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もう役神ではない
アシが差し出した手を、抱えられたシュンカは、大きな目で見つめるだけだ。
「・・ああ・・なぜ、・・ナゼ、・・・」
――― ナゼ 来ナイ?
背中がうずき、ざわつく感覚が一箇所に集まると、めりりと裂ける音がした。
羽か、と坊主がでかい刃物を握りなおす。
ぎじゅる、と両の肘を突き破った脚が伸び、背中をさいてにあらわれた、くしゅりと湿って丸まる羽は、すでに、広がろうとしている。
「もう、・・・おまえは役神ではない」
苦しげに、怒りを抑えたセイテツが告げた。
「 だ ・・ダ から ドうしタ・・?わたシ は 」
アシの割れた顔、その下から、何かが盛り上がろうとしている。
透明な背中の羽が、完全に伸びきり、 ぶびびび、と細かい振動をはじめた。
セイテツは、頭を切り替える。
「だから・・・おまえを、『退治』するよ。――アシ」
「セイテツさま!」
シュンカの声をきっかけに、アシが飛んだ。




