第二話 帰還
緊急会議も終わり、先程まで行われていた宮殿から出た。これから私は自分の職場である内務省に戻る。
「あっ、アリシアさん、会議終わったんですね......!」
そう言うのは私と同じく内務省戦略課に務めるソフィア。自分よりも若くてとってもかわいい後輩。私はよくソフィアと仕事をしたりする、まあバディのようなもの。そういうわけで今日は会議が終わるまで待っていてもらった。できるだけ早く内容を伝えたかったからね。
ソフィアと合流した私達はタクシーを探し内務省に戻ることとした。
「それにしてもアリシアさん、やっぱりここからの眺めはすごくいいですよね......!」
「そうだねぇ。いいところだよー」
我がトートリアの首都であるアルデンベルクはこの宮殿の周りを中心として発展した。この宮殿は周りより高いところに建っているため、ここらの景観は圧巻だ。
遠くももちろん美しいがこの辺りの華美な街並みも見惚れてしまうものがある。
「あっ、いたっ、タクシー!!!」
ソフィアがタクシーを捕まえてくれた。カイゼル髭の運ちゃんが私達を目的地へ連れて行ってくれる。
「えーと、アリシアさん、具体的にどういう内容だったんです?」
「えーっとね......あっ」
私は戸惑った。なぜかといえば、内容について話せば運ちゃんにきっと聞こえてしまうだろうが、一般の方が聞こえてしまって大丈夫な内容なのだろうか。まあこの国の危機に関する勅令であるから、おそらく政府からの発表が時期に出されるだろうが、それよりも先に聞かれるのは問題ないだろうか。
できるだけ早く伝えておきたかったがために、どうしたものかと悩みおたおたしていると、運ちゃんが口を開いた。
「もしかして、私に聞かれたくなかったりしますか?安心してください、こういうの慣れてますから。誰にも口外しませんから。もしそれでも嫌でしたら紙がありますから、筆談でもなさってください。」
私はドキッとした。確かにあたふたはしたが、聞かれたくないという旨の発言はしていなかったからだ。私は思わず言葉が漏れる。
「え......よくわかりましたね......」
「あっはっは。長年やってますから。紙いりますか?」
まあ後で発表されるだろうし、聞かれても大丈夫だろう。
「いや、大丈夫です!お気遣いありがとうございます......!」
そう言うと運ちゃんは少し笑った。私はソフィアに会議の内容をすべて話した。
「てなわけでな、この国にいる異世界から転生してきた勇者を全員排除するんだってよ。」
「えええええーーー!?!?」
叫んだのはまさかの運ちゃんだった。いやガッツリ人の会話聞いとるやないかい。まあ、確かに口外しないから安心してと言っていて、聞かないとは言ってないけれども......自分より先に大きな反応を運ちゃんにされたソフィアは若干顔を歪めた。
「はーい、つきましたよー。」
「はいどうもー。」
数分してついに内務省の庁舎についた。それはそれは立派な建物だが、我々の戦略課は最上階の端に位置していて、行くのが非常に面倒。
戦略課は合計で5人だけしかいないが、この国にとって大切な仕事だったり雑用をやったりとした。
階段を何段も登り、とうとうついた。部屋に入ると同僚たちがのんきにカードゲームをしていた。
「ほい、帰ってきたぞー。って、遊んでんじゃねーよ」
「あーアリシアさん。おかえりっす。まあまあ、会議の内容教えてくださいよ。」
私はさっきタクシーでソフィアに話した内容を同僚に話した。話していくにつれ同僚たちの先程までの愉快な表情は消え、形容の難しいものになっていった。
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