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少女、特別公演に出場が決定する

 アリス様と情報交換をしてから1週間が過ぎました。

 それからもエマやサリー、ヘレンやパティなどがかわるがわる会いに来てくれるタイミングで、外の情報を教えてくれるので、状況把握は問題ありません。


 猛獣の件は、やはりアカデミーに搬送されたのは間違いないが、何者かによって箝口令が敷かれているその後の足取りが掴めないようです。


 そして、隠世の動向。

 こちらからも分かる範囲で情報提供しますが、残念ながら雑技団側で大きな動きはありません。

 

 ここまでの調査で、雑技団の人間が直接関与している可能性は非常に低いと思われるが、アルベールと名乗る謎の男からの接触がキャサリン襲撃事件(返り討ちにしたあの日)から一度も無いため、私がその姿を拝む機会には巡り会えていない。


 その男が私の知っているアイツと同一人物であるならば、謎が一気に解明できるかもしれないが、会ってもいない状態で名前だけ分かっても、何の判断材料にもならりません。


 王家主催のパーティーが開かれるまであと10日ほど。

 色々調べたいところではありますが、そろそろ公演の第3クールが始まりますので、芸人としてはそちらにも集中しなくてはいけません。


 一応言っておきますが、芸人の仕事はあくまでもリリアちゃんとして潜入しているから、バレないように務めているだけですよ。

 

 なんでか分かりませんが、公演を見にきたお友達はみな、私が学園で勉強しているときより楽しそうだと言います。


 芸人はお客様を楽しませるのが仕事だぞ。と答えれば、その思考がすでに芸人のそれだと、また言われる。

 

 身代わりで潜入したのですから、その人に成りきるのは普通のことではないのでしょうか? 納得いきませんわ。




「出張公演ですか?」

「第3クールが終わったらすぐだ」


 その日の練習が終わると、団長が全員を集めて追加公演の開催、それも王室の要請でパーティー会場での出張公演だ。


(つまりそれは、例のパーティーってことよね)


「パーティー会場で披露するものだから、あまり大掛かりな舞台装置を必要としない演目に絞られるがな」


 王室の要請と言うことだが、実際は招待する側の意向を十分に汲み、ミシェル王子が雑技団の演技を国王陛下にも見ていただきたいと希望されたそうです。


「アルベール様にお引き立て頂いた甲斐があったな。王様の前で公演が成功すれば、また各国からオファーが殺到するぞ」


 団長はホクホク顔です。

 普通なら旅芸人の一座にはありがたい話ですものね。


 ただ、ミシェル王子の希望ということは、雑技団を引き立てしている男というのは、やはりあのアルベールなのでしょうか……


(だとすれば近いうちに接触する機会がありそうね……)


「……、……、……、……、それからリリアのナイフ投げだ」

「リリア、呼ばれてるよ」

「ふぇ?」


 考え事をしているうちに、パーティー会場での演目に参加するものが発表されており、私もナイフ投げで参加するようです。


 空中ブランコは……さすがに装置が用意できませんわね。


「そう言うことでこれから大舞台が待っているが、その前に次の第3クールを何としても無事に終了させ、勢いに乗って大仕事を成功させようではないか」


 団長の激に、おうと大きな声で応える団員達。

 雑技団のチームワークと、己の芸に誇りを持って取り組む姿は、少しの間だけ一緒にいただけでも、とても犯罪集団が隠れ蓑として偽装しているようには思えません。


「リリア、王様の前で演技だってよ」

「パーティーって美味しい物食べられるかな?」

「そっちの心配が先かい。偉い人がたくさんいるんだよ。緊張しないのかい?」


 芸人からすればそれが普通の反応か。

 公演会場で貴族が観覧することはあるけど、今回は会場全体がほぼ王族貴族で占められた場所だもんね。


 私からすればどうってことは無いけど、少しは気にした方が良さそうね。


「王様かあ……ねえねえ、王様ってカッコいいの?」

「詳しくは知らないけど、アンタより年上の王子様がいるから、結構な年齢じゃない?」


 とぼけたフリして聞いていますが、知ってます。

 ジェームズ殿下(イケメン)遺伝子提供者(ちちおや)ですもの。ウチのお父様やラザフォードのおじさまにも負けないイケオジですわ。


「王子様もいらっしゃるんですね」

「アンタもそういうの気にするお年頃になったのね」


 お姉さんがあらあらといった顔で笑います。


「だって、可愛い私の可憐な演技に王子様が魅了されてメロメロになったら大変じゃない」

「無いよ、無いよそれ。どこの三流恋愛小説だよ」


 平民の女の子と王子様の運命的な出会いは恋愛小説の定番では? と聞きますが、お姉さんはリアリストなのか、夢物語だよとバッサリです。


「じゃあ王子様はダメでも、どこかの貴族、例えば公爵様の息子とか」

「それも無いよ」


 お姉さんからすればそうでしょうけど、公爵令息とはあるんだよねー。

 もっとも、私は平民ではないし、すでに運命的な出会いは果たし済みですけどね。


「アンタもその年から男にうつつをぬかしているんじゃないよ。男なんてロクなもんじゃないんだから」


 おう……お姉さん男絡みでロクなことがなかったのか、と聞いてみたい気もしたけど、やべー黒いオーラが出ていたので口を噤みます。


「場所は違うけど、いつも通りやれば大丈夫。ま、その前に公演を無事にやりきるのが先だよ」


 はーい、そうですね。食い物や王子様にうつつをぬかす余裕など無いですね。


 例の男が接触してくる可能性が高いですから……

 

お読みいただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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