まだアシだな?
残虐表現あり。ごちゅういを
それに、いぶかしげな顔をみせた坊主が、なぜか突然、刀を納めた。
「―― おい、アシよ。シュンカを捕らえて連れ去って、そんで、喰うのか? おまえ、どうやら存神には、なり損ねたみてえだな。それなのに、喰いてえと感じてるんなら、そりゃおまえ、立派に『妖物』だぜ?テツが言うように、退治しなきゃなんねえ。・・・だがよお、なんで、そんなに溜まってる『力』で、シュンカを捕らえねえんだ?」
聞いた絵師も、せわしない音をたて、空にとどまるそれを見上げた。
「 そうか。おまえ、―― まだ、アシなんだな?」
「だろうな。おいアシ、聞こえてるだろ?普通はな、そこまで姿かたちが変わると、人の言ってることなんかわかりゃしねえんだが、おまえ、わかってるだろうよ?」
顔つきを変えた坊主が、なにやら文字を綴り、あらためて刀を抜いた。
先ほどとは明らかに異なる姿勢でそれをかまえると、挑むような笑いを浮かべる。
「おい、アシよ。おれの言葉がわかんなら、つまんねえ術にはまってねえで、とっとと、 ――― 目え、覚ますんだな」
坊主は言い終えぬうちに動いた。
「 っっつ!! 」
蟲の左腕が肩から撥ねられ、とんだ。
一瞬バランスを崩したそれに、迷うこともない刀が、右の腕もたたきおとす。
シュンカの悲鳴が響いた。セイテツがなだめ言い聞かす声。
―― ああ、このままきっと、おわるのだ ――
久方ぶりに、アシの思考が、おだやかなものへと変わる。




