3 ヴァルツ殿下と屋敷とお昼寝と。
ブックマークありがとうございます〜!
※ヴァルツ殿下の瞳の色を描くの忘れていたみたいだったので付け足しました。
コンコンコンコン…
何かを叩く音が聞こえ目を覚ます。顔は何かに当てられており首を振り上を向くとお兄様の顔があった。
お兄様は私が起きたことに気付いたようでニコっと笑い額にキスを落とした。
「おはようエレノア。お菓子でも食べるかい?ゼリーとか果物を用意させたんだけど。食べれるかな?」
コンコンコンコンコンコン…
「ずっと座っているのはやはり暇かな?王宮の庭園でも散歩に行くかい?」
コンコンコンコンコンコンコンコン…
「それとも…」
「お兄たま…」
思わず声を遮ったよ。なんでノックを無視するの⁉︎
ここはどうやら部屋の中のようで、しかも恐らく王宮の執務室かな?机に書類が綺麗に並べられている。執務机の椅子にお兄様が座っているのでお兄様に与えられた部屋と見た。
そして…なぜかこの部屋にはソファーがあるにも関わらずお兄様の膝の上に向かい合わせに座らせられている。
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン…
「ど、どうぞ!」
「エレノア⁉︎」
ガチャ
入ってきたのは何というか、王子様?服装もなんか王子様っぽいし。でもあの髪色同じだ。私と同じパールパールパープルだ。
あと、少し顔がお兄様に似てる?瞳の色も青藍でお兄様と同じだし。
お兄様は少しつり目で髪は前髪を3:7に分けて流しているサラサラストレートで後ろでリボンで髪を結んでいる髪だがこの人は短髪?に前髪は特にどこかで分けているわけでもなく自由にサラサラさせている。目は少し垂れているかな?ただどちらかというとと言うわけで普通の範囲に入る。
ただ…美形だ。
…お兄様の、類友というやつか?
「ブルーノ、少し休憩をしないか?そしていい加減妹殿の顔を見せろ…と言いにきたのだが…見れたな。え、天使?え、きゃわ…え、待って金の瞳ってこれはこれは…帝国の血だね。これは喜ばれるな。」
お兄様の拘束の力が強くなりましたぞ、おっとお兄様?青筋が出ているけど?
「気安く妹を見ないでいただきたい。休憩なら一人でとってくださいヴァルツ殿下。」
…ヴァルツ殿下…?うわぁお…第一皇子の降臨だぁ…確か第一皇子と私達は従兄弟だったよね?国王の弟が我々のお父様で確かお母様は隣国のたった一人の皇女様だったような…。あれ、私達って結構血が王族…?
「冷たい事を言うなブルーノ。従姉妹の顔を見るぐらいいいじゃないか。さぁ、エレノア私の腕においで。近くで顔を見せてほしいな。」
そう幼子に向けるような優しい笑みを浮かべこちらに近づいてくる。お兄様は立ち上がり……逃げる。
いや、この部屋からは出ないが…逃げる。殿下から。
「お、お兄たま。止まってくだたいませ。ごあいしゃつをしたいでしゅ。」
「え、喋れるの!」
『前世の記憶がるのだよ。』
お、白虎が来た。白虎の言葉に殿下は成る程…と呟くとまたこちらに歩いてくる。
お兄様はお願い通り止まってくれているが、顔がとてつもなく悲しそう。ちょっ…そんな捨てられた子犬みたいな顔しないでよ…
『はぁ…なかなかのシスコンだなブルーノ。』
ほら白虎も呆れているよ。て、なんでドヤ顔やねん。
「お褒めに預かれ光栄です。」
褒めてなぁぁぁいい!!
なんて考えかたしているんだこいつ…⁉︎…はぁ…まぁいいや。
近ずいてきたヴァルツ殿下に両手を広げると、にへぇと微笑み、お兄様から私を引き抜いた。
わっ…顔近いな。て、そりゃそうか。肌綺麗だなぁ羨ましい…て、間違いなく今の私の肌の方が綺麗だよね。なんせ三歳児だ。
「初めまして、エレノア姫。私の名前はヴァルツ・ウィル・ハルガネット。君の従兄弟のお兄さんだよ。一応王太子でもあるけどね。ブルーノと同じ13歳だよ。ヴァルツ兄様と呼んでもらえると嬉しいな。僕達王族には中々女の子が生まれなくてね妹に憧れていたんだ。」
「わかりまちた。ゔぁるつにいたま。わたくし、エレノアでしゅ。いごおみちりおきを。」
家名はまだ知らない設定だから名乗らない。そして本来ならカーテシーをしたかったのだが出来ないためニコっと微笑んでみた。
あ、顔を背けて震えてる。けっこうよかったのかな?耳赤いし…え、面白くって笑ってるだけかも?確かに…あ、いや、大丈夫。きゃわいい…て聞こえたから。
その後はもうお兄様たちは仕事に戻る事はなくずっと私に構い倒しだった。
最後の方はずっとチェスをしてたけどね。わたしが強くて驚いたらしい。一回も負けなかったよ。流石に二人も目を見開いてたなぁ。
お昼寝の時間になりうつらうつらしていたらお兄様が気を利かせてお家に帰ってくれました。ヴァルツ兄様は寂しそうにしていましたがさっさと切り上げて馬車に乗りました。
私は聞いてない。王宮にエレノアのお昼寝室を作るか…とか聞いてないし聞こえてない。
なんやかんやあり、また私は馬車の中で寝てしまったのですが…。
***
「…あ……のあ…エレノア、起きて。」
優しく肩を揺すられて目を覚ます。
王宮の帰りで馬車の中寝たはずだが、もう馬車は止まっているようだ。
「お昼寝中の所ごめんね。でも屋敷に着いたから屋敷の者に挨拶をしてほしいんだ。これから一緒に過ごす者たちだからね。」
「…あい、わかりまちた!」
顔にグッと力を入れ無理やり眠気を飛ばす。よし始めが肝心だからね!
外から声がかかりそれにお兄様が返事をする。すると扉が開き優しげな老紳士が顔を出した。服装からして執事さんかな優しい微笑みに丸眼鏡がいい味出してるね。
「おかえりなさいませ ブルーノ様、エレノア様。お早いおかえりですね。」
お兄様は私を抱え馬車の外に出ながら答える。
「あぁ、エレノアも居たからな。早くに帰らせて貰った。エレノアの部屋は用意できているか?昼寝をさせたいのだが。」
「えぇ、お安心ください。用意できております。」
そう言い屋敷の門をくぐった。
そこには様々な使用人が頭を下げており、その多さに私はと言うと、懐かしさを覚えた。
きっとこれだけの大貴族にしてはこの使用人の数は少ない方だと思うがそれは信頼でき有能な使用人しか雇っていないと言うこと。いいセンスをしているな。
「皆、顔を上げてくれ。今回の帰宅で皆を呼んだのは我が愛する妹が今朝ようやく目覚めたのだ。本日から妹もろともよろしく頼む。エレノア、挨拶できるか?」
その問いにコクっと頷き集まった使用人さんたちの方を見渡し微笑む。
「皆たま、ごきげんよう。わたくちエレノアともうちまつ。今日からおせわになりましゅ。よろしくおねがいしましゅ。」
そう挨拶すると数人が倒れた。また、数人は鼻血を出してそれを片手で隠し震えている。
そんな混沌の中一人の年配の女性が一歩前に出た。
その女性はメイド服をパキッと着こなし長いグレーの髪をピシッと団子にして結っている。縁なしメガネをかけていることからきつそうな印象を受けるがその緑の瞳の奥に秘めた暖かさを私は感じ取った。
「お初にお目にかかりますエレノア様。私メイド長を務めるキャロルと申します。
…はぁ、なんと可愛らしいのでしょう。旦那様にも奥様にも良く似ています。それにその笑った顔が何より奥様の幼少の頃に似ていて…メイド長及び召使い一同よろしくお願いいたしますエレノア様。」
そう言いキャロルは綺麗なカーテシーした。
この人はお母様のメイドをしていた方なのかもしれないな。
と言うか、そうか私てお母様に似ているのか、お母様ってどんな方なのかなぁ。
「よろしくお願いしましゅ。キャロルさん、皆様。お世話になりましゅ。」
そういう風に挨拶をし、部屋に案内された。そこで私付きのメイドも紹介された。
私専属のメイドはサリーちゃん。今年16歳になったらしい。何というかキャロルさんは幼くしたような女の子だった。見た目そのまま…ただ性格は茶目っ気があり話し上手ないい子だ。
部屋は白を基準に使った清楚の部屋。レースやカラフルな刺繍が可愛らしい。
ここは寝室らしい。この寝室の右の扉は私の生活スペースに繋がっており左の扉は衣装部屋に、そして衣装部屋にある扉は浴場に繋がっているらしい。
そんな説明を聞きながらベットに潜っていると…まぁ、寝るわな。目覚めた時には夕食の時間でした。
あぁ、よく寝た!!!!!
不定期更新ですお了承ください〜