5王宮にて修羅場の予感
ブクマ有難うございます!!!
「よし。じゃぁ、エレノア一緒に行こうか。」
そう声をかけ両手を広げるヴァルツ兄様に私も両手を広げる。
本日学院に通い始めて六日目。あ、明日休日だ。ひゃっほう!!てか、一週間で1日しか休日ないのってどうなの?少ないよぉ〜
おっと、そんなことが話したかったのではない。
学院の授業もすべて終わり、あとは帰宅するだけというこの時間帯。そんな時いつもはお兄様に抱っこされ帰宅する私は何故ヴァルツ兄様に抱っこされているのか…
その答えはズバリ!王宮に用事があるから!
その用事と言うものが
なななんと!!!
帝国陛下に呼び出されているのです。
…こんな幼子に何用じゃい。
「ヴァルツ殿下何をなさているのですか。殿下のお手を煩わせるわけにはいけません。エレノアは私が運びますゆえお渡しください。(訳:何してんだコラ。天使なエレノアを殿下に抱っこさせるわけにはいかない。さっさと渡せバカチンが!!!)」
は、背後から冷気が!!お兄様が殿下に真正面から文句言ってる!(ように聞こえる)
お兄様のシスコンが酷い…綺麗な顔してるからまた厄介なんだけど。
もうねぇ…残念美形の代表だよね。
え、ギャップ萌えで人気出るかもよ?
えぇ、でも妹にご執心の男に恋情抱ける人いるの?お兄様この間妹第一って宣言してるからね?
イケメンだから良いんだって?結局それか!!!
「はは、残念ながら渡さないよ。君はいつでもエレノアのそばに居られるけど。私は出来ないからね。できるときに甘やかしたいんだ。もとい、可愛がりたい。切実に。」
あ、この人も大概かもしれない。
最後の方ガチ声だった。
そんなやり取りをする二人には目もくれずトムさんの方に顔を向け挨拶をする。私は見てない視界の端に王太子に攻撃系の魔法を展開している兄の存在なんて。防御系の結界を張っている殿下の存在なんて。
「トムさんきょうもおせわになりました。らいしゅうもよろしくおねがい いたします。」
「えぇ、また来週会いましょうね。来週は宜しければ薬草園にでも行きましょうか。」
「よろしくおねがいしますわ。」
そう言いニコニコ笑いながら挨拶を交わす。
お兄様とヴァルツ殿下のこのやり取りは割と頻繁に起きる為、トムさんも私も慣れたことだ…
***
毛の長い紅い絨毯に硬質な壁に施された優美な彫刻。天井に輝くは宝石で出来ているのではと思うほど美しいシャンデリア。その部屋の一段高くなったところに一脚豪華な椅子が用意されている。
そんな部屋で私はお兄様と王宮の騎士や侍従の方と陛下を待つ。
椅子の数からしてここに来るには陛下だけのようだ。
ヴァルツ兄様も来るかなぁ、とか考えていたけど椅子が用意されていないことから彼はここに来ないのだろう。
まぁ、あんなロリコンでも仮にも王太子だしそんなに暇じゃないよね。
「ハルガネット帝国陛下参られました。!!」
その合図とともに重たい扉が開いた。
それと共にそれぞれも最上礼をする。
あ、私ここ一週間でちゃんと一人で立てるくらいには筋肉ついてます。三歳児の筋肉に驚異的な速さで成長しています!
一応カーテシーをするが女王時代や貴族時代にしていたものと比べると大分優雅ではないがそこは年齢のせいでゆうるしてちょ〜。
扉が開き入ってきた気配は玉座へ歩き進めることなくその場で言葉を発した。
「面をあげよ。よくぞ参られたアルヴァレズ公爵閣下に妹殿。」
陛下は近くの執事に目線を運び右手をスッと振る。
するとこの部屋には陛下と私たち兄弟そしていつの間にか来た白虎以外居なくなった。
人払いをしてくれたようだ。
顔を上げ見た陛下の姿は威厳にあふれていた。
髪は夏の空のような爽やかな水色だがそれ以外はヴァルツ殿下をそのまま歳をとらせたようなイケオジ。
「お久しぶりにございます陛下。この度の謁見、何用でしょうか。」
「はは!そんな格式張ってくれるな。昔のようにアーロン叔父さまと呼んでくれないのかい?」
そう言いお兄様に近づき肩にポンッと手を置いた。
その姿は先程の部下たちに対する威厳ある姿とは違い雰囲気は親しみ易い叔父さまだ。
叔父さまはお兄様の方に置いた手を避けるとお兄様の後ろにいた私に視線を向けニコッと笑い私の前まで回り込み膝をつきで視線を合わせてきた。
おいおい、一国の王が幼女に膝ついていいのか?
「やぁ、こんにちわ。ブルーノは私の姪を紹介してくれないのかい?」
そう私に向けた視線は外さずお兄様に声をかけた。
その事にお兄様はため息を吐いたけど不敬罪で捕まらない?大丈夫かなぁ…
「…つい一週間ほど前に報告した通り天使が降臨しました「お兄たま!?」」
『安定のシスコンだな』
「本当です。」
「はは!ブルーノはこんな性格だっただろうか?面白い性格になったな。」
えぇ…面白い性格で済ませるの?天使が降臨したって嘘だし最悪不敬罪で裁かれるんじゃない?
「はじめまして。わたくし、エレノア・アマドール・アルヴァレズと申します。いご、おみしりおきを。あ、さきにもうしあげておきます、ぜんせもちだからごいのうりょくがあるのです。」
最後にカーテシーをきめ微笑み陛下を見上げると恍惚とした笑みを浮かべていた。
ありゃ…これは…
「あぁ、なんて可愛いんだ。小さい頃の君の父上アーサーのエンジェルスマイルと同じ破壊力を感じる!!!それに我が息子のヴァルツとセガリット帝国の唯一の姫だったお祖母様に似たパールパープルの髪!なんと神々しいんだろうか!!!セガリット帝国ではパールパープルの髪を持つと魔力が多いらしい!つまりそういう事だ!あぁ、我が王室に入らないか?養子縁組か王子達と婚約を…あ、でもヴァルツはダメだな、政治的にセガリット帝国王家の象徴の一つと言えるパールパープルの髪の者同士の結婚は流石にダメだな…ヴァルツには帝国内の貴族を嫁がせないと…じゃぁ、第二皇子か第三皇子になるが第三皇子とエレノア嬢は同じ年だったよな?エレノア嬢は年上派とかある?」
うわぁお…一気に喋りすぎだろ…若干引き気味だよ。
てか、養子?婚約?いや、まだ3歳なのにそんなのやだし。
なんなのこのおっさん、えらい自分勝手な考え方してんだな。自分の息子の選択肢しかないじゃん。…はぁ、こういうタイプの人嫌いなんだよね。気付いたら外堀を固まれているんだよねぇ。
そんな憂鬱な心情を感じ取ったのか白虎が陛下に冷たい視線を向けている。
ふふふ、私って愛されてる〜!でも聖獣達が怒ったら世界が滅んじゃうからね?愛してくれるのは嬉しいけど私は世界を滅ぼしたいわけじゃない。
『白虎、落ち着いて。大丈夫だからね。』
そうテレパシーを送ると心配そうな視線が帰ってきた。はは、大丈夫だって。
「まだ3歳の妹が婚約…?はは、何をふざけた事をおっしゃられるのです。そんな事になったら妹共々亡命します。」
お兄様ならそう言うと思いました。もう不敬罪とか何も考えません。(さっきは私も大概だったし)
「うむ、確かにまだ3歳。と言っても貴族なら産まれる前からの婚約だってよくある話だぞ。」
ブチっという音が聞こえた。これは、ヤバイ。お兄様がキレた。
「何バカなこと言ってんだよオッサン(小声)。…うちの両親は恋愛結婚を推奨していますので、王家からの打診があってもエレノアが嫌と言えば必ず断りますから。」
お兄様の周りから氷が這い始めているぅぅぅうう!!
あぁああ!!陛下、私を見ないでお兄様の方を見て!私は大丈夫だけど貴方は危険かもしれんよ⁉︎
はぁ、もう!!!
「おにいたま。わたくしまだけっこんしないので、ごあんしんください。」
そういうと陛下が絶望的な顔をした。
「えぇ、なんで!王子様だよ?憧れない?中々の美形な子達だよ?それにこれからエレノア嬢が目覚めたと知った貴族達がきっと煩くなるよ?皇子達と婚約を結んどけば楽なもんだよ?」
「おうじさまはおにいさまが似たようなものなのでひつようないですね。きぞくたちのだしんはおにいさまがなんとかしてくれますわ。」
「くそう…こうなったらアーサーに直談判をするか最悪王命で無理やり…アーサーはどこにいる。娘が目覚めたんだこの国には居るのだろう?」
は?王命で無理やり?何ふざけたこと言ってんだ。いざとなればお兄様と一緒に亡命しよ。
「父上には目覚めたと報告していないのでまだ他国で何かしていますよ。子供の事なんて考えていない父上に知らせるのは一年後でいいのです。」
「ブルーノ?…何を言っているんだ?アーサーがセガリット帝国へ行ったのは…いや、アーサーに説明させよう。今すぐアーサーを呼ぶ少し待っているんだ。」
そう言い陛下は早足でこの部屋を後にした。…一度も玉座に座る事なく。
完全にドアが閉まったのを確認するとお兄様はこの部屋に陛下と入れ違いに入ってきた侍従に声をかけた。
「すまない。どうしても外せない用事があるため今日は帰らせてもらう。早急に馬を用意してくれ。」
そう言い私を抱き上げ早足で歩き始めた。
ん?あの部屋で陛下を待たなくてもいいのかな?
…うん。よく分からないからいいか!!
外に出ると白馬が用意されていた。…あれ、この白馬ゲームじゃお兄様の愛馬だって設定だったような。
「あぁ、アシュトンじゃないか。怪我はもう治ったのか?まぁ、ここにいるならそう言う事だよな。一緒に帰ろう。」
怪我をして王宮の動物医師に診てもらっていた感じかな。
お兄様は私を抱いたままアシュトンにヒラリと飛び乗り門が開くと一気に走り出した。
うぇ!早!
「お、おにいさま?」
「シー…喋らないほうがいい。舌を噛んでしまうよ。…嫌な予感がする。絶対重要な時しか使わない転移魔法陣で飛んでくる。早く帰ろう。いや、逃げよう。」
逃げる…何から?
これから来るとされてたのは…お父様だけど…
後ろで馬の嗎が聞こえた。
「くそ…早い。もう来たのか…」
お兄様が、アシュトンがの速度を上げた。だが、横に影が指す。そう、あのナポレオンが馬と一緒に映っている時の絵画の様なシルエットの影が。
「父上…」
お兄様はこのまま走り続けても意味がないと思ったのだろう。馬の歩く速度を緩めた。
ただ、私を片手で抱きしめる手は強くなっている。
ヒョコヒョコとお兄様の胸元から顔を離すと、そこには背後から夕日に照らされるパールパープルの髪を持つ青藍の瞳の美形が涙を零していた。
「目覚めたのか…エレノア。」
え、イケボですね。
イケボらしいですよ。




