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第12話 花は天の階段をそっと歩く

 牡丹さんが連れて行った場所には、銃を杖にした中年男性が待っていた。細い体躯に目の下の青いクマ、疲労に刻まれた顔立ち。一見すると現代の一般的なサラリーマンのような男が、散弾銃で人を脅している。ここは日本だ。狩りの名目であっても、人に銃を向けることなど考えられない。しかし、各務家の当主はそれをやってのけていた。撃たれれば、体の一部が瞬時に吹き飛ばされる。


 「愛しい末井スエイよ。ようやく再会できて、俺はとても嬉しい」


 中二病めいた一人称で堂々と名乗る男に、また驚かされた。嫌な予感がして、ステラの顔を手で隠す。


 「で、お前らは誰だ?またあの女に雇われた邪魔者か?電話で俺と話をした者は何者だ?おい、そこの君。お前が答えろ」


 牡丹さんはヘラヘラと笑いながら、当主の顔色を窺った。


 「お待たせしました。当主様とお電話した者は私でございます。連絡用の携帯を持参しておりますので、直接お電話いただければお分かりになると思います」


 当主は眉をひそめ、携帯でどこかに電話をかけた。すると、牡丹さんの携帯から着信音が鳴り響いた。


 「はい、もしもし、牡丹さんです。ご確認ありがとうございます」


 彼は笑顔で、騒々しく鳴り続ける携帯を当主に見せた。その厚かましい嘲笑は当主の神経を逆撫でしたが、感情を押し殺している様子が見て取れた。気持ち悪いと感じるのは当然だ。隣で見ている僕でさえ、五臓六腑ごぞうろっぷがひっくり返りそうになる。しかし当主には、彼らへの要件がまだ残っていた。


 「実に下らない面だ。俺の末井はそこに残して、さっさと消えろ。今なら撃たずに見逃してやる」


 「取引の条件をお忘れですか?末井様の引き渡しではなく、交換です。見る限り、アリマ様は一緒ではないようですが、お嬢様はどこに——」


 その時、突然、耳をろうするような発砲音が響いた。血が逆流するような激しい憤りが全身を熱くする。アスファルトの地面がぽっかりと凹み、壊れた破片が足元に飛んできた。


 「十を数える間に消えないと、次はお前らの顔面にぶち込む。一、二、三……」


 「一旦、落ち着いてお話を聞いてください。さすがに二年ほど各務家に勤めた私でも、当主様が素直に取引に応じないことくらいは見通していました」


 こうしたはったりめいた態度にも動じず、当主は引き続き数を数えた。牡丹さんは深くため息をつき、教師のように当主が何を見逃したかを丁寧に説明した。


 「七日前にガーデンズ学園で発生した爆発事件の真犯人が、まだ捕まっていないことをご存知でしょうか」


 「……七、八、九」


 「犯人は、傷を負ってもすぐに回復し、さらに刺激を与えた場合、半径二百メートル以内のものを灰になるまで燃やすらしいです」


 続いて牡丹さんは僕の肩に左手を置き、強い口調で告げた。


 「紹介しましょう。真犯人の炭咲千春です。銃に撃たれる瞬間、ここでガーデンズ学園の惨劇が再現されます。それでも問題ないというのであれば、そのまま撃っても構いません」


 そう言いながら、腕の包帯を外して枯れた黒い木炭を当主に見せた。その時、僕は片手を乗っ取られ、ステラを手放しそうになったが、幸い残った片方の手だけでもステラの体を支えることができたため、落とすことはなかった。


 「しっかり抱えてください。その子の安全が、私たちの身の安全に繋がっています」


 「ふざけるな。勝手に僕の腕を掴んだのはお前じゃないか。灰にするぞ」


 「細々とした愚痴は後にしませんか?今は空気を読んで、目の前にいる当主様から目を離さないでください。ある意味で、あなたと似た人ですから、注意しないとこの場で死人が出ます」


 死ぬのはてめえだ、と声にならない口の形で呟いた。これ以上牡丹さんに振り回されるものかと決めて、彼の手を払いのけた。アリマがどうなろうと、すべては自ら招いた結果なのだから、僕には関係ない話だった。


 「アリマ様は、自らを犠牲にして末井様をこの家から救おうとしています」


 牡丹さんが急いでアリマの話を持ち出し、僕を呼び止めた。


 「明日、バベルの委員会アゴラが開かれます。お嬢様はその場に当主様を出席させる計画を立てました。しかし、炭咲さんの協力がないと、アリマ様の計画は水の泡になります。仮に、もし強行してここから逃げたとしても、当主様は二人を探し出すために人を雇うでしょう。それでも大丈夫ですか?各務家との腐れ縁を断ち切るチャンスを、自ら蹴り飛ばしても良いのですか?」


 「明日、バベルでアゴラが開かれる。お嬢様はそこに当主を引きずり出すつもりです」


 牡丹さんの表情が一変した。刃物のように研ぎ澄まされた目が獣のように映る。僕は無意識にステラを抱く腕に力を込めた。


 「でも、あなたが協力しなければお嬢様の計画は台無しになる。それでいいんですか?」

 

 声のトーンが低く、威圧的になった。当主の銃口が向けられている状況でも、牡丹さんは僕を脅している。


 「ここから逃げても当主は必ず二人を追いかける。お嬢様の最後の望み…あなたが潰すことができるんですか?」


 「盗人猛々しいにも程がある」


 僕は怒りを抑えきれず、声を荒げた。


 「だったらどうしろと言うんだ?最初から騙さずに助けを求めていれば、その『計画』に僕だって協力したかもしれない」


 牡丹さんは僕の剣幕に気圧されることなく、深々と頭を下げた。


 「その点に関しては申し訳ございません。今回の非礼は、後でお嬢様の分まで私がすべて償わせていただきます」


 頭を上げた牡丹さんの目に、今度は哀願の色が浮かんだ。

 「だから、どうかアリマ様を助けることに手を貸してください」


 僕は懐に抱かれたステラをじっと見つめた。頬に当たる彼女の寝息が温かい。アリマを完全に信用できるわけではない。それでも、ステラにとって姉の存在がどれほど大切かは分かっていた。


 悩む必要はない。ステラが望むことだけを考えればいい。


 僕は顔を上げ、牡丹さんに手を差し出した。差し出された手は思ったより冷たく、そして震えていた。


 「街を騒がせた噂の罪人がお前だったのか——」


 当主の声に、僕の血が凍りついた。バレた。


 「あの女が俺に反旗を翻した時は、いよいよ己の無能さに頭がおかしくなったと思ったが」


 当主はゆっくりと銃を下ろしながら、獲物を品定めするような目で僕を見た。


「こうして切り札を隠していたとは予想もつかなかった」


 牡丹さんは石のように無口を貫いている。僕も同じように沈黙を守ったが、心臓の鼓動が耳に響いて仕方がない。ステラの重みだけが、現実を教えてくれた。


 「生意気な女だ」


 当主の舌打ちが空気を切り裂く。


 「最後まで俺を欺こうとしている」


 そして突然、当主は踵を返した。


 「興が冷めた。俺があの女を連れてくるまで、先に庭の渡り橋で待ちなさい。お前との取引は、あの場で行う」


 背中越しに告げられた言葉に、僕は初めて安堵のため息をついた。


                  ◇


 嵐のような時間を通り抜け、休む暇もなく、当主が指定した約束の場所に三人は向かった。途中から、ぎこちないながらも、ステラが元気を取り戻し、なんとか自分の足で歩こうとした。不安はあったが、ステラを信じることも大事だと牡丹さんに言われ、僕は半歩後ろからステラの歩みを気を揉みながら見守った。


 当主が話した庭は、屋敷から五分ほど離れた場所にあった。まだ春が訪れていないはずなのに、新緑が眩く輝き、庭の入口から甘い匂いが辺り一面に漂っている。フローラルな香りがそよ風に運ばれ、衣服に染み付いた火薬の臭いと混ざり合い、僕の肺を徐々に満たしていく。こうして穏やかな雰囲気に心の不安を和らげられ、やがて僕たちは静かな庭への誘いに心を奪われた。


 奇妙な空気を醸し出す狭い入口を抜けて次へと歩むと、陰気な通路が現れた。緑の迷路は複雑で太い木に覆われ、一歩足を踏み入れた瞬間、僕は未知の危険に満ちた土地に取り囲まれた。たちまち、ステラは興味を示し、わざと大きな足音を立て、柔らかな茎を手で触りながら前へ進んだ。この道にはきっと、人々を不安がらせる何かがある。僕はそう思いながら、ステラから目を離さなかった。


 「ネネが、あそこにいるの」


 ステラは千篇一律の森道を、一切の迷いなくアリマの居場所に向かって進んだ。

庭の中心部に辿り着くと、いかにも冷たい感じの湖のような大きな池が見渡す限り広がっていた。凍った池の表面には今朝降った雪が積もり、冬風が水面を渡って岸の雑木林に吹いている。その奥に架けられた赤い橋以外は、今まで通ってきた場所とは全く異なる、殺風景なほど何も置かれていない場所だった。


 「パパ、あれを見て」


 ステラが指差した方向には、一機の小型ヘリコプターが庭を飛び越え、空気を斬る駆動音に混じって池に向かってきた。それを見た牡丹さんが身を乗り出して注意を促したが、吹き下ろす風に声も言葉も一緒に飛ばされた。


 「穢らわしい愚民どもめ、究極に美しい俺の末井を渡しなさい。それがお前たち下々の者どもの仕事である」


 ヘリから吹きつける強風が静まり、中二病めいた台詞を語る人影が橋の上に降りてきた。約束通りにアリマと一緒に来た、各務家の当主だった。これまで僕は、父親以外の親はまともな思考のできる大人だと思っていた。しかし、あれを見ると、体だけ歳を取ったガキと変わりがない気がする。


 愚民とは、まるで自分がどこかの王様であるかのような言い方だ。池から離れた上空に留まるヘリを見上げながら、僕はそう考えた。


 「牡丹さん?あんたが何でここにいるのよ。姉さまと一緒に炭咲さんのところに避難しろって言ってたじゃない」


 明らかに当主との取引を企んだのは牡丹さんだった。怒られても当然だ。僕は非常に不快な顔をしかめて彼を睨みつけた。非難されても当然の本人は、反対側にいる当主に向かって大きな声で何かを叫んだ。


 「お嬢様がお元気そうで何よりです。約束通り、橋の真ん中で二人を交換しましょう」


 そう言った後、牡丹さんは僕の耳元にあることを囁いた。


 「間もなく天空から塔が敷地内に降りてきます。当主の注意は私が引きますので、その間にお嬢様と一緒に橋を渡ってください」


 無理だと言い返す前に、牡丹さんはステラの手を握って橋を渡り始めた。ステラも何の抵抗もなく、牡丹さんと一緒に歩いている。また、僕は苦しく胸の辺りを掴んだ。また独り取り残される感覚が、心臓の奥に刻まれたあの日の無力さを再び蘇らせ、僕を苛んだ。


 僕は橋の手前で立ったまま、向こうで話が無事に終わることを、そわそわしながら見守った。万が一の事故が生じた時は、走って当主を阻止することも想像した。


 「炭咲さん、今です!二人を連れてこの場から離れるのです」


 牡丹さんが非常に差し迫った声で呼びかけた。いつの間にか赤い橋の真ん中では、男二人が互いに体をぶつけ合って争っていた。アリマとステラは近くでじっと動かない。僕は遅れて状況を把握し、子供たちがいるところまで走りかけた。


 「ステラ、アリマさん。そこから離れなさい」


 突如として池の面に巨大な影が落ち、世界が暗闇に包まれた瞬間、僕は天を仰いだ。頭上で鉄の鳥が踊っていたヘリコプターが、見えざる手によって引き裂かれ、各務家の庭へと墜落していく。炎を纏った金属の亡骸から立ち上る業火が、乾いた枝という枝に飛び移り、庭は炎の収穫祭と化した。池の辺りは水という聖域に守られて災禍から逃れていたが、その向こうでは再び、あの地獄絵図のような阿鼻叫喚の夜が蘇っていた。


 ステラを探さなければ。その一念だけが僕の胸に宿り、赤い橋の中心へと足を向けた。


「お前ら、俺を騙しおってただで済むと思ったか?」


 激発した銃声が耳を引き裂く。音がした橋の中心には、赤く滲む血煙がまつわり、牡丹さんが左胸に紅い桜を咲かせて倒れていた。僕は素早く当主から銃を奪い取り、投げ捨てた。二度と銃など使えないよう、自分の木炭で潰し折った。


 「おやおや、各務一家を通報した娘とその仲間となる小僧が、揃いも揃って何をしているんだい?通報の内容を読んで、ある程度は予想していたが、まさかここまでやってくれるとは期待していなかった」


 お芝居がかった声で、何者かが言葉を投げかけた。


 「それにしても、陽様の花園を模倣できるとは、たかが知れた野蛮な虫けらとは大違いだ。褒めてあげよう」


 「牡丹さん、気をしっかりして。死んじゃダメだよ」


 何が起きているのか。僕は突然出現した謎の者とアリマの間で、様子を窺った。どこか見覚えがある。焦がされた家の壁に映った、オレンジ色の火炎の中で見た顔が、目の前にいる存在と重なって記憶の混乱を起こした。


 「お前が何でここにいるんだ」


 僕は緊張のあまり吃った。


 「何で、ここにいるんだよ!」


 僕は倒れた人の前で泣いている人を見て、息を呑んだ。その時、ただならぬ気配を感じ取った。七年前に庭師と一緒に家を訪れた仲間の中に、奇妙な笑い声を上げて僕を見下ろした案山子がいた。服は昔より派手になったが、あの声は、十死一生の日を思い返しても一生忘れられないだろう。


 「仕事だ。案山子AとB、各務家の娘の身柄を確保しろ。急げ、急げ。次のアゴラに議題を上げないと、陽様から怒鳴られるぞ」


 僕の記憶の中にいた案山子は、確かに学園で会った案山子より人間らしい表情を持っていた。今では他の案山子に命令を出しているが、元々は命令を受ける方で力仕事を任されていた。服も高級ブランドのスーツを着て、顔には似合わない片眼鏡をかけている。案山子でも出世をするようだ。


 意思を持たない二体の案山子が、アリマを捕らえた


 「放してください。まだ、あの人に何も言えませんでした」


 「ネネをいじめちゃダメ!」


 泣きながらも牡丹さんから離れようとしないアリマの姿が、いかにも哀れに映る。その隣のステラは、泣き出しそうな顔で案山子の足を引っ張った。僕は意識を失った牡丹さんの鼻元に耳を寄せた。呼吸音が乱れているが、まだ生きている。病院に運べば助かる命だ。


 「た、助け…助けてくれ!あの女が、あの女が殺し屋を雇ったんだ!」


 当主が折れた手を震わせながら、案山子に命乞いをする。生き残るためであれば、靴先でさえ舐めかねない勢いだ。


 「各務家の小僧よ、陽様から授けてもらった服に指一本も触れるな。病気が移る」


 そう言った後、モノクルを服で拭いた。


 「そうやって急かさなくても、次は君の番だ」

 

 「待ってくれ、俺は本当に無関係なんだ!」


 当主の声が裏返った。


 「不運だな。通報者とその関係者は一旦、バベルに監禁することが原則だ。それに、君はあの娘の保護者である父親の立場としても、一緒に行く義務がある」


 「違う、違うんだ!」当主は必死に首を振った。「あいつは各務家の本当の娘じゃない。元々は新吉原から連れてきた孤児で、出身地も知らない——」


 「ほう?」


 案山子の声に嘲笑が混じる。


 「樹の一族の研究だって、あの女が勝手に始めたことで、俺は最初から反対だった。本当に信じてくれ!」


 当主の額に汗が浮いていた。


 話の展開が早すぎて、思考が追いつかない混沌の中、案山子の目玉と僕の視線が交差した。死神の微笑みが、そこにあった。


 「じゃあ、証明してもらえる?君が樹の一族と無関係であることを、今この場で血と涙で証明できるのか?まあ、君の娘だと名乗った人物はあの娘一人しかいないから、君の命までは奪わない。ただ、今の話は、直接バベルに通報が入った件を調査するために出向いた案山子の特権として、君に最後の弁論する時間だと思えばいい」


 当主は案山子の言葉を聞いてから、何かの計算をするように呆然とした。そして、僕はその虚ろな視線が幼いステラに向かっている邪悪な真意を悟り、立ち上がって一気に足を動かした。


 「要するに、問題になるその小娘を処分したら済む話ですね?」


 一片の躊躇もなく、血溜まりに落ちていた銃を拾い上げ、引き金に指をかけた。さっきは、当主の指ではなく銃という悪魔そのものを完全に破壊しておくべきだった。後悔が津波のように心の底に押し寄せてくる。


 寸分の差で、ステラの絶望と僕の影が重なり合った。


 「パパ?」


 僕が咄嗟に体を飛び出したおかげで、銃弾からステラを守れた。一発目の銃声と二発目の銃声の間にできた僅かな時間差に、崩れた姿勢を立て直す余裕は十分あった。最初の一発は右腕に当たり、次は背中に命中した。傷口から熱を帯びた痛みが大量の血と共に流れ出し、橋の上に赤黒い水溜りを作った。


 「ステラ、大丈夫?怪我してない?」


 「ステラ怖い。ここ、嫌だ。ネネと一緒に家に帰りたいの」


 良かった。怪我はなさそうだ。ステラを安心させるために頭を撫でようとした時、自分の右腕が手首まで砕けていることに気づいた。薬を一度に飲んだせいで、痛みと共に脳の神経が麻痺し、感覚自体が鈍くなったようだ。


 「パパも大丈夫?痛くない?」


 僕は言葉の代わりに、ステラの頭を左手で優しく撫でてあげた。完全無欠と考えられていたこの体にも、ついに限界が来ている。すべてを防御するはずの木炭がそうではなかったことを七年ぶりに直面し、僕は片手だけでも動くことに心から感謝した。


 「炭咲さん、後ろです!」


 そう呼ばれて振り向くと、そこには銃をまだ手放していない当主が、壊れた左手で銃身を支え、もう一発装填した銃口をこちらに向けていた。弾切れにならないのかと問うには、薄汚い当主の笑みに口が凍ってしまった。


「俺の勝ちだ」


 背中で銃弾を防ぐつもりで、ステラを抱きしめた。再生力がなくなっても、一人の子供くらいは皮が剥がれて血みどろになった生身の背中で守れると思った。だが、それは自分だけの傲慢に満ちた勘違いだった。


「ダメ!——」


 銃に撃たれた直後、僕はステラを抱いた状態で橋の上に倒れた。地面に手をついて立ち上がろうとしたが、腰が砕けたように下半身に力が入らなかった。また銃声が聞こえた。


 灰色の腕が銃弾をはじき飛ばし、冷え切った鋭い破片になった木炭がステラの胸に食い込むのを見届ける僕にとって、その数秒間は恐ろしく長かった。横たわった状態でステラの顔を見ると、苦痛に歪んでいるはずなのに、なぜか笑顔を浮かべていた。今回も無事にステラを守ったと思って、僕は完全に無防備になった体に疲労感が押し寄せるにつれて、視界が徐々に霞んできた。


 「パパ、ネネと仲直りしてね。本当はね、ネネもステラと一緒に優しいパパが好きなんだよ」


 「へえ、それは知らなかった。アリマさんがステラに本音を言ったのか?」


 「ステラも知らなかったの。でもね、この間、パパと出会えた時の話を聞かせたら、『アリマも優しいパパが欲しい』って言ってた。ネネ、すごく可愛い顔をしてたよ」


 「本当か?信じられない。冷酷で冷静なアリマさんに可愛いイメージなんて、想像できないな」


 「でしょう?ネネもステラみたいに笑えるんだよ」


 なぜか自然にステラとの会話が始まり、家族の話で雰囲気が和んだ。親子関係というものは、何かの行き違いで明日どうなるか分からない。個人同士の関係に似ているが、家族には特別な繋がりがある。しかし僕は、この世の中の親子関係というものを、ずっと冷ややかな目で見てきた。それぞれの親子関係は千差万別で、同じものなど一つとしてないというのに。自分が父親に捨てられた僻みからなのかもしれない。


 「パパに一つお願いがあるの」


 ステラが柔らかな微笑を浮かべる。血が唇を染めているのに、その笑顔は美しかった。


 「ネネのことを大事にして。何があっても守ってあげて。悲しい時も嬉しい時も一緒にいてあげて」


 「それは父親のようにということか?無理だよ、それは」


 「どうして?」ステラが輝く瞳で僕を見上げた。「ネネもパパの娘なの。忘れた?」


 「僕は実の父親でもないし、お金も社会的地位もない。そんな僕が子供の面倒を見てどうする。もっとちゃんとした大人に任せて、世話を見てもらわないと」


 「じゃあ、パパはいつパパになれるの?」


 「それは…僕にも分からない。今より歳を取って、大人になったら自然になれると思う」


 「えええ、それってパパが大嫌いな人たちと同じでしょ?パパもそうなりたいの?」


 言われてみれば、その通りだった。僕が話していた「大人」は、ただ歳を取っただけでなれる存在ではない。それはもっと責任感を持って、子供を大事にしてくれる人のことを意味する。夢と現実の間で大切な何かを失った大人は、ステラが話した優しい人からは程遠い存在だった。


 「だったらね、パパがなってあげてよ。パパならできるよ」


 「僕が?」


 「うん、パパは今も優しいし、責任を持った立派な大人なの。ネネも言ってたから、きっとなれる。ステラが応援するから」


 ステラは息を荒げながらも元気な声で言った。


 「ステラは世界で一番優しいパパが一番大好き」


 その言葉と共に、ステラの手が僕の頬から滑り落ちた。


 僕はステラの告白を聞いてすぐに目を覚ました。白い息を吐きながら、辺りを見回す。静かな病室にベッドサイドモニターと点滴が二本、そして小さな加湿器が置いてあった。各務家の庭ではなく、見知らぬ病院にいるようだった。隣にはもう一つのベッドが置かれていたが、空いていて僕一人だけが部屋を使っている。


 呼吸マスクを外して吸った空気は、冷たいミントの味がした。無理に体を動かそうとするたび、脳を針で刺すような頭痛が強くなった。そして下半身から何の感覚も伝わってこない。確かにある体の一部が、他人のもののように感じられる。頭では自分の体だと認識していても、臍から足先までの主導権を失っていた。


 夢の中のステラの最後の言葉が頭に響いている。あれは現実だったのか、それとも僕の願望が作り出した幻想だったのか。


 とりあえず、ステラを探すために、ここから出る方法を考えた。しかし、下半身に力が入らず、車椅子に移るのも一苦労だった。


「す……み……ません」


 声が掠れて出ない状態で、仕方なくナースコールを押した。少し待っていると、看護師が病室のドアを開けて僕と目が合った。何か書くものが欲しいとジェスチャーで示したが、慌てたように「先生をお呼びします」と言って立ち去ってしまった。


 歩けないことに改めて気づくと、ベッドの横に車椅子を発見した。使ったことがない物に慣れるまで時間がかかった。ぎこちなくハンドリムを回して前進と後進を覚えてから、病院の廊下に出た。


 外はやけに静かだった。窓から眺める外の世界は、四月の夜空に季節外れの雪が舞い続いている。僕は車椅子を操作して、同じ階の病室を一つずつ訪れ、小さな窓からステラの姿を探した。


 「その部屋は空室です。どなたかお探しですか?」


 ある医師が中性的な声で僕に呼びかけた。銀髪という珍しい容貌の持ち主だった。僕は軽く頭を下げて挨拶をする。声が出ないため直接説明するのは難しく、ステラの身長を手で示してジェスチャーで表現した。これくらいの身長の子供を探している、という意味だった。


 「一緒に入院されたお子さんをお探しでしたか」


 医師は疲れきった表情でそう言った。目の下にうっすらと隈が見える。


 「案内いたします。少し歩きますので、車椅子は私が後ろから押させていただきますね」


 徹夜明けらしい疲労の滲む様子に申し訳なく思い、もう一度軽く頭を下げて感謝を示した。


 「お礼は結構です。これも仕事のうちですから」


 名札を見ると「銀」の一文字だけが書いてある。簡素で、どこか謎めいていた。

静寂に包まれた病院の廊下を通り抜け、エレベーターホールへと向かう。銀さんがボタンを押すと、やがて機械的な音と共にエレベーターが九階に到着し、扉が開いた。中に人の気配はない。


 「一階ですね」


 銀さんは一階のボタンを押してから、振動で車椅子が動かないよう、慣れた手つきで壁側にブレーキをかけてくれた。エレベーターがゆっくりと降下を始める。密閉された空間に、かすかな機械音だけが響いていた。


 一階に到着するまで一分もかからなかった。


 エレベーターの扉が開かれた瞬間、人々の泣き声が木霊となって空間を圧倒した。ある声は切なさに染まり、ある声は怒りを孕んで重く響く。人の嘆きが呼吸するたびに耳に飛び込んでくる。僕の心臓がそれに呼応するように激しく打ち、血が頭に上った。


 「お子様は、一番奥の霊安室にいらっしゃいます」


 その時、奥の霊安室の扉が開き、白衣を着た小柄な中年女性が現れた。僕より背が低く、赤縁の眼鏡をかけ、後ろ髪を綺麗に結んでいる。香月さんだった。


 僕は自分の力で車椅子を動かし、廊下を進んだ。背後で何か言われたが、無視した。まず確かめなければならないことがある。


 扉は重く鈍い音を立てて開かれた。霊安室に入り扉を閉めると、真ん中に置かれたベッドに薄い光が差し込んだ。閉ざされた部屋に線香の匂いが漂い、僕の体を包み込む。


 親しい人の死の匂い。


 その瞬間、僕の世界が崩れ落ちた。


 心臓が破裂するかと思うほど激しく打ち、胸の奥から何かが引き裂かれるような絶叫が込み上げてくる。声にならない悲鳴が喉の奥で渦巻き、息ができない。激しい吐き気が波のように押し寄せ、それを抑えようと必死に体を伏せた時、バランスを崩して車椅子から冷たい床に転落した。


 違う、これは違う。ステラじゃない。ステラじゃない、ステラじゃない、ステラじゃない——


 心の中で呪文のように繰り返しながら、僕は両腕で床を掻きむしるように這って行った。爪が割れ、手のひらが擦り切れても構わない。這い、吐き、嗚咽を殺して、魂が砕け散るのを辛うじて堪えた。立てない脚が僕を裏切り、立てない脚が僕を這いつくばらせる。


 上半身の力だけで体を起こし、白いシートで覆われたその小さな、あまりにも小さな影を見つめた。


 僕の手は震えていた。シートに手をかけることすら、この世で最も困難な行為に思えた。


 「あああああ」


 獣のような叫びが喉から絞り出された。止めどなく涙が溢れ出し、僕は自分の胸を拳で叩き続けた。鈍い音が響く度に、心臓が潰れそうになる。喉から零れ落ちた形を失った声が、行き先を見失った亡霊のように部屋の中を彷徨う。


 僕は再びベッドの上に横たわるステラの遺体に向き合った。


 ステラ。僕のステラ。


 体を反らして慟哭した。左腕が砕け散るまで床を叩いた。皮膚が裂け、血が滲んでも、この痛みはステラを失った痛みには遠く及ばない。僕の魂の一部が、この静寂に包まれた霊安室で永遠に死んだ。


「炭咲、炭咲。君のせいじゃない。だから、自分を責めないで」

 その優しい声が、僕の世界をもう一度完全に破壊した。


 血涙が頬を伝って流れ落ちる。尽きることのない思いが胸を焼き尽くし、もどかしい過去の面影は跡形もなく消え去った。ベッドに横たわるステラを見つめる僕の目には絶叫の涙が溢れ、悔しさと絶望が混ざり合った感情が心臓を鷲掴みにする。その鼓動が耳元で太鼓のように響き、僕を狂気の淵へと追い立てた。


 構わず泣き叫ぶ僕を、後ろから誰かが抱きしめてくれた。人の温もりが氷のように冷え切った僕の体内に染み込んでくる。永遠に冬の季節に閉じ込められたステラを思い出し、あの夜と同じく、一人だけ生き残った自分の運命を呪った。


 なぜ同じ試練を僕に与えるのか。なぜ僕だけがこの苦痛を背負わなければならないのか。


 「なぜ……なぜ僕だけ……」


 枯れ果てた声は僕の意思とは関係なく、錆びついた鎖のように途切れ途切れに響く。神への問いかけか、運命への呪いか、それとも自分自身への裁きか——もう分からない。


「炭咲のせいじゃない。ステラちゃんもきっとそう思ってるよ」


 この声は、こひなだ。


 暖かい腕に包まれながら、僕の記憶が蘇る。各務家での出来事、一緒に過ごした時間、そして今も隣にいてくれているこの人。花園大学医学部附属病院からステラを探しに一人で父親の会社に向かったあの日、僕は二度とこひなに会えないと思った。


 一人の人生に慣れ切った僕にとって、他人と関わり合い、すぐに別れることは日常茶飯事だった。人は現れ、消えていく。それが僕の人生の定理だった。


 しかし、ステラに導かれて絆で結ばれたこひなとの縁は、不思議なことに今もここにある。僕の最も暗い瞬間に、彼女はまだ僕の隣にいる。この奇跡のような事実が、僕の心をさらに引き裂いた。なぜステラは去ったのに、なぜこひなは残っているのか。


 「早く起きろ、春」

 

 香月の低い声が耳に響いた。


 「いつまでそうやって俯いているつもりだ」


 僕は顔を上げることができなかった。ステラの最期の表情が、まぶたの裏に焼き付いて離れない。


 「炭咲…」優しい声が聞こえた。「無理しなくていいから」


 僕の肩に、そっと手が置かれた。


 「手を離せ」香月が低く言った。「今はそっとしておいてやれ」


 「でも…」


 「これは俺とハルの問題だ。部外者が感情的になっても状況は改善しない」


 香月の声には、普段の穏やかさが微塵もなかった。彼女の手が、僕の肩から離れていく。


 「部外者?」声が震えた。「あたしが部外者だって言うの?」


 香月が振り返った。表情に変化はなかった。


 「あたしだって…」言葉が途切れた。「ステラと炭咲と三人で過ごした時間があるのに」


 握りしめられた手が、行き先を忘れてぶれている。


 「それなのに、どうして…」涙が頬を伝った。「どうして炭咲くんを責めるの?一番つらいのは彼なのに」


 「どの口が言う」香月の声に、抑えきれない怒りが滲んだ。「医者を責めるお前は、あの場で何ができた?お前はただ見ているだけで、何一つ手を貸そうともしなかった」


 香月の目が冷たく光った。


 「俺が手術をしている間、お前は廊下で震えていただけだろう。医学の知識もない、技術もない、ただの素人が偉そうに口を出すな」


 言葉の一つ一つが、鋭い刃のようにこひなに突き刺さった。彼女の顔が蒼白になり、唇が震えた。

 

 「結局、ステラは死んで、各務家の使用人は意識不明のまま寝ている。首謀者である各務アリマはバベルに逮捕されて、各務家の戸籍からも除籍された」


 香月は淡々と事実を並べた。


 「おそらく、あの子一人で全ての罪を背負って、明日のアゴラで処刑されるだろう」


 こひなの目が見開かれた。情報を整理しているようだった。


 「嘘でしょ」彼女の声が震えた。「もしかして各務家の当主は、自分のために身内の先生を見捨てたわけ?」


 香月は答えなかった。


 「それに処刑って…」こひなの声が高くなった。「まだ有罪判決も何かの勘違いじゃない?普通は判決期日はほぼ一ヶ月後に設定されて、求刑通り死刑判決が言い渡されるのが筋でしょ」


 「詳しい事情は知らないが、ステラの遺体をバベルの方から回収するという連絡が病院長宛に届いている」香月の声は淡々としていた。「この場合、翌日の朝五時に予定されているアゴラで罪人を起訴することが多い」


 こひなの目が見開かれた。


 「ありえない。それは絶対におかしい」彼女の声が震えた。「早く止めに行かなきゃ」


 香月の表情が更に冷たくなった。


 「お前が行ってどうする」声に嘲笑が混じった。「ただの新吉原で人形売りの姿に隠れて夜の仕事をするノバナの証言で、アゴラの結果が覆るとはとても思えない」

こひなの顔が青ざめた。


 「さらに、お前には参加できる資格すらないだろう」香月の言葉は容赦なく続いた。「各務家の娘は、残念ながらもうお終いだ」


 「あなた、本当に炭咲の親戚なの?」こひなの声が高くなった。「全然似てないけど。人の命をそう簡単に諦めないで。先生は何としてもあたしたちの力で助けてみせる」


 香月は答えなかった。


 二人の声が隣の部屋から響く足音や話し声と混じり合い、やがて深い静寂に包まれた。怒りも悲しみも哀れみも、全てが宙に浮いたまま行き場を失っていた。


 その中で、僕だけが妙に冷静だった。


 「香月さん、今何時ですか?」僕は、頑張って言葉を発した。「僕に薬をください」


 枯れた声と元の声が混ざって聞こえる言葉を、誰も聞き取れなかった。何か書くものが必要だとジェスチャーで伝えると、こひなが自分のスマホを差し出した。画面にひび割れの入った古い機種だった。


 「薬?」香月の眉間にしわが寄った。「君もいい加減にしろ。あるとしても、体はもう通常の薬では効かない。今は医師による専門的な診断と通院治療を受ける時期だ」


 僕はスマホを受け取ると、三本しか動かない指で文字を入力した。


 『樹の一族プロジェクトで開発している新薬を僕に注入してください』


 「その話、誰から聞いた?」香月が頭に手を当てて激しいため息をついた。「まだ臨床実験も行っていないし、治験の段階も踏んでいない全く新しい薬だ。リスクが大きすぎる」


 具体的な話は知らなかった。ただ、自分がもう一度立ち上がる力を手に入れる方法があるなら、何だって構わないと思っていた。


 『それを使えば、炎を出せますか?』


 「炭咲くん、何を考えているの?」こひなが心配そうな表情で僕の顔を見つめた。「薬をもらって何をするつもりなの?まさか、その体で外を歩くつもりじゃないよね?」


 僕はベッドに体を寄せて座った。


 『アリマを助ける』


 その文字を読んだこひなの手が、僕の右頬を叩いた。血の味が口の中に広がったが、痛みは感じなかった。


 『痛いじゃないか』と嘘をついてスマホに打ち込んだ。


 「香月さんの言う通り、いい加減にしてよ」声に涙が混じった。「どれだけ人に心配をかけたら気が済むの?先生はあたしたちに任せて、炭咲くんは自分の健康だけを考えなさい」


 香月が怒った。怒ったけれど泣いている。他人のせいではなく、他人のために怒る人の顔を久しぶりに見た。僕は包帯を巻いた左腕で、こひなの涙を拭った。


 『アリマと一緒に帰ってくる。帰ったら三人で映画でも見に行こう』


 偽りのない約束と共にスマホをこひなに渡した。


 その後、こひなの肩を借りて車椅子に座った。向こうのベッドにまだ静かにステラが横たわっている。今でも寝床から起きて僕に駆け寄ってくるような気がした。僕はステラに別れの手を振って霊安室を出た。


 僕は、この一週間、違和感に満ちた日々を過ごした。しかし振り返ってみると、あの時に感じた気持ちは、生まれて初めて味わう感情の塊であり、幸せだったのだと認めた。全てはステラのおかげだ。ステラが起こした事件と出会いが、偶然を重ねて僕をここまで導いてくれた。でも、ここからは僕の意志で前に進む番だ。


 ステラは僕の娘であり、僕はステラのパパだ。そしてアリマはステラの妹であり、ステラはアリマのネネだ。姉妹そろって世間の汚れが染み付いた大人たちに振り回され、一人は死の直前まで僕と一緒にいてくれて、もう一人は今まさに周りから脅かされている。唯一アリマの無実を証言してくれる牡丹さんは意識不明の重体となった。各務家の戸籍から名前が消され、各務家に否定されている。実際にアリマの味方になれる人物は、僕しか残っていない。言い換えれば、僕はアリマを救うために必要不可欠な存在なのだ。


 個人的には、自分の大切な人々の遺志を引き継ぐためでもある。子供が危険な目に遭った時は、親が身代わりになって守ってあげる。妹の優しいパパになってあげる。二人が見せてくれたそれぞれの教えを、今度は僕が自分の娘のために実践する順番が回ってきた。


 ステラが繋いでくれた縁を見逃さない、と決めて胸に手を当てて目を閉じた。アリマを無事に連れて帰ることを小さく呟きながら、約束の祈りをステラに捧げた。今度は絶対に救ってみせる。そう心に誓いながら、明日への準備を始めた。

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