第一話 我が国の行方
「はい、これにて会議を閉会します。内務省の方は、先程の指示通りお願いします。また、国防省の方は......」
「うげぇ、面倒なことになっちったな......」
私はふと言葉が漏れてしまった。ああこれはとんでもないことになった。一体どうしたものか。会議が終わっても椅子に腰を下ろしたままだった私のもとに、内務大臣のエリオンドさんがやってきた。
「アリシア君、さっきの計画についてだけど......」
「えーーと、私に一任ですか......?」
「おねがいできるかな......?」
「......はい」
私はアリシア。22歳ながら内務省戦略課っつうところの課長をやっている。基本はこの国のこれからについていろいろ考えたりする......そういう役割の部署だけれども、実際はなんでも屋みたいなもんだ。
遡ること二時間前
「えーみんなを急に集めて申し訳ない。この緊急会議では、あれについて話し合いたいと思う。まず今の我が国は......」
我がトートリア王国の国王陛下であるジュリアン3世により緊急会議が開かれた。国王陛下による緊急会議の招集はあまりなかったため、現場では緊張感が走っていた。会議には外務省や国防省、逓信省とかのお偉いさんが大勢呼ばれていた。そして内務省からは内務大臣のエリオンドさんと私が呼ばれた。自分は結構偉い方なんだとウキウキしていたらエリオンドさんに注意された。どうやら私はあの空間で浮いていたらしい。私はたまに自分の世界に入ってしまって周りが見えなくなることがあり、今回も一人ニヤニヤしていたそうだ。申し訳ない。
しかしなぜ滅多にない緊急会議を国王陛下が開かれたのか。それは現在我が国を取り巻く”ある問題”が極めて深刻であり直ちに対応しなければならなくなったからだ。
ある問題とはズバリ、勇者の増加に伴う経験値不足である。
経験値はこの世界においてとても重要な存在。市民の魔法習得だったり、発電にも使われる、存在は不可欠なものだが、そんな経験値が枯渇しかけているのだ。
経験値は何かを成し遂げたときなどにも生成されるが、この国の経験値の9割以上は、とある泉から湧き出て、国が厳重に管理している。普通、経験値は国から支給される。
経験値の量はそれはそれは莫大なもので、誰も枯渇など考えてもいなかった。かつては。
いつ頃からだろうか。”地球”という異世界から、勇者なる者が転生してきたのは。
最初は彼らも心優しい者や、個性豊かな者など我が国にとって脅威となる存在ではなかった。
しかしそんな異世界からの転生者は徐々に増加していき、その上態度が悪く、横柄で自己中心的な勇者ばかりになってきた。
それにもかかわらず、身の程知らずの彼らはどんどん技を覚え、強化したり、略奪行為を繰り返したり、それによるレベルアップ?という概念のもと、経験値を消費しまくっているため、経験値は徐々に減少に転じてゆき、今ではとうとう底を尽きようとしているわけだ。
しばらく国王陛下が現在の我が国の状況を整理した。
「えーみんなもわかっているようにあの憂慮すべき問題について、もはや結論を出さざるを得なくなった。ここにいる者と協議し結論を出したいと思う。そこで、まず私の意見を聞いてほしい。」
そう陛下がおっしゃると、少し口をすぼめ、呼吸を整えた。ただならぬ空気が流れ、私は心臓がバックバクだった。隣のエリオンドさんの鼓動すらも聞こえた。
「............我が国にいる異世界からの転生勇者を、全員亡き者にしなければならないと、私は考える。」
その言葉に大臣たちは覚悟を決めたような表情をしていた。
すると大蔵大臣のサルディーンさんがこう言った。
「陛下、たしかにそれが最も有効な手かもしれません。しかし、これを行おうとすれば多くの犠牲を払わなければならないかと......。それよりも例えば経験値の支給量を削減するだとか、経験値税なんてものを導入するということも考えられますが......。」
「経験値の枯渇は国家存亡の危機、いやこの世界の危機だ。多少の犠牲を払ってでも、この問題を早急に解消しなければならないのだ。」
「で、でも責...」
「責任は私が負おう。わかってくれ。この世界の存続が懸かっているのだ......」
サルディーンさんはそれ以上何も言わなかった。
「他になにか意見がある者は......?なければ私はこれからこの緊急勅令を布告する手続きに入りたい。またこれからの計画については、各省に資料を配るから、よろしく頼むよ。」
そう言うと国王陛下は緊急勅令布告のため退席なされた。
その後枢密院議長により各省の今後の動きについての資料が配られ、協議により一部修正が加えられたりした。
一時間ほどの協議の後、計画案が大方確定した。
「はい、これにて会議を閉会します。内務省の方は、先程の指示通りお願いします。また、国防省の方は......」
勇者の管轄は内務省。今後の動きは大方決められたとはいえ、細かいところは幾度にわたって話し合いで決めるようだ。
きっと私のもたくさんの仕事が振られるだろう。無理難題言われるのだろう。
「うげぇ、面倒なことになっちったな......」
私はふと言葉が漏れてしまった。
【あとがき】
小説家になろう初投稿だわよ
いろいろわかんないことばかりだけど
☆☆☆☆☆みたいなのに入れてもらうのがいいってことなのかな?
感想とか待ってる!!!!!!!
あと誤字脱字とかあったら言ってね!!