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高校3年 春の味

高校3年の春の出来事。

高校3年になった4月。

朝7時05分。


「おはろー、和樹」


「はよーっす」


いつもの曲がり角で一緒に歩く里奈。

今日はご機嫌だなー。何があったんだろうか。


「そいで、ご機嫌な里奈さんは何がったんだい?」


「わかっちゃう?」


俺のコメントに機嫌よくお話しする里奈。

彼女のニコニコ顔は可愛い。


いつもの通り、電車に乗り、いつもの通り下駄箱に到着。


「あら」


里奈の下駄箱にはお手紙が入っていた。

あー、時たまあるやつか。こんな時の里奈は、毎回おんなじパターンだ。


「和樹ー」


普段、学校では俺にくっつかないのに、こういう時に限って両腕で俺の腕にひっついてくる。


「あたってるぞー」


「当ててんの!」


里奈の事のこんな行動も可愛いと思える俺は重症だろうか。

そのまま里奈に引っ付かれたまま歩き出す。


「ねー、和樹ー。これどうすればいい?」


里奈が封されたままの手紙を見せてくる。いや、知らねーし。


「ねぇ、和樹ー。ちょっと位は悩んでくれたっていいじゃん」


里奈を腕に引っさげたまま、教室へ。

歩いている途中、色々な生徒の視線を感じたさ。


「だからさー」


「何で俺を巻き込むんだ」


そのまま教室に入ると、全員の視線を奪った気がした。

腕に抱きついたオプションを付けながら俺の席へ。


「もう、和樹なんて知んない!」


プリプリと怒って立ち去る里奈。

だってさ、里奈への大好きですというお手紙に俺が答えるんか?

それはしゃしゃり出すぎだろう。そんな事する奴がいれば束縛系というやつじゃないのか?

ただでさえ、付き合ってないんだし。


そのまま1限目突入。

この件に関して、クラスの皆は誰も突っ込んでこなかった。



3限目の着替え中。

隣のクラスで着替えをしているとリョータから質問された。


「奥さんと何があったんだ?」


奥さんって・・・。

里奈をさしてる事はわかるけどさ。


「里奈の下駄箱にラブレターはが入ってた」


そっけなく答える俺。

あれ、意外と不機嫌?


「それで?」


「それだけ}


頭を抱えるリョータ。


「それで東雲さんは?」


「なぜか俺を巻き込もうとする」


リョータはスマホで何か書き込んでるし。

リョータの彼女の飯野さんとやり取りしてるんだろうな。


「いやさ、何で里奈のラブレターに俺が出ていくんだ?」


率直な意見を返すと、理解した顔が半分、うーんと悩む連中が3割。

そのまま校庭の広場へ。女子達は体育館らしい。


体育は普通に終わった。

4限目の国語。里奈からのお昼買い出しのメモが無かった。

高校に入って、ずっと一緒のクラスだったけど、メモが無いのは初めてかもしれない。

まぁ、今日は学食に行ってみるかーと考える。


4限終了。

いつもの通りダッシュする。いつもと違う学食へ。

里奈とはいつも昼を共にしていたが、なんとなく味気ない気がする。


気まずいまま、早食いして購買へ。

里奈のいつものメニューは残っていたので、買い足し。


教室へ戻ると、里奈の姿は無かった。

購買で買ったパンを鞄の中に押し込む。いつもなら、パンを購買のパンを食べながら雑談している時間だな。このパン達は悪くない。女々しい行動することなく、こういつらは夕食前に食ってやろう。


こうして、珍しく里奈と接する事無く今日が終わった。




翌日

朝7事05分。いつもの曲がり角。

里奈が居なかった。


朝07事09分。里奈が居ないので、駅へと向かう。


7時15分。改札をくぐると、いつもの電車が走ってきてた。

仕方なしに乗り込む。


7時50分。

クラスに到着。里奈は居ないが、荷物があるようなので、来ているようだ。



4限目が終わり。

食堂へダッシュ。昨日と味気ない昼食を食べる。

早食いして、購買へ。いつものメニューを買う。


クラスに戻ると、沈んだ雰囲気を感じる。

あれ、俺たちのせい?

買ったパン達に罪はない。そのまま鞄に押し込もうとすると、昨日の購買パンが顔をのぞかせる。


やっさんとリョータに声かけた。


「ちょっと購買で買いすぎちゃってさー。食うの付き合ってくんない?」


今日の里奈メニューを友人らに。

昨日のパン達は俺の胃袋に。うん、食いすぎたな。


「何で喧嘩が続いてるだよ」


「喧嘩なんてしてないさ」


俺はいつも通りの行動だ。

いつもの時間に曲がり角に向かい、いつも通りのメニューを購買で買う。


「すまん、リョータ。飯野さん通して伝えてほしい」


「おうよ」


こうして今日は、里奈と接する事無く1日が終わった。

初めてかもしれない。




木曜日。

いつもの通り、7時48分に下駄箱に到着。

久しぶりに手紙が入ってた。泉田と書かれていたので、鞄に押し込む。


二限目の体育を終え、クラスに戻る。

机から3限目の用意をしていると名無しの手紙が入っていた。


『大和 和樹 さま』



里奈の文字だな。『様』をヒラガナで書くし。

放課後、裏庭に。


なんで里奈はあんなに不貞腐れてるんだろうか。

男心にはわからんがな。




放課後の指定時間。

裏庭につくと誰もいない。しばらく待っていると、里奈がやってきた。


「和樹」


彼女のニコリとした表情がない。


「ごめん、和樹。ひっく、ごめんねー」


里奈が泣いている。何で泣くのさ。

そっと近寄って、泣いている里奈の頭をポンポンと叩く。

あー、学ランが濡れてしまうと思うが、里奈のが大事だ。


俺の腕の中で、散々ないている里奈がいた。

そっと外れを見ると、ショートな女の子が来てこちらの状況を察してか、去っていった。

誰か知らないけど。


目が赤い里奈がいる。そっと口を寄せると、涙の味を感じた。


里奈はかなりの意地っ張りだ。

俺も意地っ張りなのだけどさ。






翌日、朝7時5分。

いつもの曲がり角で彼女に会う。


「はよはよー、和樹」


ちょっとだけ目が赤い彼女の笑みに今日も安らぎを感じる。


「おはよ、里奈」


高校3年の春の出来事だ。


次話は高校3年の夏予定です。10月12日19時頃、投稿予定。

面白いと思ってくだされば、ポイント評価をお願いします。


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