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終焉ノ始まり

西暦2045年12月の夜、1000メートルを超える山の山頂。

そこから見えるのは美しい夜景と、、、それを覆い尽くさんばかりの魑魅魍魎であった。

「はぁー。寒い。」

手に息を吹きかけながら絶望と安堵が入り混じった顔で下の景色を見る男。

「これは不味かったかな、、、。ハハッほら見てみろよ、アイツなんてタワマンより大きいよ。」

男は引き攣った笑顔で隣に座っている奇妙な猫にそう話しかけた。

「にゃー」

猫は分かったようで分かっていないような返事をした。

猫はそのまま右足で頭を掻こうとしたところを男に止められた。

「あ、血で汚れちゃうよ。」

そう言いながら男は傷だらけな猫の前足を服で拭いた。

「家、、、まだ残ってるかわからないけど、あったら体を洗ってやるからな。」

男は猫を抱えて凄まじい跳躍力で山を駆けていった。



ジジジジジジジジ

「起立!礼!着席!」

筋骨隆々の2メートルはあろう初老の大男の声が教室に響き渡る。

「本日から古代人対策及びアウター実践を担当していただく本座教官だ。」

大男が壇上から降り、「では」と言って教室から立ち去った。

そして眼鏡をかけた中肉中背の男が壇上に立つ。

「ご紹介に預かりました、本座です。年齢は25歳で皆んなの中には私より年上の方がたくさんいると思いますので、気軽に接していただきたいです。どうぞよろしくお願いします。」

かなり若い男の教官に教室内がざわつく。

「私の年齢が若いこともあり、不安な人もいると思うので経歴を話しましょう。」

「私は2045年の厄災の日以降、A-0特区で1年と半年生き延びました。」

教室の皆がその言葉に絶句した。その静寂を破るように1人の女訓練兵が声を上げた。

「特区0番の生存者なんていたんですか!?」


それもそのはず。特区とは日本に現れた3つの”厄災の穴”にそれぞれ大きい順にA, B, Cのアルファベットが割り振られている。さらに、そこから5キロ圏内を0、10キロ圏内を1、20キロ圏内を2と番号が振られる。

それ故にA-0特区で生き残ることは絶望的であると言える。


「君の名前は、、、有栖川か。」

「有栖川君の言いたいことはよくわかります。確かに私が生き残ったのは奇跡です。私は幸運なことに純超感だったので、古代人をうまく撒くことができました。」

「しかし、逆に超能や超体を持っていなかったばっかりに戦うすべがなく、A-0特区から動くこともできませんでした。」

別の生徒が手を挙げる。

「どうやってそこから逃げて来られたのですか?」

本座はゆっくりと頷き言葉を続けた。

「とある特殊分隊がA-0特区を調査していた際に救出されたのです。」

特殊分隊と聞いて有栖川が少し大きな声をあげる。

「第一独立分隊ですか!?」

「そうです。あの有名な最強の分隊です。そういえば有栖川隊員という方がいましたが、親戚ですか?」

そうすると有栖川が嬉しそうに、

「そうです!兄です!」

と語った。

「有栖川さんのお兄さんでしたか。有栖川隊員には非常にお世話になりました。とてもお強く、優しいお方でした。自慢のお兄さんですn、、、」

そう言いかけた途端、、、



ビビビビビビ

けたたましいサイレンが鳴り響く。

「基地内の第3地区に古代人が侵入。教官は訓練兵の避難指示をした後、第3地区に応援願います。繰り返します、、、」

基地内放送を聞いた途端

ウォォォォォォォン、ウォォォォォォォン

鯨の鳴き声のような低く心臓に響くような叫び声が聞こえた。

「古代人の襲撃だぁぁぁぁ!」

「キャアァァァ」

超感の訓練兵たちが叫び出した。超体や超能の訓練兵も冷や汗をかいていて、顔色が悪い。

「慌てるな!静かに!」

本座の大きくも落ち着いた声で教室が静まる。

「今から避難所まで避難する。隊列を組んで付いてくるように。」

ガンッ!超体の訓練兵が机を叩いた。

「超感の教官が本当に俺らを守れるのかよ!」

青ざめた顔で叫んだ。

「大丈夫だ。私はA-0で生き延びたんだ。」

本座の凄みに押され、超体の訓練兵は大人しくなった。本座は訓練兵の名札を読み取り、

「鬼頭、信じて付いてこい。」

「はい。」

「訓練兵行くぞ!」




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