私に、出来るのかな?
道を歩いていく。くじけそうになりながらも。
いい未来は、いつ、やって来るのだろうか?
豊かになる魔法が、谷を渡った向こうにあるという。
しかし、私は行きたいのだろうか?
谷には、ヤマタノオロチがいる。
ヤマタノオロチは、この国の毒だ。渡りたいが、八つも巨大な蛇が木の枝のようになって、谷をふさいでいる。これじゃ、橋もかけられない。私は、どうやって谷を渡ろうとしているんだろう。
皆から、信頼が高くて、実力がある、占い師が私なら、谷を渡れると言った。だから、なんとかなるのかもしれない。
けれど、簡単には出来ない。万が一、占い師の占いが外れたとなると、死ぬ。なので、慎重にしないと。確かに、私には、いい魔法がある。どこでも道を作れる魔法だ。
しかし、豊かな魔法がある国に行くには、ヤマタノオロチの谷を渡るのが、まだ一番、ましなのだ。
必ず追撃する溶岩をとばす谷と、空の遙かかなたまである、昔、エルフが作った光で焼きつくす魔法がある谷。後は、すぐ攻撃してくる敵国に囲まれている。
だから、ヤマタノオロチがまだ、なんとかなりそうだ。
でも、空を飛ぶ魔法が使える人が飛んでも飛んでも、身体が伸びて、追いかけてきて、危なく食べられそうになったそうだ。
飛べても無理なら、道を作っても出来ないのではって思うけど。
まあでも、やりもせず逃げるというのもね…って、いいますか普通に帰るなんて出来ないんだよ。このまま帰れば、駄目な人間ということで、針のむしろ。十六歳で過酷だよ。
という訳で、悲しいけど、ちょっと命がけ。
なるべく安全そうな道順で、道を空中に作っていこう。
最初はゆっくり。段々、速く。全力で走る。
透明な道を走る。
オロチの二匹?がまあまあ上にいる、私の方へ向いた。とたんに、キッとなって、身体を伸ばし始める。
私は、進む方が安全と判断して、進み続ける。
出した道は、私が通る時以外は、位置指定なだけで、他のものには触れないようにしているから、道が折れる心配もない。とにかく危なくないように走るだけだ。
それにしても、太陽がまぶしいな。ヤマタノオロチも、まぶしいのか、戦意喪失をしている。
私は、走りきった。
なるほど、太陽がまぶしくて来なかったのか。確かに、ついていると言える。
それでも、怖かったんだぞ。
これで、豊かにする魔法が、学べる!
豊かにする魔法は、水や食料を生み出す魔法だった。やったーっ♡
帰りも、太陽が、まぶしかったよ!!
命がけじゃないなら、やってもいいかもね!!