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少女、企みの真相に近づく

 明日のパーティー会場で事件を起こす段取りの打ち合わせが始まりました。

 ……のですが、話は隣の部屋で行われるようです。


「リリアはしばらくここで待っていなさい」

 

 悪人2号にそう命じられた以上、操られていることになっている私は従うしかありませんので、ここに一人取り残されます。


 潜入捜査とはいえ、私自身は密偵として訓練したわけじゃない。

 相手もプロの暗殺者達となれば生半可なスキルでは気付かれる可能性があるので、大きなアクションを取るのは危険だが、相手は私が操られて記憶に残らないと油断しているのか、隣の部屋から話し声が漏れ聞こえるので、それを拾っていく。


(うーん、はっきりとは聞こえないな~)


「毒を…………ませる……即死は…………のが……第一段階……」

「警備が……いた隙に…………あの娘が…………狙うのは……だ」


(全部は聞こえないけど……毒を何かに混ぜて混乱を生じさせた隙に、私に誰かを暗殺させる気なのね)


 恐らくですが、演技中に手にしたナイフを標的に投げつけろという事ですかね。

 誰を狙うかまでは聞き取れなかったけど、どっちみち後で指示されるはず。


「同時にお前達は……を…………しろ。狙うのは…………だ。後は誰でも……逃げる時間を……」

「警備の穴を…………難しい……」

「……するな。目の前に…………女がいるのだ。容疑は……団に…………ればいい。警備もそちらに……いたタイミングが…………」


(あー、そういうことですか)


 私が誰かを暗殺すれば、会場の全員が犯行を目撃することになり、雑伎団が容疑者となる。

 当然、警備の目はこちらに向き、私達を捕縛せんと動き出すはず。その隙を突こうというのですね。


(何の罪も無い雑伎団の人達に冤罪を被せて、捨て駒にするつもりですか。クソオブクソだな)


 毒を用いるのはあくまで注意をそちらに引きつけるため。そして私が暗殺するのを引き金として、大きな混乱を生じさせ、最後に暗殺者達が本懐を遂げる。


 となると、毒殺を未然に防げたら、そして私が暗殺に動かなかったら……大きな混乱は生じないわけで、当然その後に暗殺者が乱入する隙も無い。


 だけど向こうにしてみれば、お膳立てをした場で何も手出しできずに終わりましたというわけにはいかないだろうから、玉砕覚悟で行動に出る可能性もあります。


(油断は出来ないわね……)


 そんなことを考えていると、隣の部屋で席を立つ音が聞こえます。

 打ち合わせが終わったようで、悪人2号がこちらの部屋に戻ってきました。


「リリア、お待たせ。帰ろうか」


 周りに興味を示さないかのように黙って頷くと、馬車に乗って雑伎団の宿舎へと戻りますが、到着して団長の元へ行くと、悪人2号が意外なことを伝えてきました。


 明日は大事なステージ。ここで成功を収めれば、雑伎団の名声がさらに高まることになると言って、団長に明日は手伝い要員を用意していると言います。


(まさか……そこに暗殺者を潜り込ませるつもりか……)


 怪しまれず中に侵入出来て、舞台袖には武器になりそうな小道具もあるとなれば、おそらくこの考えは間違っていないでしょう。 


「僕は明日一日、リリアの側にいるからね」


(それは暗殺の指示を出すためだよね……)


 この男が側にいることは想定できましたが、そうなると別の疑問が湧いてきます。


 王子不在でどうするつもりなんだと。


 ここまでの経緯で、私はコイツが王子で無いことを知っているが、公にはミシェル王子を名乗っている以上、今回の主賓が不在というわけにはいかないだろう。


(影武者でも仕立てるつもりかしらね……影武者……!!)


 そうか、その可能性があった……

 

 今回のパーティーは交歓会での騒動の結果を受けたお詫びの意味を含めて、ベルニスタの方々をもてなすためのもの。当然ミシェル王子と名乗っている悪人2号は陛下達と同席する。


 これまで何度となく暗殺や襲撃などの騒ぎを引き起こした理由はこの機会を得るため。

 隣国の王子とはいえ、留学という名目でやってきた第三王子が国王陛下と並んで会話する機会など、そうそうあるわけではない。


 だが一連の騒動で、見事にその機会を得ることが出来た。


 そして王子に扮した影武者を送り込み、混乱に乗じて国王陛下やジェームズ殿下を標的として、何らかの形で暗殺するという可能性。

 

 ミシェル王子を騙る男が私の側にいるならば、間違い無く影武者が代役となるはず。

 暗殺した後、仮に逃げ切れなくて捕まるなり殺されたとしても、個々の人間を駒と見ている彼らにしてみれば、影武者一人死んだとしてもノーダメージ。


 混乱に乗じて脱出し、他の連中はまんまと逃げおおせるつもりかもしれません。


(その隙を作らせないよう、騒ぎは未然に防ぐしかありませんね)


 アリス様達が毒の使用を防ぐこと。私は暗殺指令をブッチして、騒ぎの火種を起こさないようにすること。この2つが出来るだけでも抑止力になるはず。


 これで連中が諦めてくれれば御の字。今回諦めた代わりに次の機会を狙うという可能性もあるが、それは騎士団にお任せすることにして、今回のパーティーでの凶行をまずは防がないとね。


 さあ、明日は決戦よ!

お読みいただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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