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おとぎばなし ― 明滅にして 明明 ―  作者: ぽすしち
明るむ 章

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尽きない




 アラシはぐつぐつと笑うような音をもらし、確かに帝が押し込めたがな、という。


「―― 人を喰えば、ただの妖物と同じ。帝にも理解できるモノだから、あれはただ、いつものように、『そこから出られん』と口にしただけよ」


 そうして出られなくなった存神と、それをつくりだした人間が、『宝物』として、いくつかの場所に祀られている。


「 ――ミカドらしい、趣味の悪さだ」

 顔色も悪く言葉の出ない絵師の肩を叩き、壱の大臣が代弁する。




 黙り込み、いつものように感情のない顔をさらす坊主に、アラシが鼻息をかけた。


「『捨ててこい』、とはな、おまえにどうにかしろといっておるのだろう。どうせ、黒森へ出るのだろう?黒鹿の長は、賢くおもしろい男ぞ。なにかよい知恵を、かしてくれるやもしれん。 ―― のう、セイテツ。 アシはもう、仕立てなおす必要がないのだろうよ?」


「・・・・・」その通りだ。


「テツ、いつからだ?」寝耳に水の坊主が低く問う。



「・・・すまん・・・。ヒョウセツが、話しあいたいというのを伝えた日の夜に、・・カタチが尽きなくなった。いくらやっても・・・人の型のままだった・・・」


 あの夜の、寒気がした出来事を思い返す。


 アシの中身はいつものように、眠るように、閉じたというのに、その器が、いつまでたっても葦には戻らない。

   ―――焦り、こわくなり、  悲しくなった。



「セイテツを責めるなスザク。わたしでも、同じように黙っていただろう。ただでさえ、シュンカにはあんな、ひどい事が起こったばかりだ」


 サモンのそれに、アラシが、おお、と声をあげた。


「それか。アシは、シュンカを守れなかったと、人のように悔いておるはずだ。それのせいで、『おもい』がよけい強まったのだろう・・・いかんな・・・かなり、重く早く、事が運んでおるようだ。おい、スザク ――」

 あいかわらず表情のない男へ、シモベが長い尻尾をのばす。


「――気を、つけるがよい。どこで、アシでなくなるか、わからんでなあ」


 音だけのんびりとした言葉の内容に、誰も何もいえなかった。

 

 

 

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