時が変えさせる
しばし、にらまれる。
「 ―― むかし、な、」
いきなり、にらむ男が何やら語りだす。
「―― むかし、神官だとか名乗る妙な男がおれの前に立った。胡散くせえしゃべりかたの、女に甘い男でな。普段は人のいい笑顔でやんわりとした奴なんだがよ、 腹が立つと、氷みてえに冷たくかたい男になる。 ―― おれは、それを、知ってる」
「・・まあ、つきあいも長いしな」
「そいつが、ちかごろ、どうにも、世話好きな年寄りみないになっちまった」
「・・・・年寄りって・・・」
「もし、アシを消さなきゃならねえような事になったら、おれがやる」
「・・・・・」
いつものように表情もない男が言い置き、前を見た。
子どもと役神の手が、いつのまにか、つながっている。
「―― たしかに、・・・シュンカに、存神の話をしないよう頼んだのは、おれだし、アシを仕立てて、この世に出したのも、おれだよ」
「だから、おめえには、できねえ」
「そんなわけ」
「『氷のセイテツ殿』のカタチさえ、時は変えさすとみた。―― おめえには、シュンカの前で、あれを消せねえ」
「っ――― 」
元神官の、矜持とか、自分より、年下の男からの、わかったような、言葉とか ――。
「っえ!?せ、セイテツさま!!」
驚いたシュンカが、振り返り叫んだ。
「―― なめんなよ。クソガキ。てめえが坊主になるよりずっと前から、こっちは神官だったんだよ。 おれを、―― 誰だと思ってる?」
セイテツさま!!と飛びついてしがみついた相手を見下ろし、ついで、むこうに立つ、役神を見やった。
アシは、ひどく困ったような顔をしているが、その口元の端は、あがっている。




