39/47
仕込まれた
残虐な表現あり。
落ちろおおっつ!さけんでセイテツが放った氷塊は、ひとつも当たらず壁を崩す。
耳障りな羽音をたてる蟲の、人型の手が、空からシュンカを狙った。
ざん
薄氷で絶たれたアシの腕が、一瞬で灰となって崩れ去る。
壁を蹴って反対側へと飛んだアシが、嫌な羽音をたて再度迫る速さには、セイテツの氷はおいつかなかった。
髪をつかまれ引き倒される。
「!っくしょおお!!スザク!なにやってんだ!!」
刀を構えた坊主は、先ほどから蟲を目で追うばかりで動かない。
セイテツを起こすシュンカを狙ったアシの片手が、そのむきだしの肩へと届いたところを見計らい、ようやく坊主が、かまえた刃をはらった。
ぼとり、と、斬りおとされた手は、シュンカの足元で灰になる。
すると硬い音がして、アシの顔が、とうとうすべて割れ去った。
羽音もうるさくとび回るそれは、身体はアシのままだが、両の手は蟲に取って代わり、新しく盛り上がり出た顔は、まさしく、蟲のものだった。
「やはり・・この前おれたちが留守の間に、仕込まれたか・・・」
目的はアシだったのか、とセイテツが飛ぶそれをにらむ。




