プロローグ・第二の星
死とは急に訪れるものである。
隣にいたはずの男が急性の病で死ぬように、先程まで意気揚々としていた者が帰り道に事故で死ぬように、世界の終わりなど予想など付くはずがなかった。
星の死もまた唐突にやってきた。
「寿命は尽きたのだ」
世界の権威的な学者達は口を揃えて民衆に真実を伝えた。
真実は時に残酷であり、この時の真実はあまりに残酷すぎた...
世界は混乱の渦に陥った。
世界は底知れない恐怖に襲われたのだった。
しかし、恐怖というものは人々を団結させ、人間の力をも引き出した。
人類はこんなな時こそ力を発揮する。
「方舟計画」である。
聖書によれば
主は地上に増えた人々の堕落を見て、これを洪水で滅ぼすと「主と共に歩んだ正しい人」であったノアに告げ、ノアに方舟の建設を命じた。
創世記の一節になぞらえた計画は人類に希望を与えた。
まだ、存在すらしない希望に全人類が運命を託した。
世界は全ての争いを止め、ただ、方舟の建設にのみ、資源、人材、技術、人類の持ちうる全てを注ぎ込んだ。
真に奇跡と言って良いだろう。
「方舟」は完成したのだ。人類が皆奇跡に沸いた。
しかし、星は歓喜に湧く時間など最初から与えてなどいなかったのだ。「方舟」は星の最後の余命まで吸い尽くした。緑の大地は砂で覆われ、山々には鉱石採掘用の大穴が空いていた。星の命と引き換えに巨大な鉄の方舟が無数に現れた。
人類の四割にして、およそ30億人が宇宙へ経った。
残された人々はすぐに異変に気づいた。
連日空に見えた、希望の方舟は一隻たりとも見当たらない、それどころか受け入れすらしていなかった。
希望は潰えたのだ。
同日午後3時29分
地球の崩壊が始まった。崩壊の余波により船団の半数が宙の彼方へ消え去った。人類は全人口の八割を失った。
人類起源の第一世紀
キリストの生誕から始まった第二世紀
第三世紀歴0001年
人類は新たなる星を発見、15億の人民が植民を開始した。
五つの地点からの入植開始これを持って第三世紀の始まりとした。
新たなる星=アパル
旧ルーマニア人のアルブレフが発見した地球によく似た星
ルーマニア語に由来するこの言葉は新たなる故郷を守るその想いがこめらていた。
それから100年人類はかつての繁栄を取り戻した。
しかし、それは地球を失った記憶を世界に甦らせるものでもあった。
此度の恐怖は人類に分裂と破滅、地上の地獄の実現を迫ったのである。
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