第七話 目的
「彼ら......?ですか?」
「はい、襲撃してくる勇者はおそらく複数人だろうとされています。」
複数人の勇者ということは、ひょっとするとパーティーと呼ばれる集団かもしれないなあ。
「それでですね、彼らが何を勘違いしているのかといいますと......」
と言ったマルセリクスさんはデスクから封筒を持ってきて、その中からポスターのようなものを出した。
そのポスターには上にでかでかと”市民を魔王の圧政から解放しよう!”という文言が書かれていた。そして中央にはいかにも悪そうな人物が大きく描かれており、これがプロパガンダポスターであるというのは言うまでもないようなデザインだ。
「......なんですかこれ?」
ジョセフがそう尋ねた。
「実は、この魔王というのは、どうやら私のことであるようなのです......」
「!?」
どういうことか全く見当もつかない。どこかの政治団体が知事下げを行おうとしているのか、はたまた市民が知事の政策に反対しこんなポスターをつくったのか、しかしそれだと今回の件と関係がないのでそのような理由ではなさそう。一体誰がどういう目的で制作したものなのだろう。
するとソフィアがそれについて聞いてくれた。
「これは一体誰がどういう目的で作ったものなのですかね......?」
「詳細なことはわかりかねますが、”ギルド”という組織がこのポスターを作成したようです。ギルドについて詳しくありませんが、たくさんの勇者が所属しているものだそうで......」
つまりなんらかの理由でマルセリクスさんが魔王とされ、魔王と勘違いしている勇者により襲撃計画が練られている......ということ......?
なんだかよくわからないなと思っていると、セリオンが呟いた。
「そうか......そういうことっすか......」
「どういうことなの?セリオン。」
私はすかさずセリオンに尋ねた。
「いやあ、勇者についてさっき調べたとき、ギルドに関する情報があったんすけど、勇者にものを売ったりミッションを与えたりとか、いろいろなことをする組織なんっすよ。このポスターは魔王を討伐しようというミッションについてのものかもしれないっす。」
ギルドがなぜマルセリクスさんを魔王呼ばわりしているかは謎だが、勇者及びそのパーティーがここへ襲撃してくる理由はなんとか理解した。
するとジリオスがこんなことをマルセリクスさんに聞いた。
「あの......一つ疑問なのですが......資料作成や調査などは秘密警察が行ったんですよね......?なぜ襲撃の対応を秘密警察ではなく僕達に任せるのでしょうか......?」
確かにそうだ。この重大な問題をなぜ秘密警察に任せず私達を招聘したのだろうか。秘密警察にかかれば襲撃を計画している勇者の拘束、逮捕などは朝飯前であろうに......仮に秘密警察が対応を嫌がったとしても、私達以外にも適任はあるはずだ。
「ああ、それについても言っておかねばなりませんね。この重大な件について秘密警察とも話し合いましたが、やはり勇者について詳しい方々に統率を委ねようということになりました。勇者の管轄は内務省ですから、この件について問い合わせたところ大臣が戦略課を推薦していただいたのです。」
「............つまり?」
「これからこの件の最高責任者はあなた方というわけです。秘密警察、警察などあらゆる機関を指揮してこの問題に取り組んでほしいのです。みなさん聡明だと聞いておりますから、適任かと。どうぞよろしくお願いします......!」
これはしばらくは落ち着くことができないだろう。
はあ、何でも屋は楽じゃないね。
読んでくれてありがとおおおおおおおおおお
最近毎日投稿できなくてつらいです
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