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高校3年 卒業直前の初春

前話のラスト数行に文面を追加しました  2019.10.14 Am7:10



冬の話をしておりましたが、文字数が少ないので初春と合併いたしました。

受験勉強+合格発表のお話です。

センター試験最終日を終えた俺は、本試験(二次試験)に向けて勉強中である。

来月2月末の本試験に向けて勉強を行い、そして3月後半には里奈との結納を予定している俺。それとは対照的に里奈はというと・・・。


「むぅ」


今日も今日とて、里奈は不機嫌だな。自己採点の結果を見てるようだけど。

里奈の成績で一次試験は足切りされる事ないけど、面接試験でどうなるかが難しい。

他の大学も滑り止めで受けているがそちらは大丈夫そうである。


「学部変更する!」


「え、今から???」


理3系を目指してい里奈が新たに提示したのは文2系。


「化学とか物理より、世界史、日本史のが成績良いんだもん」


これから本試験対策の勉強だけど、間に合うのか。

まぁ、理数系等は苦戦してたから文系にする方が良いのかもしれないね。


「本試験対策、間に合うのか?」


「そこはほら、意味不明な物理・化学の勉強を深めるよりは、日本史・世界史のがとっつきやすいもん」


里奈の回答に思わずなんとなく理解する。

それでも、今から学部変更するの大丈夫だろうか。


「勇次郎さんと一度話した方がいいんじゃない?」


「うん、そうしてみるー」


スマホを取り出す里奈。え、俺の部屋から電話するのかよと頭がよぎる。


「あ、お父さんー。今大丈夫ー?」


里奈父・勇次郎さんって今仕事時間なんじゃないのか?


「センター試験自己採点してみたの。もう、理3系狙いは全然ダメだった!」


そんな、嬉しそうにダメ連絡しなくても・・・。


「文2系のが全然余裕そうだから、文系にしようかと思うの。え、和樹が傍にいるかって?隣にいるよー」


あ、いつもの俺が巻き込まれるパターンだ。


「和樹ー、お父さんが和樹と話したいってー」


なんで娘の進路を、娘の婚約予定相手とするんだ?

まぁ、良いのだけどさ。


「ご無沙汰しております、勇次郎さん」


「和樹君、また里奈が迷惑かけてるようで・・・」


「いつもの事ですよ」


その言葉で里奈に殴られた。

スピーカーモードで、勇次郎さんの言葉も里奈に聞こえていたようだ。


「里奈の成績どうだったのか、教えてくれないか」


勇次郎さんに丁寧に教えてあげた。

理3系で足切りされる事はなさそうだ。2次試験次第だけど、受かる可能性は十分にある。

それでも、文系のが総合的に点数が良かったのが事実。

これから始める2次試験対策の結果次第だけど、文系のが合格率は高いかもしれない。

そう、里奈父・勇次郎さんに説明をした。


「とても分かりやすかった。和樹君、これからも里奈をよろしくね」


婚約予定だもの、勿論ですよ。

里奈にスマホを返す。スピーカーモードは継続中で、里奈と勇次郎さんの声が聞こえてくる。


「里奈の人生なのだから、自分で決めなさい」


これが里奈父・勇次郎さんの言葉だった。


「うんー、それじゃ文2系目指すねー」


そう微笑みながら答える彼女。

なんだろう、勇次郎さんの言葉はとてつもなく重いけど、里奈の回答が軽すぎるような。

あぁ、これも里奈なんだろうなー。


「さぁ、本試験頑張ろ!」


じっと見つめていた里奈と視線が交差する。


「なーに?」


「いいや、何も。里奈らしいなって思って」


「えー、なにそれー」


本試験まであと1か月。俺と里奈は猛勉強した。







2月14日。ヴァレンタイデーだ。

センター試験による合格発表がされ、俺も里奈も1次試験通過の確認をした。

本試験(2次試験)が2週間後にある。


ひたすら過去問を解く解く解く。時たま里奈が襲撃してくるが、お互いに勉強。

里奈が来た日には俺の家族とお食事。

俺の家族が、里奈贔屓しすぎるぞ。


「手塩にかけた里奈ちゃんが、和樹に取られるなんて」


「いつのまに、里奈お姉ちゃんと婚約を取り付けるなんて!」


姉の和葉に嘆かれ、妹の和沙にも叱られている。

えぇい、里奈は幼稚園の頃から俺のもんだと言い返したい。

探られるのが面倒だから、言わないけどな。


「はい、和樹」


手渡しで、チョコレートを餌付けされる俺。

お返しに里奈の口にチョコレートを入れると、指もかじられた。


「里奈の方は試験対策どうなのさ」


「余裕!」


疑わしい目で里奈を見つめる。


「何よ?」


言葉を出すと、里奈が怒りだすのは目に見えているので言わない。


「お互い、受かるといーなー」


「そうねっ」


今年のヴァレンタインデーはキスをしなかった。

その代わりに、俺の部屋でお互いにお勉強。

強いて言うのであれば、高校3年の冬は、勉強の味だろうか。







2月末の受験日を終え、私立の後期試験を受ける。

そいでもって3月10日。

この日は朝早くから東京へ向かっていった。


里奈の父、勇次郎さんが車を出してくれ、理子さん、里奈と共に都内に到着。

後楽球場ドーム遊園地に車を停める。ここからはタクシー移動が良いらしい。

何でも、合格発表を見る人たちが多すぎて、車の駐車場がないのだとか。


「和樹、12時なったよー」


東京のドーム遊園地内で、里奈家族と昼食を食べていた。

掲示板による合格発表は12時半からだけど、ネットでは12時から結果をみる事ができる。


「繫がんないね」


アクセス集中しているようだ。

気になりすぎて、食事に集中できない。


「ここで見たら勿体ないぞ。現地に行ってみたらどうだ」


勇次郎さんのアドバイスで早々に食事をご馳走になり、タクシーを拾う。


「我々はここで待っているから、二人で見に行ってきなさい」


里奈の両親、勇次郎さんと理子さんに送り出された。

一緒に来てはくれないようだ。


「里奈の自信はどうだい?」


「ふふん、和樹は何当たり前な事を聞いてるのよ」


タクシーの運ちゃんに本郷キャンパスに行く旨を伝える。


「合格発表ですか?」


「そうなんです、待ち遠しくて」


珍しく親父からメールが届いた。中身は後で確認する。

タクシーの運ちゃんにお金を払うと「受かってるといいですね」と送り出された。

本郷キャンパス前に到着。すごい人が溢れている。


「先に文2から見てみようか」


「ん、わかった」


里奈の手を握ってあげる。

強がっている癖に、緊張しているな。文系の掲示板を進んでいく。

一歩一歩進んでいる俺らのまわりには、喜びにあふれている人、涙を流している人、力を無くしている人、様々な人たちが居た。


「か、和樹!」


里奈が何かを見つけたようだ。


「あったよー、和樹ー」


ガバッと抱き着いてくる里奈。

おいおい、通行の邪魔になるぞ。

しかも泣いているし。


「よがっだよー」


遠くから、おめでとうございますの声が聞こえてくる。

学ランとチアの恰好を人達、運動部の恰好をした人達が、祝福している。何年か前には、合格掲示を取りやめた事があったらしいが、これが噂の新入生歓迎イベントかと目を奪われる。

俺自身の合格はまだ見てないけどさ。


里奈が泣き止むのをまってから少し歩き、理3系の掲示板を目指す。

ギュッと握られた右手。顔を向けるといつものニコリ笑顔の里奈。


『大丈夫だよ』


言葉はないけど、里奈の表情がそういっていた。

理3系の一つ目の掲示板が通り過ぎた。二つ目の掲示版。



その番号を見つけた時、思わず力が抜けてしまった。

思わず、その場に座り込む。


「あ、和樹の番号あったねー」


あれだけ大泣きした里奈の、軽い言葉に安堵感を覚える。


「あぁ、そうだね」


里奈の視線を感じるが、里奈に対処する余裕がない。


「もー、和樹の番号もあったんだからさ。もっとこう、『やったー』とかないの?」


そうだね。

掲示板を手に持つ受験票番号を交互に見つめる。

うん、間違いない。


「やったよ、里奈」


「うん、やったね和樹」


遠くからおめでとうございますの声が聞こえてくる。






結果ばかりが気になっていたけど、サクラが咲いている。

おめでとうの声を聴きながら、俺たちは会場を後にした。


「和樹ー、お父さんがこの住所までおいでだってー」


里奈のスマホに、里奈父・勇次郎さんから連絡が届いていたようだ。


「なんでこんな所なんだろうねー」



タクシーを捕まえて乗り込む。


「その表情は、おめでとうですね」


先ほど、ここまで送ってくれた運ちゃんだった。


「あ、さっきのオジさんじゃん!ありがとー、無事合格してたよー」


里奈とタクシーの運ちゃんがワイワイやっている。

そして、俺は親父から送られてきたメールを見てみる。


『里奈ちゃんと住み込む家を用意してやった。カギは勇次郎さんから受け取りなさい』


まじかよ、親父。

指定された場所に到着すると、セキュリティ機能付きマンションだった。


「わー、すごいマンションだねー。あ、お母さんだ」


里奈が手を振る先には、里奈両親が居た。


「里奈、和樹君、合格おめでとう」


どうやら、お二人はネットで結果を見ていたようだ。

勇次郎さんが里奈へ手渡しでカギを渡している。ついでに俺にも。


「え、どうしたのこの鍵?」


「和樹君のお父さんからの贈り物だよ」


「えー、本当!?」


里奈に視線を向けられるが、ついさっきまで俺も知らなかったんだ。

何も答えられないさ。


東京の千代田線の某駅2分。

地上14階だての12階フロアであった。いわゆる2LDKという部屋。

部屋に入ると、一人暮らしとしては大きいお部屋。里奈との二人暮らしだとどうだろうか。


「あれー、あそこに学校が見えるじゃん」


しかも本キャンパスに近い。

あー、今更ながらに婚約を重く感じてきた。いや、里奈に不満なんてないさ。


ベランダから見てみると、東京の一角が目に広がる。

いつの間にか、里奈も隣にきているし。


「色々と驚きづくしだね」


里奈が隣で微笑んでいる。

来月から大学生になる。里奈との生活は・・・・、まぁいつも通りなんだろうな。


横の里奈は目を閉じて唇を近づけてきてるね。

はいはい、付き合いますよ。


来月からの新しい生活。

高校3年の冬・・・。というより、高校3年の初春は、新しい生活の味がした。


「まずは、家具を買わないとね」


うん、新しい生活の準備だね。



俺らのキスの様子は、ばっちりと勇次郎さんと理子さんに見られていたのは言うまでもない。

里奈は開き直って自慢げにしてるし。いや、もう少しお淑やかにしろよ。

俺の姉妹からも、『里奈ちゃんがああああ』というレインが届いてる。


これも『新しい生活の味』なんだろうか。

次は、閑話として里奈の過去のお話です。


その後は卒業後+入学式にまつわる春のお話。

今話から、1か月程度の内容ばかりです。


*****

次話は、同日14日19時頃の更新予定です

その次は、明日15日 19時の投稿予定、

*****


大学って、前期試験と後期試験なかったっけ?

一部の大学は後期試験がないようです。執筆よりも情報収集で時間を大いに費やした。

そんなかで新入生歓迎の動画を見つけ、今回の話に取り入れました。


ポイント等を頂けると、執筆活動の動力となります。

見てみたい状況等、感想やリクエスト等を頂けると、執筆活動のに活かせるかもしれません。





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