道中
出立の朝にまで、やらなくとも、と絵師は思ったのだが、当のスザクもシュンカも、なんの迷いもなく、お互いの棍を叩き合わせている。
かつ か かかか かつん かん
おや?と思う。
つい先まで耳にしていたのと、音の連なり方が違う。
少ししてから、待たせたな、と二人があらわれた。
待ったといっても、まだ、陽も昇り始めたばかりだが。
四人で、門をくぐれば、阿吽が「いってこい」「かえってこいよ」と石のまま言葉を発し、シュンカが微笑みうなずいて、三人と役神の道行きとなった。
しばらくは、何もない、草原だけをつっきり、山すそにたどり着く。
シャムショでもらった地図は、大きく歩きやすい道をはずすように進むしかないものだった。
暗く陽の当たらない山間を通ってゆく。
細い道を、自然と二つの組へ分かれて進み、セイテツは、前をゆく二人をむっつりとにらむ坊主を、からかいたくなった。
「どうした?こうして並んで山道を進むのもひさしぶりだっていうのに、相手がおれでは、そんなに不満か?」
どうにも、スザクの気配が、固い。
「いやべつに」
こちらを見ようともしないまじめな答えに、満足できない絵師は続ける。
「そういえば、スザク。ずいぶんとシュンカの腕前があがったようだな」
今朝の音の連なり方から思ったことを言えば、前を、役神と楽しげに進む子をみやってから、坊主が、ああ、とうなずく。
「覚えがはえぇ」
「・・・そうかい・・」
「なに、笑いやがる?」
そりゃあ、おまえの口元が笑っているからだ、なんて野暮はいわずにおいたが、先をゆく役神のことも頭に浮かび、思わず口を開く。
「――なあ、スザク。『時』といのは、いろんなものの、カタチを変えさすのだなあ」
ちら、と坊主と眼が合った。




