混乱の一世紀
「志は若さより来たる、希望は未来より至る」
方舟計画の創案者ノア・フラン
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「これを持ってネルトブルク行政特区連合高位士官育成学校第三十八期訓練生の卒業を認定する」
来賓各位からの盛大な拍手とともに、多くの士官候補が式場を後にする。
式場場を出るとユリウスは礼帽を外し、黒髪が風に靡く
(ついに、始められる…どれほど待ち望んだことか...ようやくだ、ようやく)
密かなる葛藤と喜びを胸の内に隠し、式場を後にした。
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同日第三世紀歴127年3月11日12時00分
アパル連合東方第一軍団司令部
「なぁ、おい」
軍服の男は同僚に問いかける。
「なんだ?」
一瞬の沈黙が場を支配する。
「いや、なんだ、本当にいいのか?こんなこと」
男は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら目の前のモニターと手元のボタンを見つめた。
そんな男の様子を見た同僚は視線を下げ、ボタンを見つめた。
「やっぱ、お前もどうかしてると思うよな…」
上の階が騒がしくなる、何足のも足音がカタッカタッと近づいて来る、上の階の兵士が声をあげる。
「モーランド大将入られます!」
その声に、その場の全員が指揮官席に体を向け、敬礼した。
モーランド大将はそのまま司令官席に腰を下ろすと、全員が己の仕事に戻った。
同僚は男に小声で耳打ちをした。
「俺たちは軍人だ、俺たちは命令に従うだけだ」
その言葉の重みは男の発言を押さえつけるには十分だった。
司令室の空気は沈黙と緊張が張り詰める。
モーランドと呼ばれた巨体の男の側近が兵士に重々しい声で告げる。
「始めろ」
兵士は「了解しました」と敬礼すると
「D7作戦を開始せよ!」
号令と共に室内が慌ただしく動き出す。
厳戒態勢の室内は赤色に変わり、警報音が鳴り出す
「第一安全装置開始!」「第二安全装置解除!」「目標リア着弾地ロックオン」「各種装置異常なし!」
「予想到達時刻12:05」「軌道正常」「東方軍第一師団航空軍発進完了」「東方軍第一師団機動大隊待機状態」
「発射準備完了まで10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0、発射準備完了。」
モーランドは静かにモニターを見つめていた。
そして、ただ一言
「始めろ」
男と同僚の方を見た。彼の足の震えに気づいた。彼も恐ろしいのだとわかった。そして、小声でカウントダウンをすると同時にボタンを押した。
「大陸間弾道弾発射確認しました。」
モーランドは席を離れると小声で呟いた
「これで全てが終わるな」
男は同僚と共にモーランドに向けて敬礼をした。足の震えをいつの間にか治っていた。
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同刻ネルトブルク
レヴィンがユリウスに駆け寄る
「ついに、これから全てが始まるな!」
「あぁ、これからが平和始まりだ」
最後まで読んで頂きありがとうございます!
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まだまだこれからが熱くなって行きますので楽しみにしておいてください!
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