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しまった。
海斗はそう思ったが、もう遅い。
そのままじいちゃんの説教が始まった。
ばあちゃんも加わる。
小一時間二人で説教され、終わったころには海斗はぐったりしていた。
それでも気になることがある。
海斗はきいた。
「あれ、なんなの?」
じいちゃんはしばらく考えていたが、やがて言った。
「成れの果てだ」
「成れの果て。なんの?」
「むかし、わしが子供の頃の話だが、ある女がいたんだ。赤ん坊がいた女が。その女、男に逃げられて赤ん坊と二人で住んでいたんだが、生活に困って悪さばかりしてなあ。村の作物や村人のお金を盗んだり、それだけでなく、憂さ晴らしに村の人のものを壊して回ったり。今なら警察のお世話になるところだろうが、昔の村はそんなことはなく、ただその女が警戒されて疎外されただけだ。村人に警戒されて思うように盗みもできなくなった女は、とうとう赤ん坊を山に捨ててしまったんだ。それで……」
「それで?」
海斗が聞くと、じいちゃんは少し間をおいてから答えた。
「それで、その赤ん坊を、猿が餌にして食っちまったんだ。それの成れの果てだ」
終