3 失恋を仕事で紛らわすことにしました
リーネ視点です♪
リーネはライアンがいなくなってしまったことにしばらく落ち込んでいたが、いつまでも落ち込んでいられないと自分を奮い立たせ、自分の夢を実現するため一心不乱に仕事に取り組んだ。
リーネは自分の恋心に蓋をして、とにかく仕事を頑張ることにしたのだった。
(もしかしたらライアンは急にまたふらりと帰ってくるかもしれないし、そんな時にこんなに落ち込んでダメになっている自分を見せられないもの。)
リーネは、ライアンがもしかしたらまたひょっこり帰ってくるのではないかと淡い期待を捨てきれずにいた。ただ、ライアンがいなくなって一週間が経過しても何の音沙汰もないので、実際にはその可能性が薄いのだということは心のどこかで理解していた。
(本当は潔くあきらめなくてはいけないとはわかっているのだけれど・・・。)
リーネはどうしてもライアンへの想いを断ち切ることができず、彼との再会を願って、自分の思いを込めた新作ケーキを考案することにした。
サーシェで働き始めて以来、ずっとお隣さんとして仲良くしてくれたライアン。
ライアンは一見クールな外見に反して人情味にあふれており、誰にでも優しかった。一方、周囲の人達を守るためには強くならなくては、と自己鍛錬を欠かさず自分自身に対してはストイックなほど厳しい面を持ちあわせていた。
(そんな彼を見て、少しでも力になれたら・・・、と自分で作ったスイーツを差し入れていたなぁ。)
リーネが作ったスイーツを食べて、「甘さが控えめで自分好みの味だ。」といって喜んでくれたライアン。
差し入れたスイーツと一緒に、仕事中手軽に食べれるよう塩キャラメルを渡したらとても気に入ってくれて、また作ってほしいとお願いされた時はうれしかった。
「そうだ・・・次の新作ケーキには塩キャラメルを使ってみよう。」
新作ケーキの考案は、王都への出張前にシェフパティシエのミネアから出された課題だった。
「リーネらしい作品を仕上げてきてね!楽しみにしているわ!」
そう言われていたものの、失恋のショックで何も思い浮かばずそのまま提出できずにいたのだった。
(ミネアさんからの期待を裏切りたくないし、ライアンとの大切な思い出を込めた新作ケーキとして、絶対に素敵な作品に仕上げなきゃ!)
塩キャラメルを使った自分らしい新作ケーキ・・・リーネはゔーんと唸りながらも筆を走らせて、新作ケーキのイメージ図を描きあげたのだった。
読んでいただきありがとうございました。
ようやくお話のKeyとなる塩キャラメルを登場させることができました(^o^)
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