけ医も席を外していて、部屋には誰もいなかったんです。」


「だから、私はたくさんの薬を一気に飲み込んだんです。」


「.....でも死ななかった。死ねなかったんです。」


「なんでか7歳の姿になったことに気づき、そして、何故か刻印も消えていたんです。」


「そして逃げ出した先であなたに出会ったんです」

最後の一言は本当に幸せそうな、嬉しそうな響きだった。

公爵はステラを抱きしめた。


「....君の人生について簡単に俺が言える言葉じゃないのは分かってる。君はあの時死にたかったんだろう。死なないことにどう思ったのかわからない。死にたかった君に言う言葉ではないのかもしれないけれど」


「生きていてくれてよかった。死なないでくれてよかった。」


そういう公爵に抱きしめられ、そして何故か私の肩が気付けば濡れていた。


「私も、そう、思ってますよ。あの時死なずにいたから公爵様に会えた。私はあの時死ななくてよかったと、心の底から思いますよ。」

私も公爵に抱きつく。


「絶対に君を助けて見せるから。」

そう言って2人でどれくらいの時間を抱きしめあっていたのか分からないくらい、気付けば夕方になっていた。



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