表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

高校3年 夏の味

夏の話題です。

里奈とちょっとしたすれ違いのあった春。

あれから3か月が経過した。


1学期試験も今日で終わった試験後。


「和樹ー」


試験の解放感で、クラスが騒がしい。

答えあわせであーだこーだ話している男の輪に来る、里奈。


里奈だけでなかった、飯野さんや田口さん、宮崎さんも連れている。

リョータにマサ、いっちゃんと答え合わせしてた中に割り込んでくる。


「お昼行くよ!」


里奈の暴走が始まった。

俺だけなら、今日の里奈も可愛いねで済ませれるんだけどと男連中を見てみる。

飯野さんがいるのだから、リョータはOKと。


意外だったのが、マサといっちゃんだ。二人が是非行こうよと言ってるし。

え、田口さん宮崎さんといい関係なの?


そんな視線を里奈に表すと


『和樹も付き合いなさい!』


あー、わかりましたよ。付き合いますよー。


「どこ行くのー?リオン?それともサイゼ?」


学校近くの、ショッピングモール:リオンへ行く事となった。

リオンへ行く道で、見事にカップル別けで歩く事となった。


いやだから、俺と里奈は付き合ってねーけど!



それでも、俺に引っ付く里奈。


『何があった?』


そう視線を向ける彼女は、さらにくっついてくる。

小声で


「当たってるよ、里奈」


「当ててんの!」


そう大声で返されながら、『良いから、付き合って!』と視線を向けられる。

はいはい、里奈なりの何かがあるんだねー。


ふと周りを見返せば、飯野さんとリョータがピタリとくっついてるし。

あー、俺とリョータ組で残り二人組を焚きつけてるんね。

仕方ないかー。


俺と里奈、リョータと飯野さんでイチャイチャ会が終わった。

外野がいないので、里奈は俺から離れている。


「あの4人はくっ付きそうなの?」


「わかんない。後は本人達次第よ」


そうかい。俺の管轄外だな。


「ねー、和樹」


俺の腕に引っ付いてくる里奈。

なんのオネダリだと視線をむける前に、言ってやろう。


「里奈、8月の隣町の花火行くよ」


きょとんとした顔を示す彼女。

その後のニコリ顔はいつものパターンだ。うん、今日も可愛いね。


「うん、楽しみー!」


そう喜ぶ彼女の笑みを、脳内に焼き付けた。





修行式も終わった7月後半。

某予備校の模試判定結果も出てきた。


首都名を関した大学の模試判定は総合的にAだった。

油断しなければ、大丈夫だな。俺と同じ大学の学科を目指す里奈は総合的にB判定だった。


「ぬぅぅぅ」


可愛い顔を膨らませて唸っている。

同じ大学の別学科ではA判定もあるんだしさ。そっちはダメなのと尋ねてると。


「私は和樹と同じところに行くの!」


不貞腐れた顔な彼女。

いや、同じ大学なら良いんでね?と聞くのは野暮である。

ぶつぶつ聞こえる、「私が居ないと和樹はダメ男だし。変な女に引っかても」

という呟きは無視する。





それからも、勉強会と称する里奈の襲撃を受ける夏休み。

妹なんて、「里奈お姉ちゃん」と呼んでいる。

メチャメチャ外堀を埋められてるが、まぁ、満更でもないさ。


8月初旬。隣町の花火大会である。

祖父から借りた着物を引っ張り出す。


これを借りるのもひと悶着あったもんだ。


祖父に着物を借りたいと要請すると


「ダメだ」


第一声がこれであった。

下手な軽自動車よりお高い着物だ。

仕方なしにどうしようか考えていると、外野が話を進めていた。

祖父から許可されたコメントがこれだもの。


「里奈ちゃんをエスコートするのに限り、許そう」


いつの間にこうなった。

どうやら母が、『里奈ちゃんにアピールしたい。ゲン担ぎで祖母を口説きおとした祖父の着物を借りたい』という事を連絡したらしい。なぜ俺の家系は里奈にここまで優しいのだろうか。

確かに、里奈にアピールしたいという下心はあったけどさ。


解せぬ!



夏祭り当日。17時ちょうど。

いつもの曲がり角で里奈と出会う。


浴衣でなく、着物であった。

髪を結いあげ、白粉(おしろい)をつけたいつもと違う里奈。


「里奈可愛いね」


里奈から腹を殴られた。痛い。

それでも手をつないで、駅まで向かったのだけど。


「和樹も恰好いいよ」


電車が到着したホームで、そんな里奈の声が聞こえた気がする。



隣町の駅前で里奈に手をひっぱられた。

リョータに飯野さん、いっちゃんに田口さん、やっさんに宮崎さんが居た。

みんな手を繋いでるし。


『あの4人はいつの間にくっついたの?』


そう視線を向けると里奈は言い放った。


「確定じゃないの、和樹は黙らっしゃい」


はい、わかりました。何も言いませんよ。

俺は連絡してなかったが、いつのまにかグループで花火見る事になったらしい。


射的したり、イカ焼きたべたり、メロン味のかき氷食べたり。

もうまもなく花火が始まる時間。


そっと里奈の手をひっぱって、特定位置へと向かう。

もちろん、リョータやらやっさん達とは離れ離れに。




花火が打ちあがる。


「綺麗ねー」


綺麗な花火が打ちあがっているが、俺はそれどころじゃない。

髪を結いあげて、いつもと違う雰囲気の里奈。

花火の光を浴びる彼女がキレイだと思う。


「里奈のがキレイだよ」


自然と漏れてしまった言葉。

里奈が花火から俺へと視線を移してキョトンとしている。

そして、いつものニッコリ絵顔。

いつもとは違うか、着物結いあげた髪の雰囲気でいつもと違う笑みに見える。

花火音に紛れながら、そっと口寄せをした。


夏の味は、今でも里奈が手に持っている食べていたブルーハワイな味だ。

俺の中で、過去最高にキレイな彼女を脳内保存したのは言うまでもない。





お祭りの翌日。


『お付き合いしました!』

『付き合うことになった!』


やっさんといっちゃんからレインで連絡が届く。

あー、この花火の中告白したのね。

ブルーハワイの味が漂う、夏の出来事だった。





次は大学受験に関する、秋のお話です。

13日中には投稿な予定。


面白い、続き読みたいと思って下さればポイント評価頂けると作者が舞い喜びます。

感想を頂けると、今後の執筆活動の参考とさせて頂きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ