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4 医務室は出会いの場。

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 カチャカチャ…

 私は今、学院の保健室にいる。

 なぜかって?


 事の発端は数時間前に遡る…



 ***




「ブルーノ様お離しくださあい!流石にエレノア様を学院に連れて行くのはいけません!午後には眠たくなりますし、教室に連れて行くわけにもいけないでしょう!それに学院側がなんというか…」


 そう、今は朝食を食べた後。

 お兄様が学院に私を連れて行くと言って聞かないのだ。

 少しでも離れたくないらしい。はぁ…なんというシスコン。愛が重いですお兄様。いや、三年も眠り続けて心配かけたのは悪かったと思ってますよ?


 とまぁ、シスコンのお兄様と侍女長が言い争っています。


「大丈夫だ!連れて行って医務室にいて貰えば休み時間ごとに会いに行けるし眠くなればベットで昼寝もできる。学院の方はヴァルツ殿下になんとかして貰うから大丈夫だ。いざとなれば自分の家格と公爵閣下という権力でなんとかする!」


 うわぁお…なんという職権乱用…。


 あ、そうそうなんとお兄様公爵閣下なのですよ!最年少公爵へと三年前になったそうです。

 じゃぁ両親は何してるのて?我が家は隣国 のセガリット帝国にも領地と公爵という権力を持っているのでこちらの領地経営は早々にお兄様に任せ今はそっちで何かしているらしい。

 なんでも三年前に私が産まれてから両親は急に隣国に渡ったらしい。急すぎて理由は聞かせてくれなかったらしいが、すごく真剣な顔をしていたという…

 そうやって子供の事そっちのけてどこかに行った両親の事がお兄様は気に食わないらしいです。

 まぁ、寂しいんだろうね。

 とまぁ、珍しいお兄様のお願いとありサリーを連れて行く事を条件に私を学院に連れて行くことになったのだった。




 ***





「ここにある、いがくしょはベネザードていこくのものが、おおいのでしゅね」

 ただ今医務室。

 たまに歩くリハビリをしながらだけど基本はソファーに座りながらサリーに取ってきてもらったここの医学書を読んでいる。

 そしてここの医務官のトムさん。茶髪に茶色目の清潔感のある三十前後のおじさま。

 優しくて、良い人だ。お菓子を出してくれたりしたし。


「それはベネザード帝国が医学の最先端に立っているからですよ。昔も今もね。それに三大帝国のうちの一つなだけあり財力もあり多くの本を様々な国に販売しているから、というのもあるかもしれませんね。」


 成る程。確かにそう言えば昔もそうだったな。


 三大帝国。

 それは世界で最も発展しており土地も広く財力を持つ三つの帝国の事を指す。この三大帝国は同盟関係にある。


 一つは我がハルガネット帝国。

 お父様のお兄様が帝王についている。

 もう一つはお母様の故郷で今両親がいる国(帝王はお祖父様)セガリット帝国。

 そして最後の一つベネザード帝国。

 医学の最先端と言われている。なんでも不治の病と言われていた結核の治療法を見つけ、そして結核に対する先手必勝(予防注射)を国民に一般化させたのがベネザード帝国らしい。

 この三大帝国の王族はこぞって高い魔力を持つことも有名だ。


「…あれ?そう言えばなんでベネザード帝国の本だって分かったの?どこにもそんなこと書いてないよね。」

「あぁ、それはですね。インクがベネザード帝国はとくしゅなんですよ。ベネザード帝国のインクは我々のインクと違いこうせきゆ(鉱石油)としょくぶつを合わせたものが多いので、いろあせにくく、いろあせた時にすこしあかっぽくなんです。私達の国でひろまっているのはしょくぶつせいのものが多く、いろあせたときじゃっかんきみどりがかるんです。」


 そう力説しながら本をパラパラめくる。

 内容は、なかなかに良かった。まだまだな所はあるけどこの中世ヨーロッパぽい時代感にこれだけの医術があったのは驚きだ。

 て、ありゃ、力説に対する反応がないな。

 本から目を離すとサリーとトム先生がこちらを見て目を見開いていた。

 …あれ、間違ってたかな。


「あ、あの…」

 心配げに小首を傾げるとドアの方から声がかかった。


「君の見た目にそぐわない博識さに驚いただけだろう。安心して良い。」


 振り返るとそこには学院の制服を着た黒髪のイケメンが…え、タイプです。

 なんで神さまあの乙女ゲーに彼を年上キャラで入れなかった?

 胸が高鳴ったよ?

 漆黒の長い髪を後ろで束ねたアイスブルーの瞳の少年。


 …漆黒の髪にアイスブルーて確かベネザード帝国の…


「はっ!あ、セオドリク殿下。いらっしゃいませ。」


 セオドリク殿下…て、王太子やないかーい。またかーい。ヴァルツ兄様で十分だーい。


「次の授業は自習なんだ。避難させてくれ。」

 避難…なんでだ?自習って学生にとってはオアシスなんじゃないの?

 そう思っていることが顔に書いていたのかセオドリク殿下は苦笑した。


「その…なんだ。ご令嬢の視線が煩わしいんだ。」

 なんと…贅沢な悩みですなぁ。全くこれだからモテ男は。世界中のモテない男達に頭下げろ!!


「たいへんなんでしゅね…」

「まぁな、所で何故こんなところに子供がいるんだ?髪色と瞳の色から推察するにアルヴァレズ家の者っぽいが…あそこに令嬢は眠っている姫しかいなかったはずなんだが。」

 そう歩きながら言い最終的にベットに座ってこちらを見ている。寝るのかな?


「このあいだめざめたのです。立ってあいさつできぬこと、やみあがりゆえ、ごようしゃください。

 おはつにおめにかかります。わたくしアルヴァレズ家が娘エレノア・アマドール・アルヴァレズと申します。いご、おみしりおきを。」


 うぅん。やっぱり呂律がなぁ…舌に身体強化をかけて鍛えてはいるんだけどな…

 恥ずかしくて誤魔化すように笑った。


 セオドリク殿下はふっと表情を緩め優しく笑い返してくれた。


「しっかりしているな。そうかしこまらなくて良い。俺はベネザード帝国が嫡子、王太子セオドリク・グランディエ・ベネザードだ。セオと呼んでくれ。エレノア嬢の兄上とは学友なのだ。よろしくな。」


 そう微笑みセオ殿下はベットの周りのカーテンを閉め寝る体勢に入ったのだった。


 なんか、良い人だな。

 王太子の皆んなはやはり超高度な教養を受けているんだろうな。だからきっと良い人ばかりなんだ。


 そんなふうに感心しながら読み始めようとしていた本を開いた。


 さぁ、読むぞ〜!!!


 キーンコーンカーンコーン


「エレノア!遊びに来たよ!不自由していることはないかい!なんでもお兄様に言うんだよ!」


 あれ、今授業終了のチャイムが鳴ったよね?セオ殿下ここ来るの早くね?


「おい、ブルーノ待て!置いて行くな!お前は体育の授業では手を抜いて走るのにこんな時は本気出すって一体なんなんだ!しかもなんだ!普段真面目に体育の授業を受けている私より早いとか、どう言うことだ!」


 シャッ…さっき閉まったカーテンが開く音がした。


「…お前らテンション高すぎだろ。何なんだよ。医務室来て騒ぐな。」

 全くですよ。もっと言ってやってくだせぇ兄貴!


「あれ、セオ君じゃないか。セオ君しかいないなら心置き無く騒げるね。」

「……はぁ、あぁそうだな。どうしたんだお前達がここに来るなんて珍しい。」

「愛しい愛しい妹に会いにきたのですよ。やっと目覚めたのです。もう、まじで天使です。」

「本当にそれだよ。」

 お兄たま、ヴァルツにいたま、やめて下さいませ!もう恥ずかしくてやって行けません。


 恥ずかしさのあまり本で顔を隠して恥ずかしさを紛らわします。

 肩が震えているのはご愛嬌でよろしく。


「…確かに、可愛いな。」


 セオ殿下まで言ったら終わりです。

 私はいつの間にか来ていた白虎に抱きついた。


 助けて白虎君!


 見事気持ちは届き白虎君はそのモフモフで私を包み込み、私はうたた寝に入ったのでした。


不定期更新です〜

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