高校2年の味
甘いタイトルです。
自身でも、何でこんなタイトルとしたのかわかりませんが(笑)
和樹と里奈の様子をニマニマとしてください。
朝7時。高校に向かうために家を出る。
「行ってきーます」
駅へ向かういつもの通り道。
朝7時5分、いつもの曲がり角。ここで彼女に会う。
「和樹おはよー」
「はよー、里奈」
黒い髪とパッチリした目。
東雲里奈、俺を見上げて、ニッコリ笑う里奈。
「和樹、ちょっと聞いてよー」
朝7時6分。二人で並んで駅に向いながら、里奈の話が始まる。
「お父さんがさー」
女の子の話でアドバイスを贈るのはダメなのだそうだ。里奈の話に相槌をする。それから昨日のTVの話をしたり、現在日本でやっているW杯の話をしたり、いつも通りの平日。
朝7時12分。駅の改札を通り抜けて、里奈といつもの場所に並ぶ。
周りをみれば、通勤なのであろう社会人の人達の姿をみかける。いつもの顔ぶれ。
朝7時16分、電車が到着した。
今日は少し遅れてるけど、電車の中の顔ぶれは、なんとなくいつも通り。
座りながら会話をしている社会人のカップルや、経済新聞を読んでいるお爺さん。
そっと、里奈を守るよういつもの定位置に収まる。
電車内だけは、里奈のお話が止まる。
朝7時22分。とある駅に到着し、多くの人が乗り込んでくる。里奈と向かい合う形となる。
高校になって人の多さに驚いたり、自然と里奈と密着したりドキマギしたものだった。
そっと彼女の顔を見れば、俺の視線に気づいたのか、ニコリと笑みを返してくれた。思わずプイっと顔をそむけてしまう。
朝7時37分、高校の最寄り駅に到着。
今日の電車は遅れていたようだね。二人でならんで高校へ、ここから里奈との話を再開する。
駅から高校までは、同じような制服の人等をみかける。
仲には手をつないで登校するカップルもいるようだけど、俺らは手を繋がない。
朝7時50分、下駄箱に到着。靴を履き替え、2階の僕らのクラスへ向かう。
「今日もご夫婦登校ご苦労さん」
里奈は女友達の輪へ向かっていき、俺は友人らにの輪に近づくとからかわられる。
「やっぱり、そう見えるもんか?」
僕と里奈はカレシ・カノジョしてるわけじゃない。
自然とこうしているんだ。
「今更なー。俺らにしてみれば、なんで付き合ってないの?と疑問だらけさ」
里奈のほうに視線をむけると、彼女も僕へと視線を向けるところだった。
お互いに『何でだろうね』というジェスチャー。
「はいはい、悪かった。付き合ってるんじゃなくて、夫婦だったな」
まだ、夫婦じゃないぞ。解せぬ。
三時間目の休み時間。
「里奈ー」
同級生の女の子たちの輪の中にいる里奈に声かける。
「ちょっとまってー」
「シナモンと、メロンと・・・。はい、和樹よろしくね」
里奈から渡されたメモ用紙。
シナモンロール2ケ、メロンパン1ケ、コーヒー牛乳3ケ、その他諸々。
「ちょい待て。何人分だよ」
「行くの和樹一人だけじゃないんでしょ?私はいつもの通りよ」
何かおかしいぞ。最初は里奈と俺自身の昼食の買い出しだったのに。
男連中の輪に戻ると、俺に任せろとアピールする奴らが数人。
溜息をしつつも、
「やっさん、マサ、いっちゃん、頼むわー」
任せろと喜ぶ3人と、今日は不参加かーと落ち込む連中数人。
「リョータはいつも通りか?」
ガタイの良い柔道部のリョータは自身でメモ用紙を貰っていた。
「おう、頼むわ」
最近ではいつも通りとなった風景。
11時30分。4限目のチャイムがなった。
「微分を行う事で・・・」
数学の授業だ。チラッと視線をむけると里奈は苦戦してるようだ。
里奈も俺の視線に気づいたのか、ジャスチャーを示してくる。
『意味わかる?』
『楽勝!』
里奈の表情が不貞腐れてる。まったく、可愛い奴だ。
4限終了と、挨拶と同時にダッシュ。
やっさん他4人でダッシュだ。向かう先は、昼休み限定の戦場。
俺は、里奈の希望を揃えて自身のパンも確保。
代金を支払って購買から出る。
「状況はー?」
「問題なし」
「そいじゃ、戻ろうか」
「今日の参加者だれなん?」
「知らね。里奈に聞いてくれ」
リョータ、やっさん他二人と教室に到着。
里奈含む女性陣が机を用意してくれていた。
「和樹おかえりー。ありがとねー」
ニコっと俺に笑みを浮かべる里奈。
こんな事をしれっとできる彼女は凄いと思う。
俺と里奈は隣通し。リョータと、彼とお付き合いしてる陸上部の彼女も隣通し。
そこに入る6人の男女。
「ほら、皆も買い出ししてくれた彼らにお礼を挙げてね」
里奈の声で、同席した女の子達から感謝される。
ごめん、どうでもいいや。僕は里奈の為にやったのだし。
ちょんちょんと突かれたので、隣の里奈に振り向く。
「和樹、ありがとう」
「おう」
決して里奈に照れたわけじゃないぞ。
何だろうか、里奈のニコリと微笑んで、俺を持ち上げる彼女に悪い気がしない。
とゆーか、負けてるよ!マズイ女だ!(←?)
里奈セッティングの合コン(?)が終わり、午後の授業も終了。
さて15時01分の放課後。
「和樹ー」
里奈が友達と会話しているのを待っていたら、俺のところにやってきた。
なんだろう、近所の人が飼っている小型犬のワンコが尻尾降って近づいてくる姿が目に浮かぶ。
里奈の機嫌は良さそうだ。見えない尻尾がブンブン振っているように見える。
「今日の数学、教えて」
あー。数学の時の里奈は不機嫌だったもんな。
「ウチでいいの?」
彼女は、ニッコリと微笑みながら
「和葉さんや、和沙ちゃんにも会いたいしね」
俺の姉やら、妹に用があるらしい。なんとなく解せぬ!
プイっと振り向いて、教室を出る。
彼女は。トテトテとついてくる近所のポメラニアンのようだ。ごめん、男の下手な見栄なんです。
「もちろん、和樹に勉強を教えてもらいたいんだよ」
里奈の言葉で、スラスタと里奈を無視して歩いていた俺の歩みが、彼女の歩みに合わしたのは言うまでもない。
16時05分。家に帰宅。
「母さん、里奈がこれから来るからよろしくー」
夕飯を作っているマイマザーに報告。
「なに、里奈ちゃん来るの?そいじゃ、夕飯食べて行ってもらいなさい」
なんだろう。家の息子よりも待遇が良い気がする。
そりゃ、親父からも「あんないい子、逃すんじゃない」と言われている里奈なんだけどさ。
部屋で簡単な片づけをしていると、我が家の一番の敵が現れた。
乾井和葉。大学生な俺の姉だ。
「里奈ちゃん来るんだって?」
母から聞いたのだろう。宿敵な姉の質問である。
「何かよう?」
姉は面倒だ。
もう一度いう、姉が面倒だ。
男目線で言えば、好ましい女性に見える。家での実姿を見なければであるが。
身長は165位。
豊満な胸を強調する服装であるが、おなか回りは引き締まっている、
家族だからしっているが、筋トレ用具が姉の部屋にあるのだからさ。おなか回りを引き締めているのは良くしっている。里奈もおなかを引き締めるために、筋トレしているようだ。(里奈母、理子さん談)
勿論、そんな話題を里奈にしないけどな!
「私が手塩にかけた里奈ちゃんが、あんたに取られると思うとねー」
姉が里奈と色々なやり取りをしているのは知っている。
知っているが、もう少し弟に手塩をかけてくれてもいいんでない?と思うのはダメだろうか。
「弟へは、手塩にかけてくれないの?」
思わず、ストレートに声かけてしまった。
そんな姉の反応は、呆れ声であった。
「あんたは私が手塩にかけた里奈ちゃんが、手塩にかけた素晴らしい男よ。里奈ちゃんを悲しませるんじゃないわよ」
解せぬ!なぜ弟を贔屓しないのかと思う心がある。
「俺はダメ男なんか?」
挑発的に質問だ!
「里奈ちゃんに限っては、クソ駄目男ね。私や和沙にとっては良い男兄弟よ。女性視点でも良いのだけど」
すまん、姉さん。何を言いたいのかわからねーよ。
「意味わからん」
姉さんは、髪をクイッとかき上げてコメントをした。
「里奈ちゃんを逃したらダメよ」
知らんがな!
理由を教えてほしい。返答を返す前に、大魔王(姉)は去っていった。
女心なんてわかんねーよ!
里奈がやってきた。
俺の部屋でお勉強。いかがわしい事なんてまるでないよ。
うちの家族内で言えば、俺のへの信頼度より、里奈の信頼のが高い。
「もーーーー、わかんない!」
里奈に丁寧に教えているが、お冠の状況だ。これはこれで可愛いけど、笑っている彼女のが好きだ。
「ねー。和樹ー」
「んー、どうしたー?」
どうも今日の里奈は集中できてないようだ。
いつもなら、これくらい丁寧に説明してやると喜ぶ彼女なんだけどな。
「立川さんの告白、どうしたの?」
そんな言葉が出てきた、不貞腐れ表情の彼女。
立川さんって誰?告白?
「立川さん?」
「ほらー、隣のクラスの・・・」
女性の中で、隣のクラスの立川さんが、俺に告ったらしい。
スマン、身に覚えないわ。
「ごめん、立川さんが誰かわからん。それに告白された覚えないから、コメントできねーわ」
里奈と同じような黒髪で、腰まで届きそうな長髪の子。
驚く里奈。えーなんでーと叱られる。立川さんは、こんな姿で、あんなんでーと聞かされる。
「あー、そういえば里奈に似たような長髪の子が隣のクラスに居たね」
そうコメントすると、きょとんした表情を浮かべた後に、何故か喜ぶ里奈。
女心なんて知らねーよ。なんで里奈が喜ぶんだ。
「え、俺、告白されたの?」
「そんなの私が知るわけないじゃん!」
「いやだって、里奈が・・・」
「あー、あー、あー、私知りません!」
これ以上里奈の機嫌を悪くさせるのはマズイ。
これから夕食だし、妹も参加する。親父もさんかするし、みんながみんな、里奈派だ。
「他の女の子なんてよくわかんねーや。里奈の不機嫌の方が気になるからさ」
里奈に対する必殺の答え。こういえば勝手に解釈してくれる!
対する里奈の視線は、冷たかった。
「和樹は、本当に理解してないの?」
「里奈が不機嫌なのは知ってたさ。理由はわからないけど」
里奈が溜息をついていた。「和樹がここまでダメ男なんて」
解せぬ!いや、里奈の不機嫌は気づいているじゃないか!理由は知らねーけど。
その後の勉強会は、スムーズに終わった。勉強会する意味あったのか?と思うほど里奈の勉強は、はかどっていた。
その後、親父やら妹やら、一家と共に夕飯を共にした里奈。
家が近くなんで、送ってやる。
里奈の機嫌は、いつの間にか直っていた。女心はようわからん。
「和樹、また明日ー」
彼女のニッコリ笑み。思わず目をそらしてしまう。
「おう、また明日ー」
そう手を振りかざし、帰宅した。
その日の夜。
姉と妹に叱られた。
「他の女に目を写すな!里奈ちゃんだけ思え」
「兄さんのバカ!なんで他の女を・・・」
里奈からどんなメールが、姉妹に流れてるのだろうか。
そんな姉妹へのコメントは
「知らねーよ。里奈が不機嫌なのは気づいてたけど、理由がわからんわ!他の女から、告白すらされたことねーし!」
そう答える。いやだって、告白されてねーで?
なぜ、里奈も、姉も妹も、それで怒るのさ!
「姉さん、里奈ちゃんが可愛そう」
「和沙、私もそう思うわ」
姉妹二人から、「ダメな男ね」と呆れられた。
これだけは、里奈も、姉妹とも話があわない。
それから数か月後。
今日はバレンタインデーだ。
お菓子会社の策略な日。
いままでかつて、家族と里奈以外の子からチョコレートを貰った事がない。
そんな話をすると、男友人からは
「爆ぜろ」
「バカップル、アッチ行け」
怒られた。
「俺なんんて、妹からすら貰った事ねーよ」
すまん、やっさん。
放課後、里奈の要請で学校のプール裏に赴く。
いつものニコリとした里奈がいた。
「はい、チョコレート」
渡された包み紙を里奈の目の前でほどく。
中には入っているのは、当然ながらのチョコレート。
一つをとって、彼女の口元に。
「え、自分のチョコレート食べるの?」
そんな言葉だけど、毎年のいつも通りにチョコレートを彼女の口へ。
ニコリと笑う姿はいつも通り。
毎年例年通りに、里奈がお返しとチョコレートを手に持ち、俺の口元へ。
「今年のチョコレートは、苦めだねー」
そうつぶやくと、彼女が微笑んだ。
「いつもの甘い甘いいうからさ、今年は砂糖使わなかったのよ」
そういう彼女の表情は自信満々だ。
今年の接触の味は、砂糖がない苦めなチョコ味だった。
毎年の、いつも通り(・・・・)、里奈と接吻した。
今年は彼女の唇についていた、ニガイちょこれーとの味だったけど。
改めていうが、里奈とは付き合ってないからな!
如何だったでしょうか。
少しでもニマニマして頂ければ、評価やら感想を頂戴できれば幸いです。
次話は、受験と大学1年目の味な話となる予定です。
駄文しか作成できない作者です。様々なご意見を頂けると、今後の執筆活動の参考となります