ひらいた
「 ・・・あ~・・その・・シュンカ・・・。見舞いに来なくて、すまっ」
ごつん、と背が床を打つ。
ベッドの上から飛びついた子どもに、あっけなくも倒された。
「・・・・・・」
何も、考えられずに、眺めた天井が、にじむ。
子どもは、息を詰めるように、コウセンの腹にしがみついている。
ただ、ぎゅう、と
動けない ――ほどに。
その暖かさに、
強さに、
―――――― 泣きそうだ。
「・・・・まだ・・痛いか?」
腹についた頭が激しく振られる。
「――ごめんなさい」
はっきりと出されたそれの、意味がわからなかった。
「・・・なにが?」
謝らなければならないのは、大人である己のほうで。
「こ・・、コウセンさま、たよらないで、おれ、できるなんて思って」
胸の辺りの着物を掴んできた子どもが悔やむ。
「 で、も、やっぱ、無理で、 り、リンも、だから、おれの、せいで、 コウセンさま、おれの、せいで、 ひどいこと、いっぱい、 言われて、おれ、 許して、もらえっ ――」
床に倒された男が、腹の上にのる子を、ぎゅうと抱いた。
それだけだ。
それで、シュンカが、――ひらいた。




