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少女、考察する

 ベルニスタ王国第三王子ミシェル殿下。


 妾腹の子に生まれ、王位継承の可能性はほぼゼロ。

 そのせいもあってか、社交の場に現れることはほとんどなく、その為人はベールに包まれていた人物。顔を知る者はベルニスタでもごく僅か、他国の駐在外交官で会ったという者は皆無。


 それが突如として隣国へ留学という名目で姿を現した。

 やや線は細いが、整った顔立ち。表舞台に立つことは無かったが、蔑ろにされているという話は聞こえておらず、王族としてそれなりの地位は持っている。


 そして、ラヴァール侯爵。


 かつて我が国との大戦で司令官として出陣し、お父様に討ち取られた前侯爵に代わって当主となったのが、アルベールの父である前侯爵の弟。


 自己の意志なのか、早くに家を出て市井に身を置いており、侯爵となって社交の場に現れるまで、どのような人生だったのかは謎の多い人物。

 しかし、いざ表舞台に出てくれば、それまで本当に貴族社会と距離を置いていた人物なのかとは思えぬほど、その地位に自然と馴染んでいるという。


 そして息子のアルベール。

 とにかく彼は自由奔放で、型にはまったことが嫌い。

 幼い頃、市井で自由に暮らしていたせいだと言う者もいるが、ここまでくると、生まれと言うより本人の資質なのではないかと思います。

 特に女性関係では未だに色々とやらかす癖があるようで、次期侯爵が確定していないのもその辺に理由がありようです。


 期待をされていないが故に侯爵の長男でありながら、第三王子の側近として置かれたのですが、ミシェル殿下とは妙に馬が合うようで、殿下の側近になってからは、公の場での儀礼的な振る舞いなども問題無いし、事務に関しては完璧な仕事をするとのことで、最近は評価が上がってきているそうである。


 そのため、今回の留学も細かいところは彼に任されているそうである。


(調べれば調べるほど、分からないことが多いのよね……)


 その話を鵜呑みにするなら、先日の一件は何だったのか? 女癖が再発したのかと思えば、私も捨てたものじゃないわねと女としての自信も付きますが、そう言う雰囲気ではない。


 何せ相手は伯父を討った宿敵、友好的に近づいてくるとは思えません。

 しかも婚約者がいる他国の貴族令嬢に粉をかけるなど、争いの種を蒔き散らすような行為。普通に考えて知恵の回る方であれば避けるべきもの。

 

 そもそもで言えば、何故この国に留学してきたのか?

 両国は決して友好国ではない。ここ数年は交戦していないが、過去の歴史を紐解けば、友好的な期間より敵対した期間の方が圧倒的に長い。


(わざわざ争いの種を蒔きに来たわけ? 余計にわけ分からないわ)


 先日のアルベール様との疑惑は、向こうの横恋慕だったのは事実なのでは? という声も一部ありましたが、単なるおふざけが行きすぎただけだという結論になり終息しました。


 ですが、私にとっては何の目的であのようなことをしたのか、皆目見当がつきませんので、狙いを知るために為人を探るところから始めたのですが、全く分かりません。


 あえて両国の仲を悪くするために、自分を犠牲にする覚悟で来たのか、もしくはこの国に不和の種を植え付ける為なのか。


 はたまたそう見せかけるだけで、私達を疑心暗鬼に落として、何か失策を狙っているのか……




「ケイト、何しているんだい?」

 

 そんなところへ現れたのはオリヴァー様。

 騒ぎ以来、私のことが気が気でないようで、気がつけばそこにいる、空き時間があればやってくる、送り迎えは壁ドン号と、構い倒されております。

 断ろうものならワンコの耳が生えてくる、というかすでに生えている。完全にマーキングされておりますわ。


 望むところだ、ドンとこい! と言いたいところですが、まだまだ慣れませんね。

 

「エマとサリーにもお願いして、色々と調べておりますの。戦うにはまず敵の力量を計らないといけませんから」

「他の男のことを考えるとは気に入らないね」


 オリヴァー様はそう言うと私の目の前に顔をズイッと近づけます。


「オリヴァー様、さすがに近すぎますわ」 

「また自分から厄介事に巻き込まれようてしている」

「これ以上何もないことを期待したいですが、楽観論は良くありませんので」

「私のケイトをここまで悩ませるとは……あの男万死に値するな」


 殺してはいけませんよ。


「無駄な殺生はしたくないが、ケイトを困らせる奴は全員排除する」


 物騒な事を言いながら、オリヴァー様は私の肩を寄せます。

 にこやかな顔と、話す内容のギャップがすごいです。


「ベルニスタの動向については、騎士団でも調べている。詳しく話すことは出来ないが、油断はしない方が良さそうだということだ。ケイトも十分に気を付けてほしい」

「アリス様の身の回りのことはお任せください」

「いや、ケイト自身も気を付けてほしい」

「私も心配していただけるのですね」

「僕としてはケイトの方が心配だよ」


 兄よ、妹のことも気遣ってやりなさいな。


「それはそうと、次の休みに二人で出かけないか?」

「お出かけ……」


 ここのところ忙しく、二人でお出かけも出来なかったので、久しぶりにデ、デ、デートをしたいそうです……


 あ、そうだ! 折角だからあそこにお連れしましょう!


「それでは一つ、行ってみたい所があるのです」

「ケイトが行きたいところなら何処でもいいよ」

「オリヴァー様には趣味に合わないかもしれませんが……」

「変な趣味のお店?」

「そういう方向での趣味ではありませんよ」


 そう、折角だから妹に会ってもらいましょう。

お読みいただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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