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7 薬草園へレッツラゴー

不定期更新です!すみません!


「ふぅ…やはり、今日は王宮に行くのをやめ、エレノアは学園に遊びに行くそうだしブルーノの学園でも行こうか。」

「えぇ、そうね。王宮は危険がたくさんだし、気分が乗らないわ。ブルーノの学園に行きましょう。」


そう仲良く二人掛けのソファーに座り会話する麗しき夫婦は私のお父様ことアーサー王弟殿下にお母様のセルヴィア姫様だ。

お父様は私を膝の上に乗せ、隣に座るお母様は私の手を握っている。

…お父様、お母様、知っているんですよ。陛下に帰ってきた挨拶ぐらいしに来いって呼び出されていることを。しかもそれを昨日は家族団欒を楽しむとかで拒否したんでしょ?で、じゃぁ一日やるから次の日は来いって言われたのに今日もサボるの?大丈夫?怒られない?


「大丈夫よエレノアちゃん。いざとなれば権力と血筋と剣でなんとかなるのよ。」


へぇ〜そうなんだぁ〜

って納得すると思うなよ!なんだよ!またかよ!お兄様も職権乱用してたな!

いや確かに隣国の大切な姫様こと剣姫と呼ばれるお母様にかかれば なんでも成るように成るだろうけど!!


あ、そうそう。お母様は世界に名を轟かせたギャップの持ち主で、あの世界中の人々が憧れてしまうような愛らしくかつ美しい見た目に相まって、剣の腕が途轍もなく強いのだ。

騎士団長ですら時には負けてしまう技量の持ち主。

あの細腕のどこにその技と力が詰まっているのか …そう何人の貴人が思ったことか。

お母様の婚姻の申し込みは凄かったらしいが、お母様が自分に剣の試合で五連続勝てるものとしか結婚しないと宣言したそうで…まぁ、殆どの人は一本も取れなかったらしい。

そして婚姻の申し込みが減ってきた時、セガリット帝国に公務で来ていたお父様に出会い一目惚れ…とも行かず(いくらお父様が神がかったイケメンでもお母様には関係ない。強さだけがカッコよさだ。)お互い暇だったのでせっかくだし手合わせでもとなり剣を握ったそうだ。

その頃のお母様は、どうせ周りにちやほや甘やかされて育った王子の剣技なんて大したこともないだろうと考えていたらしい。

…しかしお母様は一本も取れなかったのだ。そう、なんとお父様は仕事が有能すぎたり色々と完璧すぎて剣技について隠れがちだが実は途轍もなく強いのだ。

それはもうお母様は完全に惚れ、お父様もこんなに愛らしい見た目なのに本気でやり会えるほど強いとは、と惚れてしまい半年後には結婚したらしい。

そのことは貴族へも平民へも衝撃を与え、皆があの二人ならしょうがないと頷いた。

きっと二人がお互いを選ばず違う者を選んでいたら相手が悪口を言われたに違いない。なんせ二人とも絶世の美男美女なのだ。普通の美人ではただの笑い物にしかならない。


おっと、私はお父様達の馴れ初めを話したかったわけではない。

権力に物を言わせるなんてワイルドでかっこいいねという話をしていたんだった。(違う)


コンコンと扉がなりお兄様が入ってきた。

制服に着替えてもう出る準備ができているようで、勿論私もバッチリだ。


「エレノアそろそろ時間だし行こうか。今日はトムさんと薬草園に行く約束をしているんでしょ?」


あら、その話ししていた時お兄様はヴァルツ兄様に魔法を仕掛けようとしてましたよね?こちらの話も聞いていたなんて器用ですのねぇ。

とまぁ、そんな事はさておき。お父様、私もう一人で歩けますよ?姫抱っこしなくても…ねぇ。

恥ずかしいのよそんな綺麗な顔を近くで見せられたらさ。


じぃ…っとお父様の顔を見ているとお父様は私の額を隠す前髪をさらっと払い額に口ずけを落とした。


っくあぁぁぁあああ!!!


死んでまうやろ!

いつもはそんなに表情動かないのにそんなに優しく微笑まないで!!男慣れしてないんだよ!それにいくらお父様だからって日本人本能が根ずいてしまった私の感覚には口ずけはハードルが高い!微妙な顔で二へっとお父様に笑い返してその場をやり過ごした。

お父様は私を下すことなく馬車まで乗りそのまま学園に赴いたのであった。


あぁ、波乱の予感しかしない。



***




意外なことに波乱の予感は外れた。

理由としてはお兄様はいつも私が人目に晒されないように遅刻ギリギリの時間に学園に着くようにいつもしていたから。普通の貴族は遅刻なんて醜聞になり得る危険なことはしないように早くから着いているらしいので確かにいつも全然人に合わないと思った。


あ、今日はお父様達が同行するということで今までお父様達の同行していたオーブリーさん(従者兼執事をしているらしい)に侍女のアドリアナさんが着いてきている。

二人とも途轍もなく優秀な従者だ。

メイド長や家令(初めてアルヴァレズ邸に着いた時始めに見た執事さん)に通ずるものを感じる。

余計な存在感は消して主人の感情を先読みして過ごしやすい環境を整えてくれる感じ。

っと、また話がずれた。

ということでサリーは今日は私が帰るまで非番です。


お父様達はどこにも寄らず医務室に行こうとしたが流石に止めた。

一応ね、王弟殿下だしね?他国の公爵の権力も持っているのでしょう?何も言わずに学園にいたらダメでしょ。

それで初めて学園長に顔を合わせるかなぁと思ってたんだけどそれはなかった。

私がこの学園の滞在許可をもらった時はお兄様が一人で済ませてくれて私はお礼も言わずのままだったからお礼を言いたかったのだが今回は、まぁ…うん。姫抱っこから縦抱きに変えられお父様の筋肉で硬い胸板に顔を痛くない程度で押し付けられたまま。時は過ぎ去った。


いや、会話がさ、

「急に来てすまないな。息子の学園を見て回らしてもらっても良いか?案内役は不要だ。」

「は、はぁ、そうですか。帰られたのですね。さぞかし陛下は喜ばれた事でしょう。どうぞ学園内を見て回ってください。久しぶりの母校でしょう。どうぞお楽しみください。」

そう微笑んだ学園長に「あぁ、そうさせてもらおう。では。」というとさっさと学園長室を出て行った。


いやぁ、1分も居なかったよね、学園長室。

あんなんでいいのか。はぁ、学園長が優しそうな人でよかった。我が家の男どもがお世話かけます。

とまぁ、医務室に来てやっと降ろしてもらいこちらを見て目を見開くトムさんに駆け寄る。


「トムさんこんにちは〜今日はおとうさまとおかあさまがいっしょなんです。みんなでやくそうえんいきましょう〜。」

トムさんの白衣をクイっと引くとトムさんは屈んで目線を合わせてくれる。いや、本当いい人である。


「えぇ、そうですね。薬草園は学園の温室にあるのですよ。私が育てている薬草と薬草研究部の生徒が育てている物とあるので今回紹介できるのは私が育てているものまでですが良いですか?」

「わぁ!有難うございます!!」


ニコニコ笑い早速医務室を出ようとするとお母様に手を掴まれた。そしてそのまま手を繋ぎニコッと笑い歩き出した。どうやら手を繋いでいくという事らしい。…ふふ、なんかこういうの嬉しいんだよね。愛を感じる。腕は結構上に上げるからビョーンてなるけど。


薬草園まではそう遠くないこの広すぎる学園では近いほうだろう。

だいたい私の足で歩いて十分もかからない。

温室はガラス張りで太陽の光が入るように設計されている。ただ、中に区間区間に分けていくつかの部屋とかあるので育つ環境に合わせて何かしてあるのだろう。


その広く素晴らしい温室に私は気が付かぬまに恍惚とした笑みを浮かべていた。


「はぅ…すばらしいですわぁ、このくさとはなのにおい…おちつきますわぁ…」

「ここの温室の右半分は私の管轄なので好きに触ってくれて構いませんよ。詰む場合は私に声をかけてください詰み方とハサミをお渡しいたしますので。」


その言葉に私は嬉々として薬草達に近づき前世と違う点がないかと確認しに回った。


その表情が素晴らしく輝いていたのは言うまでもない。


「…屋敷に温室を作るか。」

「名案ですわね。」

「えぇ、本当です。エレノア様はとても優秀ですからね。」


エレノアは気付いていなかった。その内とんでなく大きい温室が自分にプレゼントされる事になるとは。


「はぅ、たのしいですわぁ!!」



ブクマありがとうございます!!!

誤字報告有難うございます!!!

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