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防衛特化無表情腐女子モブ子の楽しい青春  作者: 一九三
起 序章!学園生活は戦いと共に!
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モブ子2 入学式を終えて

 いやあ、すごいイケメンが集団でいたなあ。集団でいるなんて、やっぱり『そういう』ことだよね。

 誰と誰が恋人なんだろうか、なんてことを考えて入学式。首席で壇上に登ったのは、あのイケメンに囲まれていた女の子だった。


 何もなく入学式を終え、テミスを呼んだ。


 「テミス、あの方は?」

 「はい。ミーア公爵令嬢の、アルテミス・ミーア様です」

 「有名なの?」

 「そのようですね。第二王子のアポロン様の婚約者で、宰相のご子息であるオルペウス・アクス様、国家騎士団長のご子息であるアレス・ターンライト様、天才と呼ばれる魔術師であるディモス・ハーバー様と親交が厚いそうです。噂では隣国、アメンティのセト皇子とも親交があるそうで」

 「へえ、すごい人なんだね」

 「それはもう。この度も主席でしたし、噂ではあの方が公爵家をさらに発展させ、いろいろな商品を発明し、国の発展にも尽くしてらっしゃると評判です」

 「ふーん。ねえ、大臣様とかが『ミーア公』とかって、真面目な場所で真面目な顔で『ミーア』って言うの、萌えると思わない?」

 「思いません」


 優秀な侍女から情報を仕入れ、改めてイケメン集団を見る。

 アポロン様は金髪碧眼。爽やかな腹黒っぽいな。受け。

 オルペウス様は銀髪緑目。敬語毒舌っぽい。受け。

 アレス様は黒髪青目。質実剛健な無口っぽい。攻め……と見せかけた受け。

 ディモス様は黒髪紫目。根暗な人間嫌いっぽい。受け。


 なんてこと、受けしかいないじゃない。


 「ねえテミス、受けしかいないんだけどどうしたらいいと思う?」

 「好きなだけ凌辱なさってくださいまし」

 「そうね! モブ攻めがあったね! でも、ちゃんとした熱い友情を築いて欲しいんだけど……」


 アポロン様とオルペウス様がいちゃつくけど、お二人はどうやっても受けだ。どう頑張って偏見でフィルターかけても、百合カップルがゆりゆりしてるようにしか見えない。アレス様とディモス様なら攻めになれるのに。


 じっと見ていたら、ミーア公爵令嬢に気付かれてしまった。

 軽く礼をして、テミスと引き上げた。

 今日はディモス×アポロンで一杯やろう。




 教室に侍女をつれていけなくもないけど、テミスにはそれより仕事をしてもらいたいので自由にさせて、一人で登校した。


 配属されたクラスは、辺境伯嫡子だからかそこそこ成績が良いからか、一番上位のクラスだった。

 しかもあのイケメン集団と公爵令嬢と同じだ。まあ全員身分が高いからそんなもんだろう。


 でも、あれは誰だ。


 「デメテル・アフロディーテといいます。よろしくお願いします!」


 自己紹介のときの、この品のなさ。


 栗色の髪に同色の目。服は、清潔なんだろうけどよれててみすぼらしい。動きに品がない。緊張が全部顔に出てる。

 なんだ、あれ。

 なんであんな、貴族らしくないのが混じってるの?


 「アフロディーテ男爵令嬢ですね。土地に実りをもたらす『豊穣』の魔法が使えるそうですよ」

 「テミス、もう探ったの?」

 「朝飯前に済みましたわ」


 そんなことを思っていたらタイミングよくテミスが来て、教えてくれた。

 侍女を付けることは禁じられていないので、休憩時間にテミスが来ても問題はない。

 テミス曰く、男爵令嬢だけど成績も優秀で、特別な魔法が使えるためにこのクラスにいるんだとか。でも、元々貧乏男爵の子だから、礼儀作法はお粗末らしい。

 ふーん。


 私の使える魔法は、ごく初歩的な魔法──軽く水を出したり火をおこしたり──と、回復魔法と結界魔法だ。とことん守りだけど、うちの領は北の要であり、絶対に落とされてはならない場所なので守りに特化した。落とされなければいいのだ。落とされさえしなければ、領民たちに被害はない。

 で、魔法を習得するときに私が学んだ限り、『豊穣』という魔法はなかったはずだけど、だから使えるあの子が特別なんだろう。うちの領にはいらないけどね。主食は貴族らしいパンではなく、荒地でも育つ芋だし。場所によっては小麦も栽培してるぞ。トウモロコシとか甜菜とかも美味いぞ。豆とかも作ってるし牛もいる。美味いぞ。


 デメテルさんは頑張っているが、全然馴染めていない。

 さらに、たまに視線が逸れる。

 視線の先にいるのは……公爵令嬢の従者?


 「テミス」

 「はい、あの方はミーア公爵令嬢の従者のハデス様です。ミーア公爵令嬢とはかなり仲がよろしいそうです」


 ハデスは黒髪金目。毒舌下剋上従者か、攻めだな。


 「テミス、従者から犯される腹黒って萌えない?」

 「お嬢様、もう行きますわ」

 「やっぱ下剋上はロマンだよね。誰が受けでも美味しくいただけそう」

 「ほどほどになさってくださいまし」


 テミスが呆れて帰ってしまった。用事がある時には本当にタイミングよく来てくれるんだよなあ。さすがうちの№1諜報員だ。

 でも、デメテルさんはミーア公爵令嬢の従者に恋してるのか。まあ、お似合いっちゃお似合いかな。



 眺めていたら、デメテルさんと目が合ってしまった。軽く礼をして、読書でもする。あなたには興味ないのよ。

 今夜のオカズはハデス×オルペウスにしよう。ごちになりまーす。


改めて書くようなことでもありませんが、ナマモノで妄想するときは他人に迷惑がかからないように気を付けましょうね。

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