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囚われな悪女  作者:


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12/20

お茶会2


***

「どうだった?お茶会」


「楽しかったです。普通の女の子に見えました。」


「....そう。でも彼女、外の世界もなにも知らないからね。」


「...そういえば、西の街の平民と言っていましたが、平民の生活がわかっていない様子でした。」


「...そう。...やっぱり。」


「...彼女は本当に伯爵の探している子なのですか?」


「....どうだろうね。会ってみないことにはなんとも。会えばすぐ、分かるんだけどね」


そう言って伯爵は一枚の絵に微笑む。


「確かにその絵の少女に似ていなくもなかったですが、髪色は違いました。」

それに年齢も違う。あの子は伯爵の何なのだろうかとシノンは考える。

彼と絵の人の子供かなにかなのだろうか。


「...茶髪だろう...?」

そう公爵は笑みを浮かべながら首を傾げる。


「え、あ、はい。」

確かにテラは茶髪だったので肯定する。


「...やっぱり、一目見る必要があるね。...それにもし彼女なら来週のお茶会で分かることがある。」


そしてこう続ける。

「....僕もそのお茶会に参加させてくれないか?」


***


ふんふんふーん。ステラは鼻歌を歌いながら、昨日ソフィアが勧めてくれた小説を読む。


「...こんなことを考えられる人がいるなんて、凄いなぁ。私もこんな風に生きられたらいいのに」


その物語は逆行や困難に勇敢に立ち向かい、戦う戦士の青年の話だった。


「私は逃げてばっかりだもんなぁー。こんな人になれたらいいのに。」

呟きながらステラは夢中になってその小説を読んだ。

そして、見事にステラはワンダーソート作品のファンになった。

それから連日読み続け作品全て読んだのだった。


途中、シノンから手紙が届く。


「俺の知り合いでワンダーソートが大好きな人がいて、今度のお茶会でワンダーソート作品の語りの会をすると話したら是非自分も参加したいと言われてしまってね。どうかな?誘ってもいいだろうか?」

そう手紙が来たので、ソフィアとエルにも手紙を出し、2人の了承を得て、了承の手紙と招待状を送った。


そしてお茶会当日がやってきた。


「いらっしゃい」

シノンに挨拶をする。


「あれ、俺が一番?早く来すぎたかな?」

シノンは通された部屋にまだ私しかいないのを見て首を傾げる。


「あ、ううん、ソフィアは少し遅れるって連絡が来てて、エルはもう少ししたら来ると思うよ!」

そう言いながら取り敢えず席に案内する。


「そうなんだ。じゃあ先にいただこうかな」

そう言いシノンはお菓子に手を伸ばす。


「あ、そうだ。今日シノンの知り合いの人も来るんだよね?確かこの前ソフィアが言ってた小説の作者が大好きとかで是非自分も話したいとかで!」

数日前にシノンから届いた手紙に私はソフィアとエルにも言い、了承を得て返事をした。


「あぁ、そうなんだ。彼ももうすぐ来ると思うんだけど...」

そう言いシノンは時計をチラリと見る。


「招待状はシノンに送っちゃったけど良かったの?どこの家の人?」


「あぁ、」シノンはお茶会の日まで彼の家門のことは黙っていてほしいと頼まれたため、自分の家に2人分の招待状をステラに頼んだ。

そしてシノンが受け取り彼に渡した。


「テル伯爵だよ。」

シノンがその名前を出した瞬間、ステラは持っていたカップを落としてしまう。

パリーンと大きく響き、カップが割れる。

それでもステラはカップが割れたことより先ほど言われた言葉を飲み込むので精一杯だった。


「...テ....ル...伯爵...?」

そう呟くステラは尋常じゃないほど顔面蒼白で震えていた。


「テラ大丈夫?...テラ?!」

初めはカップを落として怪我がないか聞こうとしたシノンだったが、ステラのあまりの様子に戸惑ってしまう。するとちょうど後ろから声がする。


「ステラ」


そう名前を呼んだのは伯爵だった。

いつのまについていたのだろうか。

それにステラって誰だ?テラと名前が似ている。

そんなことを思いながら伯爵の方を見るが伯爵は俺のことなどまるでいないかのように視線はテラしか見ていなかった。

そしてテラは何故かステラという名前で反応し、椅子から滑り落ちた。

大丈夫かと手を差し伸べようとしたら、伯爵に声をかけられ止められた。

「ステラに触れてはならないよ。彼女は僕のだ。」

ここに来て初めて伯爵は俺をみた。その時間はまるで敵を見るかのように鋭い視線だった。


どういうことなんだろう。シノンは状況が飲み込めていなかった。取り敢えずステラの様子は大丈夫じゃないことだけはわかったので公爵を呼びに行こうと部屋を出ていく。

「テラ待ってて!公爵様を呼んでくるよ!」

ステラの「待って」という叫びは声が出ずシノンに伝えることができず、そのままシノンは部屋を出ていってしまった。


「...久しぶりだね」

2人きりの空間で伯爵は一歩ステラに歩み寄りながら声をかけた。

そして伯爵が一歩、一歩と進んでいくのと同じようにステラも座り込んだまま腕で後ろに下がってく。

そのまま続きとうとうステラは壁に当たり、そのまま伯爵はステラの所へ進み、あと一歩というところでしゃがんだ。

そしてステラの顎を持ち、顔を伯爵の方に無理やり向けた。


「君が消えてから僕も大変だったよ。」

もうテラがステラだと確信して伯爵は話を続ける。


「かわいそうに。君が逃げ出したから、僕の屋敷にいた人間ほとんど殺したんだ。おかげで僕の家の人間は、ほとんど総入れ替えさ。...君のせいでたくさんの人間が死んだんだ。」


「君が逃げ出さなければ、死ななかった命たちだ。」


ステラはとっさに「やめて!」と叫ぶ。


「...君が逃げ出す原因になった男はどうなったか知ってるかい?君に恨み言を言っていたよ?君のせいでって。もう、死んでるけどね。」

そう笑顔で言う伯爵に私は涙と震えが止まらない。


その瞬間、バンっと大きな音を立てて部屋が開かれる。そこに視線を向ければソフィアもエルも、シノンもいた。そして、公爵がこちらに必死な顔をして走って向かってきてくれていた。

公爵は私の腕を引き、伯爵から引き剥がす。

私は公爵の胸の中で庇われ、伯爵から見えないように隠された。


「....どういうことですか、伯爵殿。」


そう言う公爵の言葉は怒りに震えていた。


「どういうこともなにも、ステラは僕のなんです。僕が一生懸命探していたんですけど、まさか公爵にお世話になっていたとは。」

怒っている公爵とは反対に伯爵は笑顔で普通に話している。


「....この子はステラ嬢ではありません。テラです。人違いではありませんか?」

ぎゅっと公爵はテラを抱きしめる。


「いや、この僕がステラを見間違えるわけがないだろう?...仕方ない。彼女がステラだと証明できたら僕にステラを返してくれるかな?」

そう伯爵は公爵に手を出し交渉する。


私は公爵が交渉に乗らないように必死に両腕にしがみつく。

その様子を見た伯爵は笑いながら首を振り、公爵もまっすぐステラを見つめる。


「あと10分ほどで彼女の髪は茶髪から黄金の髪色になる。彼女がステラならな。」

そう伯爵は息を吐き、近くのソファーまで離れ、そのままソファーに座る。


「...」部屋に長い沈黙が続く。

その中でステラだけが顔を青くしていた。

確かにステラは髪色が変わる。けれどそれが今日とは本人は分かっていなかった。ステラの認識は8歳の間、いつだったか色が変わったと言う認識だったからだ。

(でもどうして伯爵が私の髪が変わった日時を知ってるの?)


長い長い沈黙の中、時計が15分だったのが25分を秒針が指すと、ステラの髪色がキラキラと黄金色に変わった。


そしてその様子を伯爵以外の誰もが目を見開き、釘付けになった。


「ははは。何度見てもステラのその姿は美しいな」

誰も声を発さない中、伯爵が笑う。


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