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やみをほる -昏き伝説を刻む-

作者: みなはら

心の内へ深く深く潜る。

そうして、魂の奥底に潜んでいる闇色の塊を掘り出す。



血と汚ならしい記憶を掻き分けると、

新たな赤黒い血やどす食い怨嗟が滲んでくる。


鋭い、胸を抉る痛みに囚われず、過去の傷を押し広げて、

血を流し続けている塊をもぎ取って、

闇を照らすぼんやりとした灯りの下に晒す。



掘り出した闇は、手の上で、時おり(きし)むような(うめ)きを上げ、

闇の塊を掘り出す時に、血や汚濁にまみれた手の中で、

その塊は、真っ黒なその身をよじる。



わたしは、ほの暗い灯りに照らされる透明な刃物を取り出して、押さえつけた闇へと刃を立てて抉り削る。


闇は掠れた耳障りな悲鳴をあげて、汚くよごれたわたしの手から逃げ出そうとし、

わたしは闇の塊をしっかりと押さえ直して、さらに闇を刃で刻み続ける。



闇を削る不快な感触と、悲鳴と、

闇を彫る厭な音が響く中で、

わたしは薄い笑みを浮かべ、

闇色の塊を彫り続ける。



不快な雑音と共に彫り上げた闇は、果たして何になるのだろう。



怨嗟の如き、昏き恨みを撒き散らすものか、

復讐を望む暗い輝きを放つ、鋭き意志を持つものか。


それとも、怨念に塗れた濁る眼を、わたしへと向けるものか…。



いずれにせよ、この闇はやがて皆の知るものとなるだろう。



わたしは笑みを浮かべながら、悲鳴を上げ身じろぐ闇を彫り続ける。


透明な刃だけが、闇の中でほの暗い輝きを放つ。




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― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんは。 くうう〜〜〜っっ!!! うつくしいっっ!! うつくしいい〜〜!! 闇を取り出すのですか。自分の心の中から。 そしてそれを彫るのですか! あああああ〜〜!! もうダメだ! …
[良い点] だ、大魔王様ですかっ!? あるいは、教皇とか、なみなみならぬ、闇の力を、感じまする…汗m(_ _)m 大魔王様という言葉より、将来、闇の支配者、統べる者に、なられそうですね…汗 まさか、僕…
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