同年代?の子供たち
「初めまして、僕はエル=エドリックです。8歳です。」
「お初にお目にかかります。私ソフィア=シャーノンですわ。9歳になりますの。」
「初めまして。俺はシノン=ロクリアです。年は10歳です。」
「初めまして。テラです。8歳です。」
ステラ綺麗にカーテシーをする。
「あら、テラ様は公爵様の養子ではないのですか?苗字はございませんの?」
「はい。私はここでただお世話になっているだけで、苗字はないです。」
「そうなんですの。私公爵様直々に招待状をいただいたのは初めてでしたので早とちりしてしまいましたわ。失礼しましたわ。」
扇をバサっと広げ口元に持っていく。
「じゃあテラは平民なの?」
「....そうね」
本当は男爵家ではあるが、ここでそれは名乗れないため頷く。
「私、あなた方の生活知りたかったのですわ!よろしかったら教えてくださらない?」
そう言われテラは戸惑う。
何故ならテラは外の生活を知らない。
男爵家では放任、家にあるものを食べて生きて、伯爵家では隔離生活を余儀なくされたため、平民の生活を知らない。
「えっと、どういう生活...?」
「そうですわねぇ...平民は1日3食ではなく2食とは本当ですの?」
「あ...」
早速知らない話題で困った。
変なことは言えないしどうしたら、と思っていたら横からシノンが答える。
「あぁ、それなら俺も聞いたことあるよ。実際に孤児院に俺行ったことあるけど2食だったね。」
そう答えてくれてテラはホッとする。
(よかった、知ってる人がいてくれて)
「あら!本当でしたのね!主食がお芋という説はどうなのかしら?」
「それも本当だね。お芋と、スープだったな」
「そうなんですのね!お芋って美味しいのかしら?私市場の食べ物を買い食いというのに憧れてますの。どこかおすすめのところとかあるかしら?」
「あ、それならカルビアのパン...」
咄嗟に昔食べた美味しかったパンの名前を言ってしまった。
「あ!そこ僕も知ってる!西の街の人気のパン屋さんだ!」
それは昔ステラが男爵家にいた時に食べていたパンの名前だった。
「あそこって人気で、それに貴族のお墨付きなところだよね!たしかえーと、あぁ、ヴェラ男爵家だ。あそこが贔屓にしているお店だ。」
ヴェラ男爵家。
その言葉にステラは肩が一瞬反応する。
ステラ=ヴェラ。これが彼女の本名だ。
「あら?そんなに有名店なら食べてみたいですわ!」
「テラはもともと西の街の人なの?」
私が中心街ではなく西の街の市場を知っていたからだろう。西の街の子爵家だから知っていたのだろうエルがテラに聞く。
「そう、ですね」
曖昧に返事をする。
実際ステラも自分がどこにいたかを初めて知った。
(私って西の街で生まれ育ったのね。)
「ふうん?じゃあどうしてここに?」
シノンが聞く。
「えっと、私が倒れてたところを公爵に拾ってもらって...それから私がお願いしたの。」
そう言うとソフィアが驚きの声を上げる。
「まあ!あの公爵様が?珍しいこともあることね。」
「珍しい?」
「そうだね。公爵様はあまり人と関わり持たないしね。」
「たしかに。公爵が来るパーティなんて王宮のパーティーくらいだしね。それも挨拶したらすぐ帰っちゃうし。」
「そうそう!だからこのお呼ばれも初めてのことで私の両親が驚いてたわ!」
「俺のところも同じだね」
「僕のところも!」
私以外はうんうんと頷きあっていて、私は首を傾げた。
「そうなんですか?でも私の誕生日のために公爵様は豪華な食事や、私のために桜やイチョウの葉を見せてくれました。優しいです。」
そう嬉しかったことを言う。
「あら、あらあら?もしかして養子の方じゃなくてフィアンセの方だったかしら?」
ニヤニヤとした口元を扇で隠しながらソフィアが言う。
「ちっちがいます!私なんか!...それに平民ですよ?!」
ふるふると首を振る。
「...テラは婚約者とかはいないんだよね?」
シノンが聞く。
「だっだから私平民の身で婚約者だなんて...!」
「あら、私の父は平民のお母様と結婚したのよ。確かにたくさん反対はされていたけれど、愛の力でなんとかなるかもしれないのよ...!もちろん私も愛する方と添い遂げたいと思っているわ。」
身分関係なく。と言う。
「まぁ、実際身分は意外と関係なかったりするよね」
シノンが同調する。
「ぼ、僕も!僕の婚約者は隣国の王女なんだ!」
エルも同調する。
「え!?エル隣国の王女と結婚するの?!」
ソフィアが驚きの声を上げる。
「あ、うん。僕の子爵家は隣国の境界の近くでね。近くの森で出会ったんだ。お互い最初は知らなくて、後々知ったんだけど、その後なんとか認めてもらったんだ!」
そう照れくさそうにエルがいう。
「ね?人を好きになるのに身分や年なんて関係ないわ。貴方は公爵様のことどう思っているの?」
ソフィアが聞く。
「.....好き」
そう呟けばソフィアはきゃーっと叫ぶ。
***
「...楽しそうだな」
テラスでお茶をしているステラ達を窓から見ながらつぶやく。
「そうですね。同年代同士で話も合うのでしょう。」
執事が答える。
「...そうだな。」
窓を見ながら答える。
(なんだろう...少し寂しく思う。)
公爵は毎日自分に笑いかけてくれていたテラを思いだし、最近は顔を合わせる時間が前と比べめっきり減ったため、テラの笑顔も楽しそうな姿も見れていなかった。
久しぶりにテラの楽しそうな笑顔を見て公爵は嬉しい気持ちにもなるが、自分との距離と比べては少し寂しい思いをしていた。
***
「ソフィア様はどうなんですか?婚約者はいらっしゃいますか?」
「私はまだ婚約者はいませんの。理想の男性はアンダーソン様のようなお方なんですの!もし!もしそんな方がいらっしゃいましたら是非教えてくださらない?!」
少し興奮したようにソフィアは言う。
「アンダーソン様...?」
初めて聞いた名前に首を傾げるステラ。
「あぁ、ワンダーソートの作品だね。」
聞いたところによると、ワンダーソートという人が書いた作品に出てくるアンダーソンという少年が理想だったらしい。
「...えと、今度作品を読んでみますね」
そう言うとソフィアは私の両手を包み頬を赤らめて言う。
「まあまあ!嬉しいですわ!是非読み終わりましたらアンダーソン様の良さを語り合いましょう...!」
作品の良さではなくアンダーソンと言う作中の主人公の良さを語るんだ。とステラは思ったことを飲み込み「是非」と返事をした。
「是非その時は俺も招待したくれ。俺もワンダーソートの世界は好きなんだ。」
「まぁ、女子会をしようと思っていましたのに!仕方ありませんわね。」
「あ、じゃあ僕も...。読んだことない作品もあるけどそれは読んだことあるし...」
そしてまた来週もここで会う約束をした。
「み、皆んなはお菓子は何が好きですか?」
「私はマカロンが好きよ!あの甘くてサクサク感がたまらないのよね!あと色も可愛くてすきだわ!」
「僕はカヌレとかマドレーヌが好きだなぁ。」
「俺は甘いのはなんでも好きだよ。」
「わかりました!次にお会いする時はそのお菓子を用意しますね!」
ヤヨリにすかさず伝える。
「あら!それは嬉しいわ!楽しみにしているわね!ここのお菓子とても美味しいわ」
「うん、美味しいね!初めて食べたお菓子もあるし、これはなんて言うお菓子?」
「あ、これはお団子っていうお菓子です。」
「これは?」
「それは最中です。」
「へぇ!初めて食べたけど本当に美味しいね」
「公爵様と前桜を見た時に私も初めて食べて美味しいって言ったらたくさん教えてくれました!こういうお菓子を和菓子って言って、お花見の時とかに食べるお菓子なんだそうです!」
「あらそうなんですの!私も先週紅葉を花見をする予定があったのですけれど、その時に持っていけばよかったわ!」
皆さんは紅葉は見に行かれましたの?
そうソフィアにきかれ、
「俺はもともと北の街に住んでるから紅葉は毎年見に行けてるよ。でも花見とかはしたことないかな」
「僕も偶に行くよ。今年は行けないけど来年は行けるといいなぁ」
「わ、私は...見たことない、です」
そう答えるとソフィアが
「あら!じゃあまだ見頃ですし、公爵様に連れて行っていただいたらどうかしら?イチョウの葉とはまた違ったとても綺麗なのですよ」
そうは言われても、ステラは北の街には怖くて行けないのだ。
「そう、ですね。公爵様に聞いて、みますね。」
そう濁すと、
「じゃあ次会う時は俺の屋敷にどうかな?」
シノンが続ける。
「俺の屋敷は来週ならまだ紅葉見られるよ。」
そう言う。
「あら!それはいいですわね!」
「うん!僕も紅葉見たかったんだ!行きたい」
2人はもう乗り気になってしまった。
ここで私が断ったらこの雰囲気を壊してしまうし、私が北の街に行かないと言ったら何故?とおかしいと思われてしまう。
ステラはぎゅっと目を瞑りながら
「い、い」いいよと言おうとした時、
「すまない。来週はテラに遠出されては困るんだ。」
ステラの後ろから久しぶりに聞く声がした。
「公爵様...?」
「来週ここで会ってくれるのは構わないんだが、次の日に予定があってね。すまないね」
そう言って公爵は私の座っている椅子の淵に手を置く。その姿をステラは見上げていた。
私以外の皆んなが立ち上がり公爵様に挨拶をした。
「こちらこそ、テラをよろしく頼むよ。俺の挨拶が遅れてすまなかったね。仕事が終わらなくてね、またすぐ戻らないとなんだ。君たちはゆっくりしていってくれ。」
そういうと公爵はまた屋敷の中に戻っていく。
「えと、ご、ごめん、ね。」
北の街に行かないことを謝る。
「〜〜っ!!すごいわ!!」
ソフィアが叫ぶ。
「公爵様が微笑んだところなんて初めて見たわ!!かっこいい!テラが惚れてしまうのがわかるわ!自分だけに特別なのっていいわよね!」
そう興奮した様子で言われ、咄嗟に「ちっちが!」と否定しようとしたが、好きなのは本当のことなので言葉が喉に詰まる。
「でも残念だな。俺の家の紅葉も綺麗なんだ。いつでも遊びに来てくれていいからね。」
そう言ってシノンは言うので、謝ってからお礼を言った。
そして、あっという間に日が暮れ出したので、今日は解散となった。
「じゃあまた来週にね!」
「またね!」
そう言い皆んな各々の馬車で帰宅していった。




