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じちゃんとばあちゃん家に行った。
田舎だ。
じいちゃんち家は平地にあるが、周りに家はない。
隣まで数百メートルだ。
あとは田んぼと何もない野原。
そして平地にある森だ。
裏に大きな山があるが、じいちゃんはいつも「山には入るな」と言っていた。
その理由は猿がいるからだ。
猿は体は大きくはないが、そのスピードと力は人間よりも上だ。
その上、鋭い歯と爪を持つ。
一体だけでも成人男子でも対処が難しいのに、いつも集団でいるのだ。
危険極まりない。
海斗は猿を見たことはないが、その怖さは何となくわかった。
でも山は面白そうだ。
海斗はいつか山に入ってみたいと、いつも思っていた。
じいちゃん家に来てから数日後、海斗は急に山に入りたくてたまらなくなった。
どうしてそうなったのかは海斗自身にもわからないが、我慢が出来なくなったのだ。
危険だとわかっていても。
海斗は山にはいった。
迷わないこと。
猿に出くわしたらすぐに逃げること。
楽しむために山にはいったのだが、そんなことばかりを考えていて、全然山を楽しめない。