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大学1年目 ゴールデンウィーク

GWの話となります。

当初予定していたプロットが崩壊しつつあります。

「和樹、GWどうする?」


食後、TVを観ていると里奈から尋ねられた。

大学が始まって1ヶ月足らずでGWに突入する。

入学して2週間ちょっとなのに、随分と色々な事があったような気がする。


「里奈はどうするんだ、家に戻るかい?」


「私の家はこの場所よ?」


フフンと自慢げに語る里奈。その事実に少しだけ嬉しくなる。


「そうだったね、俺等の家だもんね。こっちに移って3週間色々な事あったからね」


そうね、と同意されつつも、この2週間の様々な話をした。









大学1年目、いわゆる教養科目と呼ばれる一般科目がメインである。

駒場にあるキャンパスが1~2年の学び舎だ。


高校までとは違い授業の選択・自由度が高い。2年進級条件、3年次の進路条件を満たすよう授業を選択する必要はあるが。

俺自身は理3系なので、生理・生物系を選びつつも、一般教養として数学やら物理、国語、等の科目も選択している。


「里奈はどんな科目を選んだの?」


「私はね~」


里奈が希望している分野は経済系。とはいえ、1年目・2年目は一般教養が多く、里奈と同じような時間割となった。


それ以外では同学部の3人、いかついタツオやヨータローの2人組み、眼鏡キャラのヤスシと共に行動する事が多くなった。

里奈は他3人との4人で色々活動しているようだ。俺は俺で理3系と昼飯も一緒にしたりする事もある。

里奈とは一緒にいる事も多いが、何が何でも一緒にいるわけでもない。




大学生になって感じた事。中高時代に比べて明らかな自由度が増えた点だ。

そして余るのが時間。

今までは大学入学を目指して、只々勉強の毎日だった俺等。

そして新たな学問も始まったが、まだまだ始まったばかり。それでも今までの復習や、延長項目ばかりだ。


そうなると、余ってくるのが時間。

いくつかのサークルを訪問し、旅行系のサークルに加入する事となった。


日本各地の歴史や地域性を調べて、訪問し調査してみようというサークル。

俺達はまだ加入したてなので、実際は夏休みから各地へ行く事になりそうだ。







そんな3週間程度の他愛無い話でも、里奈といると話が弾む。


「GW3~4日くらい、実家の方へ帰ろっか」


そんな言葉を投げかけると、強気・里奈さんが顔を覗かせる。


「あら、私が嫌いになった?」


その強気な表情も可愛いらしい。

自信に満ちた強気な態度だもの。


「そんな事ないさ。ほらこのマンションを用意してくれたり、静野さんを派遣してくたりお礼しないと」


そんな俺の言葉でニコリと笑う。


「そうだね、私の実家と、和樹の実家にもお礼を言わないとね」





数日後のGW前日。

地方から東京へ出てきている同級生の中には、今夜には実家へ帰るという人もいた。

眼鏡をかけているヤスシは、今夜の飛行機で福岡へ帰る話をしていた。

俺達みたいに、明日帰るという人もいれば、GWは帰らないという人もいる。


授業を終え帰宅した後、荷造をしている。

実家に残している服等もあるから、大掛かりな準備も必要ないけど、実家に帰るのに荷造りをするというのも変な気分である。


「実家に帰るのに荷造りって、何か違和感を感じる」


「和樹は、まだこの家に慣れてないのね」


里奈は里奈で、ボストンバックに荷造りしている。


「そんな里奈さんは、この家に慣れたのかい?」


荷造りしていた里奈がこちらに振返ってにこやかな笑顔で言い放った。


「なーいしょっ」


「なんだそれー」


今日もイチャつきながら、各自の荷造りを終えた。






翌日。

早い時間の電車に乗り、帰宅する。

特急列車を使おうかという話もしたが、普通の電車でゆっくり帰る事とした。


2時間半かけ、高校時代には通学路として使用していた実家最寄り駅に到着。

たった1ヶ月程前も利用していたのに懐かしい気がする。


「どっちの家へ先行く?」


改札を出て、いつもの帰宅路に向かおうとすると。


「ちょっと待って、まっちゃんが迎えに来てくれてるって」


里奈がスマホを覗きながら伝えてくれた。


「そうなの?どこだろ」


あたりを見返すと、とある車両の横に一礼する松田さんの姿が見えた。

荷物を担いで、里奈と共に車両へ向かう。


「お帰りなさいませ、お嬢様、乾井のお坊ちゃま」


「お久~、まっちゃん変わりなーい?」


里奈は相変わらず軽いな。

執事の松田さんが里奈の荷物を受け取り、車両に積み込んでくれた。


「旦那様も、奥様も変わりありませんよ。静野から色々と話は聞いておりましたが、やはり会わない日があると久しくなりますね」


続いて俺の荷物も手に取り、車両へ積み込んでくれる。


「お父さん達は今日いるのー?」


「えぇ、お嬢様方のお帰りをお待ちしております」



こうして俺達は執事の松田さんの運転する車両で里奈の実家に訪問した。







「ただいまー」


里奈と共に里奈宅に訪問。スタスタと奥へ進んでいく里奈と、つきそう俺。

いつぞやの婚約の申し込みをした時が思い浮かぶ。


「お嬢様、乾井のお坊ちゃま、お帰りなさいませ」


静野さんが迎えてくれる。

相変わらず、東雲の使用人の中で俺は乾井家のお坊ちゃんらしい。


「静ちゃん、先日ぶりー。ただいま帰りました」


つい3日前に俺達の住む東京で手伝いをしてくれた静野さんだ。


「旦那様と奥様がお待ちです」


静野さんの案内で、いつぞやの客間・・・・ではなく、リビングに通された。

里奈と正式に婚約した事で家族扱いになったのかな?


「お父さん、お母さん、ただいまー」


「ご無沙汰しております」


里奈父・勇次郎さんと里奈母・理子さんが居た。


「里奈お帰りなさい、和樹君もいらっしゃい」


理子さんが迎えてくれ、勇次郎さんも視線を向けてくれている。


「折角だから、大学の話を色々聞かせてくれないか」


テーブルに案内され、席に着いた。

きっと大学の色々な話ではなくて、俺と里奈の2人の生活を聞きたいんだろうなー。


里奈が活き活きと語りだした。





東雲家でお昼ご飯をご馳走になり、俺の実家へ。

姉の和葉、妹の和沙が里奈にまとわり付く。


「和樹に変な事されてなーい?」


「お兄ちゃんが迷惑かけてない?」


何で俺の姉妹には、こう言われてばかりなのだろうか。


「久しぶり、和葉お姉ちゃんに和沙ちゃん。和樹は私に優しいから平気よー」


俺の実家でも、姉妹含めて親父とお袋から話を尋ねられた。

里奈が、東雲家で語った内容と語りだす。


色々な話を聞いたり、俺の脇が甘い事(野獣の前の特上肉の話)を姉妹に叱られたりされた。

夕飯は俺の家族と、里奈、俺で外食をした。


「今日はどっちに泊まるの?」


夕食後。里奈からそう問われる。


「どっちって?」


「泊まる場所よ。私の実家か、和樹の実家か」


そういう事か。


「俺は俺の実家に泊まるよ」


「そっか、今日は和樹の居ない夜だね」





俺は里奈と彼女の実家前まで送る。

毎日一緒にいた彼女。彼女の居ない夜は久々だ。

何となく切ない想いを感じる。これ限り会えない訳でないのに。


「和樹」


「ん」


俺と里奈はそっとキスを重ねた。

口を離しても、里奈とは見つめあったままである。

いつも一緒にいる里奈が、今夜は居ない。明日には会えるのに、寂しい気分で一杯だ。里奈も里奈で同じような意見なのだろう。この見つめ合いを終わらせようとしない。


「そろそろ行くね」


里奈と別れて、実家に戻る。

ついさっき別れたのにも関わらず歩きながら里奈とレインのやりとりを行っている。結局、里奈とレイン連絡は、就寝まで続いた。








翌朝。


「夕方には、里奈と東京へ戻る事にするよ」


俺の姉妹と里奈が今日出かける予定だったらしい。

そう答えると、姉妹には驚かれた。


この日帰る事にしたのは、里奈と今朝レインでやり取りした結果だ。

というよりも、2人の意見が一致した結果だった。


「そうか、大学の授業頑張れよ」


親父にはそう言って貰えた。







夕方、里奈と遊んでいた姉の和葉、妹の和沙に見送られて東京行きの電車に乗り込んだ。

電車の席で里奈と話をする。


「駄目だわ。私、和樹への依存症に掛かってるの」


嘆いている様子の里奈。


「俺もだな」


俺の発言に、里奈が驚いた様子はなかった。


「だって、和樹のいない夜、寂しいもん」


わかる。たった1日でこれだもの。

俺を想ってくれてる様子だけでも微笑ましい。


こうして、俺達のGWの帰省は終わった。

毎日一緒に生活している事で、自身の里奈への想いが深まった気がする。

深まったというよりは、気づいたが正しいのかもしれない。


俺と里奈、お互いの想いを再理解したGWだった。

帰宅した東京の俺達の部屋。カギをしめて、お互い抱き合い、キスをした。

電車の中で何度もしようとした行為だ。


「和樹、大好き」


俺は、その言葉に答えるよう、俺自身の口で彼女の口を塞いだ。



【以下、作者の後書き】

駄作を閲覧頂き、ありがとうございました。

次話は、大学4年まで時間を進めます。

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