6抱きしめて、泣いて、愛を貴方に
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今回はよく抱きしめます。そしてよく泣きます。
「エレノア、危ないからしっかりとお兄様に捕まっているんだ。」
そう言いお兄様は私の頭に額を擦り付けた。
…デレている…いや、いつもお兄様は私に見た目にそぐわぬデレデレ発動してるけどなんだ今回のデレデレは、可愛いぞ。
ギュッとお兄様に強く抱きついた。さっきはふざけてお兄様がデレたとか言ったけどお兄様が震えていたことにちゃんと気付いている。
お兄様、大丈夫だよ。お兄様の気持ちに私はちゃんと気付いてる。
と言うかゲームのお兄様が言ってたの、まだ甘えた盛りな10の頃に急に両親は自分を残し隣国に行きこの国にいる妹は目覚めない。その事が孤独で…寂しかったんだよね。また、一人になりたくないんでしょ…?
でもね、お父様達が隣国に渡ったのは私のせいなんだよ。その事が明かされるのはゲームだとヒロインがブルーノルートに入って最終らへんだったかな。そしてブルーノは両親との悪くなってしまっていた仲をヒロインに助けられながら戻しヒロインに感謝し君も僕達の家族だ!みたいな感じになってエンド。
「ブルーノ」
並走するお父様がお兄様に声をかけた…のだが。
「父上、話は屋敷でいたしましょう。」
辛辣!!声に感情がなかったよ!!
「…わかった」
ほらお父様落ち込んでるよ!可哀想だよ!!ションボリだよ!
このままなんとも言い難い空気のまま私達は屋敷まで帰った。
屋敷についた私はお兄様に連れられ自室に行き王宮に行かず学院で別れた帰っていたサリーによって楽なワンピースに着替えさせられていた。
若草色の可愛いワンピースだ。
「旦那様や奥様が帰られて良かったですよね。旦那様は長らくこの屋敷に帰っていませんでしたので、きっとブルーノ様もお喜びでしょう。」
喜んでる…?ないな。あれが喜んでいるんだったらこの世界の喜びの原理が違う。
「さぁ、食堂に参りましょう。皆さまお待ちしておりますよ。」
***
サリーによって食堂の扉が開かれる。
あの二人きりだった寂しい食堂に今日はお母様とお父様も座っている。
お母様にあったのは初めてだな。
綺麗にふわりと伸びたサラサラな金髪に碧眼。鏡で見た自分に似てるお人形の様に整った綺麗な顔立ち。
お兄様とお父様と並べばあたりはまるで芸術作品だ。
なんと美しいことか。
そんな綺麗な顔に今は涙を零している。
立ち上がりこちらに近づいてきてギュッと抱きしめた。…少し、キツイくらいだ。ただ、そのキツさが愛情ゆえとわかっているから凄く、嬉しい。
「目覚めたのね…エレノア。良かった…良かったわ。」
このいい雰囲気の中、お兄様が近づいてきた。うっわ!無表情だ!怖…
「離れてください。都合がいいことですね。この3年間子供の事などどうでも良さげだったのに。今更、目覚めて良かったなど…心にもないことを。離れて下さい、エレノアが穢れます。」
お…重い…なんて重いんだ。お兄様違うよ、お母様達は私のために隣国まで足を運んでいたんだよ。
「おとうさま、おかあさま、おにいさまにりんこくにわたったわけをせつめいしていませんね。せつめいしてあげてください。おにいさまは、こう見えてずっとむかしからひとりでさみしがっているのですよ。あ、なぜ話せるのかっていうのはぜんせのきおくがあるからとスルーしてください。」
お兄様は私を見つめ「別に…寂しくなど…」とつぶやいている。強がんなってぇうりうり〜
そして、お父様はずっと驚いた顔してんで話し始めんかい。
そうしないと永遠に誤解は解けないままだよ。
お母様は私を抱きしめるのを解きブルーノをまじまじと見つめている。お父様は常に無表情だからよく分からないけど動揺した様な表情をしている気がする。
椅子から立ち上がりお兄様の前まで来ると頭を下げた。
「ブルーノ。寂しい思いをさせてすまない…ブルーノは昔からしっかりしていたから…しっかり説明もせずに突っ走ってしまった。確かに、お前は三年前10歳でまだ全然子供だったのに…今まで一緒にいた親が居なくなるのは寂しい事だろう。…気が回らなくて…すまなかった。だが、決してブルーノがどうでも良かったわけじゃないんだ。そこは信じてくれ。」
「でも、手紙も一切送ってくれなかったじゃないですか。この3年間エレノアに会ってだってくれなかったじゃないですか!僕はエレノアより大人だから仕事だからしょうがないと思えるけどエレノアは目覚めた時両親が居ないなんて可哀想じゃないか!!!愛されていないと悲しんでまた眠りについてしまったら、どうするんだよ!!!!」
お兄様、優しすぎでしょ。私は精神年齢ヤバイけど君はたったの10歳で親離れしろと言われた様なもんだよ?
私より、お兄様の方が辛いに決まっている。
「違う…愛していないわけがない!ブルーノもエレノアも愛しているの決まってる!」
「じゃぁ、なんで会いにきてくれなかったんだよ!誕生日プレゼントぐらい手渡ししてよ!年明けぐらい一緒に過ごしてよ!エレノアの誕生日くらい顔を見にきてあげてよ!…眠り続けても、こんなに、こんなに大きくなったのにぃ…」
最後にはポロポロと涙を流しながらお父様の胸板を殴っていた。
お父様は私の方を見て「すまない…」と謝った。いや、そこで謝ったらダメでしょ。貴方達は私の為に隣国に渡ってくれたんでしょ?
お母様も泣き止みなよ綺麗な顔が台無しになってしまうじゃない。あ、残念。泣いても綺麗なままだわ。クソッ
はぁ、仕方ないぁ助け舟を出してしんぜよう。
「おとうさま、おとうさまはわたしのためにセガリット帝国にわたってくれたんでしょ?」
ニコッと微笑む。お父様は目を見開きお兄様は、は?て感じの顔だわ。
ニコニコして話し始めるのを待っていると。お父様が話し始めた。
「…エレノアが産まれた時、白虎様が現れたんだ。産声を上げないエレノアに周りは動揺していろんな医師を呼ぼうとしていたが白虎様が医術では解決しないと、魂と体が合体していないから目覚めないと、仰った。目覚めるかどうかは分からないと言われ私達はすぐに前例がないか調べた。が、この国には無かった。だから、セガリット帝国は魔術に優れているから方法がないか調べる為に、セガリット帝国に渡ったのだ。」
という事です。簡単にまとめるとお父様達は私が目覚める方法を探す為に隣国に渡ったという事です。
お兄様がゲームと同じ表情をしています、目を見開いて口を開けポカーンて感じ。
「…そうだったんですか…エレノアのため…」
そう呟き俯いたと思うとバッと顔を上げ満面の笑みをたたえていた。
「それなら仕方ありませんね!エレノア救出の方法を探しているのに手紙を書く暇なんてありません!理由を知っていたなら帰ってくるなと言ったのに!目覚めた今では言う意味ありませんが…良かったです。ちゃんとエレノアも愛されていたんですね。」
笑いながら、安心したと言う風に涙を流した。
きっとお兄様が私に溢れんばかりの愛を注いでくれたのは私のことが好きだからとか以外にも自分は与えられた親からの愛を妹は与えられていないという引け目も感じていたのかもしれない。
きっとお兄様は私の事を可哀想だと思ってくれて、その分沢山の愛を私にくれたんだろう。
やっぱり、お兄様はいい奴だ。
お兄様に勢いよく抱きつく。
「おにいさま!だいすきですわ!!!」
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