第四話 初任務
私達が固唾をのみながらラジオを聞いていると、突如部屋の電話がなった。
「もしもし、私だ、エリオンドだ。ひとまず最初の会議が今終わったところだ。君たちに任務を課そう。」
電話に出ると、相手はエリオンドさんであった。どうやらお偉いさんたちの会議が一旦は終わったようで、我々に初の任務が課されることとなった。
「会議終わったんですね。......それで、任務は一体どのような内容でしょうか?」
「ああ、フィオリーノ州の州知事に会って来てほしい。詳しい内容は後で資料を配るから、そっちをよく見てくれよ。頼んだよ。」
そう言うと、エリオンドさんは電話を切った。
フィオリーノ州の州都フィオリーノは今私達がいる首都であるアルデンベルクの北に位置し、車で約6時間ほどの距離にある。最初の任務にも関わらずいきなり無茶な要求をされる、これが戦略課である。私はソフィアたちにこれからフィオリーノに行くと伝えると、皆嫌そうな顔をした。
「ええ......いきなりフィオリーノまで行くんすか?おれが運転するんすよね......?はぁ......」
そういうのはセリオン。我々のドライバーなわけだが、早々に重労働を強いられてしまった。
その後しばらくすると官僚の方が資料を持ってきてくれた。
どうやら、フィオリーノ州にて力をつけているある勇者が、州知事を襲撃する計画を立てているらしく、それに関して対応せよ、とのこと。内容を詳しく聞いてもやはり無茶なことを言っている。
「アリシアさん、もう行きますか?」
「うん、行こっか。早いほうがいいだろうしね。」
私達はすぐさま荷物をまとめ、順に車に詰めていった。昔ながらのレトロな車内には、5人分の荷物をぎっしり詰めるスペースがあり、我々の仕事柄的にもピッタリな車種である。
数分して、全員の支度が完了し私達は早速フィオリーノに向け出発した。
車の中では、まず今回の緊急勅令についての会話がなされた。
「そういえば、若干文言変わってませんでした?」
そうソフィアが指摘したのは勇者に対する処遇の部分。緊急会議においては全員を亡き者にするという話だったが、ラジオを聞いていた限りだと、何かしらの処罰をするだけで留めるようだ。おそらくあまりに急速な改革はうまくいかないように、突然全員を極刑に処すというのは現実的ではなかったと判断したのだろう。
次にジョセフが皆にふとこう尋ねる。
「そういえば、こんな勅令が出たのですから、勇者は州知事襲撃を諦めるのではないでしょうか?」
「それなんだけど、どうやらほとんどの勇者は頭が弱いから新聞やラジオ、テレビのニュースを見ることがないらしいんっすよね。自分中心に世界が回っているという考えのもと生活しているっぽいっす。」
ジョセフの疑問に対し、セリオンは先程調べた勇者に関する情報をもとに回答していく。
「多分なんっすけど、ニュース見ないんでこういうことに気づかないんじゃないかなあ。襲撃してくるんじゃないすかね......」
このようなニュースを勇者は見ないとすれば、これに対する抗議もなにもないのだろうか。ふとそう呟くと、ラジオで動向を伺っているジリオスが私に耳打ちしてきた。
「ロシュターンはどうやらこの勅令に対し既に抗議を始めたそうです......!」
やはり一つの都市を制圧するほどの力を持つ勇者はそこら辺には鋭いのだな。この計画においてロシュターンはやはり厄介な存在になりそうだ。
1時間ほど経ち、アルデンベルクの市街地を抜け田園地帯を走っていると、道端にいた人が突然車道に飛び出してきた。セリオンは慌てて急ブレーキを踏み込む。その人は運転席の方に近づいてきたので、セリオンは窓をあけた。すると
「お前ら何者だ?」
そうその人が質問してきた。運転席から身を乗り出すセリオンが答える。
「僕達は内務省のものですけど......?どうかしましたか?あと、急に車道に出るのは危ないっすよ。」
「ほうほう、内務省......つまり貴様らは魔王の手先ということだな?」
???
「表でやがれ、このトリスタン様が直々に貴様らを成敗してくれよう!!」
これは慮外、彼は勇者のようだ。
読んでくれてありがとーーーーーーーー!!!!
評価よろしくううう
あと毎日投稿の夢絶たれた