鉄格子の中で、私はあなたに出逢いました。
あーあ、また嫌われちゃったか。
今度も鉄格子か、あ、だけど兵士は重装備になってる。
わー、過剰戦力ー、か弱い女の子1人に対してどんだけ兵を使ってるんだか。
なんでだろうな、私何もしてないのにな。
あの子の髪の毛を切ってもいないし。
あの子に暴言を吐いたりもしていない。
平民のくせになんて、そんなこと思ってすらいない。
カッターで切りつけたって、それいつの時代の虐めですか?
証拠もないのに、ぽっとでの女の子を信じて、ずっと一緒にいた私の話は信じてくれないんですね。
もう疲れちゃった、これで何回目だっけ。
結局あなたはあの子を正妻として迎えるために、私に罪を被せて断罪した。
神の前でやる、神聖なる裁判でそんなことをしてもいいのかしら。
神様からの罰が降ってしまうかもしれないと言うのに。
……こんなに愚かなあなたを、私は今でも好きなんです。
誰か笑ってくれないかな?でも、もうそんな友達もいないか。
みんなみんな、いなくなっちゃったなぁ。
次こそは、きっと。
あなたとの恋を、忘れられますように。
そう思いながら、私は冬の寒さで氷のように冷たい鉄の床の上で、眠ってしまったのでした。
明日の処刑を、心待ちにしながら。
++++++
やってきました、処刑台。
朝起きてすぐにこんなことになるなんて、すっごくショッキングですね
……何回もループしてるからかな、テンションがおかしくなっちゃった。
あ、あの子だ、血は嫌いだとか言ってたのにギロチンでの処刑シーンを見に来るなんて、なんか矛盾してると思うんだけど……
あなたが一緒にいるなら、血が怖いとか言って抱きつくためなんだろうな。
そう言う風に怖がって、可愛いこぶれば良かったのかな?
いや、そんなんで落ちるわけないか。
ていうか、私はまた初恋の人に処刑シーンを見られるのか。
なんか、特殊な性癖持ちみたいだな。
殺されるシーンを好きな人に見られたい、みたいな。
「何か、最後に言いたいことはありますか?」
あ、もう処刑されるのね、結構早い。
「何も、ありませんよ」
「そうですか」
私は、ギロチンの上でうつ伏せにさせられた。
ああ、また死んじゃうんだな。
そして、私の意識はまた消えた。
++++++
また、私を閉じ込める、鉄格子からの人生が始まった。
そう鉄格子、その外に私の初恋の人であり初ギロチン処刑を見た人でもある、この国の王子がいるのだ。
つまり、鉄格子ごしの密会である。
私の人生はいつも、鉄格子ごしに始まり、そして、鉄格子の中から連れ出されてギロチン処刑で終わる。
つまり、私の人生には鉄格子が密接に関わっているということだ。