おれが いいつけた
「・・・おまえなあ・・・」
一番に戻り、傷ついたシュンカに、おのれの『力』をわけ、子どもを守るように抱えていたと聞いたが、他の大臣が戻ってからは、まったく子どもを気遣う様子もみせず、従者などすでにいないかのように、前と同じよう務めをこなす坊主に、絵師は言いたいことがたまっていた。
「シュンカにとってあまりにひどい出来事だ。ちょっとは心配するとかないのかよ?」
「してねえよ」
「っおま、ひどいだろ!シュンカはおまえの従者だろ?」
「それが関係あんのか?」
「だからあ、すこしは心配しろって言ってんだよ!」
「するかよ」
「!!っこの、」
胸倉を絵師に掴みあげられた坊主が「閉じてんだよ」とつまらないように言う。
「・・・・・閉じてる?」
「おれが、閉じるようにいいつけた」
「・・・・・はあああ?」
―――事の次第はこうだった。
四の宮から連れ出した、子どもは、坊主の『気』を分けてもらうと、ゆっくりと意識をとりもどし、泣いて坊主とリンに謝り始めた。
いいから眠れ、というのに、抱えた子どもは、かすれてちゃんと出せない声で謝り、途切れがちな意識の中ずっと泣き続け、ようやく眠ったかと思えば、今度はうなされ、悲鳴をあげて目を覚ます。ちゃんと見えないだろうに、こちらの顔を見上げ、留守を守れなかったのを詫び、コウセンを頼らなかった愚かさを悔い、リンを守れなかったと自分を責め続ける。
抱えているその小さい身体の中まで、ヒョウセツのようにみられない坊主は、どんどんと熱を上げ、ついには、リンではなく自分がなくなればよかったと言い出した子どもに、
―― いいかげん腹が立った。